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Storybook Brawl ぶっ壊れ列伝その2 ~ナーフ編~

こんにちわ。zakioです。

今回は強すぎてナーフされたキャラやトレジャーを時系列で紹介していこうと思います。

単体のぶっ壊れを紹介した前回(↓参照)と異なり、ナーフは強くなり過ぎた特定の戦略を弱体化させる目的で行われることが多いため、半分くらいは当時強かった戦略の紹介みたいになっていますがご容赦下さい。
なお筆者がSBBを始めたのが2021年9月頃のため、本記事ではそれ以降の時期のみが対象となっています。

また本noteは読者が多少はSBBを触ったことがあることを前提にしています。今後はメインで私が遊んでいるMagic the: Gathering (MTG)のカードで、Storybook Bwarl (SBB)のぶっ壊れキャラを例えるなどの記事の構想もありますので、SBB完全初見で分からないよって方はそちらをお待ちいただければと思います。

2021年9月13日 (Patch 61.1.1)

《Prince Arthur》

変更要約:レベル3からレベル4に変更

今ではすっかり下火のロイヤル戦略が一線級の時代。

当時は王子だったアーサー王がPrince/Princess戦略(ロイヤルという括りはまだ無かった)のテコ入れのためにレベル4からレベル3に実験的に移されたのが2021年8月31日のパッチ(Patch 61.1)でのこと。

Prince/Princess戦略での実質的なゴールがレベル3で手に入るようになり、レベル3から《Prince Arthur》を集めてPrince/Princess戦略に決め打つ戦略が容易に取れるように。
(レベルが上がるにつれショップに並ぶキャラクターの候補も増えるため、レベル3とレベル4では手に入りやすさが格段に異なる)

レベル6でインチキを始める戦略が多い中で、Prince/Princess戦略のやることは愚直に《Prince Arthur》の能力で線形にスケールしていくのみ。そのため最終盤面での最大値の低さが弱点だったが、この時期は圧倒的な速さと打点によりレベル6になる頃にはゲームが決着することも。

この時期にSBBを始めた我々にとっては《Peter Pants》イコールPrince/Princess戦略だった

さらにレベル3で最終構成のキーパーツを集められるということは、レベル3から成長しないヒーロー《Peter Pants》とも抜群の相性を誇る。開始直後からひたすら《Prince Arthur》をかき集めることも可能。

かくしてPrince/Princess戦略を後押しする実験は盛大な失敗に終わり、たった2週間後で《Prince Arthur》はレベル4に戻されることに。

以降、Queenなど一部の種族を統合したり、《Sky Castle》が《Dwarven Forge》の能力を引っ提げて再登場したりするなど、何度もテコ入れは試みられたが、2023年4月時点では未だロイヤル戦略は復権を果たしていない。

《The Round Table》

変更要約:レベル6からレベル7に変更

最初期のトレントを象徴するのは《Ashwood Elm》と《The Round Table》のシナジー。

トレント戦略のキーパーツ《Ashwood Elm》は自身のヘルスの分だけ盤面のトレントにアタックをバフする能力。ただし如何にお尻でっかちのトレントとは言え、アタックだけバフされても素のヘルスでは結局相手と1対1交換になってしまう。

ここで活躍するのがレベル6トレジャー(当時)の《The Round Table》。効果の適用順が《Ashwood Elm》の後のため、《Ashwood Elm》の効果でバフされたアタックの値を参照してヘルスがバフされる。ここに《Echowood》が居れば、それらのバフをすべて吸ってトンデモないスタッツに育つ。

最初期のトレントの3点セット

ドワーフやロイヤルのようにスケールに不安がある訳でもなく、グッドやスレイのようにスペルやFlyingで貧弱な後列を狙われることもなく、アニマルやエビルのようにキーパーツを抜かれて終了する訳でもない。ブロール開始時にキーパーツがすべての仕事を終えるトレントは、完成してしまえば対策が難しい最強戦略の一角だった。

