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Liquidation

 元カノとよく行った場所や思い出の場所に行くとなった時、読者の方はどう思うのだろうか?行きたくないと気乗りしない人もいるだろうし、なんともなく行ける人もいるだろう。はたまた思い出を昔の影を拾うように良い意味で懐かしさを感じる人もいるかもしれない。
 ちなみに私は圧倒的前者である。
 よくよくお話しする同期、(過去にお菓子をくれると書いた彼)ともう1人の同期の3人組で先日の週末に中華街でご飯を食べた。
 ただ、横浜は元カノと友達期間に2人きりで遊んだ場所だった。そのことを彼らには隠すつもりだし、いい機会だから1人で色々想いを清算しようと思い、集合時間より早めにきた。
 あの時は昼前に桜木町北口で集合して、映画をみてそのあとは日本丸を見て、廃線跡を歩いてレンガ倉庫方面へ。今から2年前のことなのに覚えているもんだなぁと我ながら1人で感心していた。行く時は行きたくないなぁと自分で古傷を掘り返して凹むよりかはストレートに中華街行った方が良いだろうと思っていたし桜木町への道中、気持ち悪さが優ってグリーン券を買って新宿横浜間をグリーン車移動したものの、桜木町に着いたら着いたでなんともなかった。
 日本丸を撮る時に同じアングルで撮りたいなぁと思い、写真フォルダから必死に探したものの、残っていなかった。当時の写真だと彼女が撮ってくれたワインレッドの革ジャンを着た後ろ姿