さすがに《The Round Table》がレベル6というのは強すぎたということで、確保の難しいレベル7トレジャーに格上げという形でナーフ。以降のトレント戦術は後述の《Burning Tree》の登場までヘルスを上げる手段が無く、苦戦を強いられることに。

2021年10月18日 (Patch 63.4)

《Princess Wight》

変更要約:パンプ誘発の条件がドワーフの死亡時から購入時に変更

屈強なドワーフの群れに咲く一輪の花。ドワサーの姫。

と見せかけて実は本人が一番強いムキムキ姫。

フレーバーなど何のその。何故かドワーフが死ぬごとに自身が永久にバフされる能力を持ち、たいていの場合はゲーム中盤では敵なしの最強キャラとして君臨してくれる。当時はレベル3でドワーフ姫を保護できたプレイヤーはドワーフに一直線に突き進むことで終盤までほぼ敵なしのゲームを展開できた。

姫は100/100以上のスタッツに育つため《Lordy》が居ても残すことが多かった

単純計算で+6/+6(アプグレ後は+12/+12)の永久バフを毎ターン得ることができ、その成長力は最終盤においても《Lordy》のドワーフカウントにならないにも関わらず盤面に《Princess Wight》を残すか検討するほど。

流石に《Princess Wight》個人が強すぎるということでバフの条件が変更されたが、それでも強すぎたのか、運営から『ゲーム中盤での最大の逸脱者の1人(one of the biggest offenders in the midgame)』と名指しされ、さらなる変更を繰り返して現在の形に落ち着いた。

2021年6月18日(アーリーアクセス開始):死亡したドワーフの数だけ+1/+1
2021年10月18日:購入したドワーフの数だけ+1/+1 (Patch 63.4)
2021年12月14日: 盤面のドワーフを+1/+1 (Patch 65.10)
2022年1月24日: ショップのドワーフを+1/+2 (Patch 67.4)
2022年2月7日:ショップのドワーフを+1/+1 (Patch 67.5)

《Princess Wight》の変遷

2022年1月24日 (Patch 67.4)

《Good Boy》

変更要約:Last Breath能力の効果範囲が"自分以外の"グッドキャラになった。

本記事の中で最も分かりにくいナーフ。

そもそも死んで誘発するLast Breath能力なのに自分自身が対象かどうか関係無いのでは?と思いきや、SBBはLast Breath能力を無理やり誘発させる方法がいくつもあるため関係は大いにある。

昔の絵はちょっと悪戯っぽい

その代表格が《Copycat》。《Copycat》の効果で《Good Boy》のLast Breath能力を誘発させることで、バフを《Good Boy》自身に乗せることができる。

アップグレードした《Copycat》(Last Breathが2回誘発するようになる)を用意したり、事前に複数の《Copycat》を確保しておいたりすることで、1体の《Good Boy》のLast Breath能力を何度も誘発させて倍々ゲームでスタッツを強化できる。数千のスタッツを持つ《Good Boy》が相手の盤面を蹂躙するのも珍しくなかった。

ナーフ前のグッド構成。通称・古代兵器。

この時期はロイヤル・トレント・ドワーフなど他の主要戦略が立て続けにナーフされてポジションを落とし、またアニマルやスレイもネタが割れて対策されることが増えていた。そのため相対的にグッド戦略が明確に頭一つ抜けた状態となり、猫も杓子もグッドを目指す大グッド環境となった。

この状況を受け「少し強すぎるかもしれない(Good Boy was perhaps a little too good)」(公式)ということで、自分自身へのバフ効果がカットされることになった。ちなみにプチ《Good Boy》と言える《Friendly Spirit》も同じタイミングで自身以外のみにバフが乗るようにナーフ。

現在も同様の運用は可能だが、
・キーパーツである《Good Boy》を複数体確保する必要があること
・戦略のスケールが明確に下がったこと
などの理由で当時ほど強い戦略では無くなっている。

2022年2月7日 (Patch 67.5)

《Great Pumpkin King》

変更要約:レベル5からレベル6に変更

前パッチ(67.4)で《Good Boy》がナーフされていた影で、ひっそりとレベル6からレベル5に変更されていたエビルの親玉。
※現在の名称は《The Great Pumpkin》

《Great Pumpkin King》から《Great Pumpkin King》は召喚されないという安全弁*1はあったものの、そもそも共有プール*2内に各10枚だけのレベル6キャラクターと、各15枚のレベル5以下のキャラクターでは手に入りやすさが全く異なる。レベル5の時点でエビル戦略*3のキーパーツでありゴールである《Great Pumpkin King》が手に入るのはやり過ぎだった。

公式ディスコードのFAQより引用

かくして他の戦略が次々とナーフされていくのを尻目に、運営から強力なブーストを受け取ったエビル戦略が大隆盛。環境がカボチャまみれになり公式から『これは実験だった。元に戻す可能性があるのを知っていた。』(意訳)とのコメントと共にあっさり2週間でレベル6に戻された。

2022年5月2日 (Patch 70.6)

《Burning Tree》

変更要約:レベル5からレベル6に変更

2022年3月2日のパッチ(Patch 68.9)で追加されたトレント界の期待の新星。
※現在の名称は《Burn Beard》

《The Round Table》がレベル7トレジャーに変更されて以降、トレント戦術の悩みの種だったヘルス小さい問題を一気に解決して、環境をトレント一色に染め上げた元凶。

レベル5からレベル6への接続がスムーズ過ぎるのが問題

完成形の強さもさることながら、何より問題だったのはその構成への向かい易さ。必要なのはレベル5の《Burning Tree》と、レベル6の《Ashwood Elm》《Echowood》の計3種類だけ。

そこまでの流れに一切関係なくレベル5で《Burning Tree》を数体拾い、レベル6で《Ashwood Elm》を見つければほぼ完成というお手軽さ。その結果、上手く《Burning Tree》を拾えたトレントが勝つという大トレント環境を生み出し、《Robin Wood》と入れ替わるようにレベル6にナーフされた。

こちらはレベル5になりグッド戦略とトレント戦略の受けになる良キャラに

2022年6月9日(Patch 71.12)

《Oni Tyrant》

変更要約:レベル5からレベル6に変更

特定の戦略を後押しするものではないが環境に大きな影響を与えたという意味で《Oni Tyrant》もここで紹介。

当時、レベル6は戦略のキーパーツとなるキャラに絞るという方針があり、その中で最終盤面を戦うだけの力は無いと判断されて2022年3月2日のパッチ(Patch 68.9)でレベル5に降格(実質バフ)したのだが、今度はレベル5はオーバーパワーだった模様。

降格した当初は、前述した《Burning Tree》の登場もありトレントの影に隠れて目立たなかったが、《Burning Tree》のナーフ後は問題が顕在化。レベル3~4には優秀なモンスターキャラが多かったことも相俟って、レベル4で困ったらモンスターを取れと言われるほどに中盤戦をイージーにしてしまった。

優秀なモンスターの方々

《Burning Tree》のナーフから約一か月後に後を追うようにナーフ。再びレベル6に戻された。

2022年9月22日 (Patch 72.10)

《Wonder Waddle》

変更要約:ヒーロー能力の適用範囲がレベル2~3のアニマルからレベル2のアニマルに縮小

最後に紹介するのは元祖最強ヒーロー《Wonder Waddle》。レベル2~3のアニマルキャラクターを2体でアップグレードできるヒーロー能力を持つ。

そもそもレベル2~3のアニマルには、単純に優秀なスタッツや効果を持っているキャラクターが多いため、テキトーにアニマルを摘まんで行くだけで運ゲーと言われる序盤を安定して戦うことができる。

さらに100のブン回りルートがあると言われる上振れ性能から上位率も高く、SBBTrackerの統計でも常に上位をキープ。大会で最もピックしたいヒーローと呼ばれ、いつナーフされるかが話題になるほどだった。

《Wonder Waddle》の100のブン回りルートの一部

その《Wonder Waddle》に引導を渡したのはPatch 71.12で登場した《Skip's Puzzle Rune》。単体では何もしないが、他のトレジャーで置き換えた時にXP(と僅かながらのライフ)が得られるレベル2トレジャー。

現在の名前は《Skip's Skipping Stone》

そもそもトレジャーを"置き換える"ためには《Skip's Puzzle Rune》を含めて最低でも4つのトレジャーを見つけるハードルがあるが、レベル2~3のトレジャーを量産できる《Wonder Waddle》にはほとんど関係なかった。

斯くして序盤の安定とブン回りによる上振れを両立する最強ヒーローはお縄となり、ヒーロー能力の適用範囲がレベル2のアニマルキャラのみに縮小されることとなった。

最後に

今回も如何だったでしょうか。

ナーフをテーマにまとめてみましたが、図らずも戦略の栄枯盛衰を追いかける形になり、まとめていても非常に興味深かったです。過去のパッチノートを確認したりディスコードでの議論を読み返すのも面白く、楽しく執筆を進めることができました。

またナーフの理由など改めて見ていくと、運営としては複数の選択肢のあるテクニカルなゲームを推奨しているようで、ドワーフやロイヤルのように序盤から決め打ち気味に進む戦略は厳しく監視されているように思いました。

どちらもゲームをはじめた初期にお世話になった戦略ですので、またいつかテコ入れが入って強く使えるのを願うばかりです。

それではこのあたりで。ここまで読んで頂きありがとうございました。

用語解説

*1 安全弁

《The Great Pumpkin》の仕様として、割れるとLast Breath能力でそのターン中に死亡したエビルキャラの場所に、各々そのエビルキャラより1レベル低いエビルキャラがランダムで召喚される。(例えばレベル4の《Medusa》の居た場所にはランダムでレベル3のエビルキャラが召喚される。)
《The Great Pumpkin》がレベル6からレベル5に変更される際に、レベル6のエビルキャラの場所に《The Great Pumpkin》が召喚されて延々連鎖することが危惧されたが、例外として《The Great Pumpkin》は召喚されない仕様となったため連鎖することは無かった。
現在は《The Great Pumpkin》がレベル6に戻ったため本仕様は気にする必要は無い。(SBBにレベル7のキャラは存在しないため。)

*2 共有プール

初期のSBBでは同じ卓にいる8人のプレイヤーがキャラクターのプールを共有しており、卓内のレベル6キャラクターは10体、それ以外のキャラクターは15体と出現数の上限が決まっていた。そのため卓内でその時に強いとされる戦略に人気が集中して共倒れになったり、終盤戦に残った相手のキーパーツをカットするなどの戦術性が存在した。
本仕様は最大99人の卓で対戦するSBB99モードでは既に適用されていなかったが、2022年8月2日のパッチ(Patch 71.20)に通常の8人卓にも輸入されて共有プールは廃止となった。これにより卓内のポジション取りよりも純粋に強い盤面を追い求める方向にゲーム性が変化した。

*3 エビル戦術

《Medusa》や《Rotten Appletree》などスタッツを無視して相手キャラクターと1対1交換できるエビル属性キャラクターを並べて相手を妨害する戦術。scam(詐欺)戦術とも言われる。単に1対1交換を繰り返すだけでは勝てないが、《The Great Pumpkin》で盤面を補充できる。《The Great Pumpkin》の割れ方次第の運ゲーになりがちだが、運次第ではどんな強力な相手も打ち倒せる可能性がある。

以上



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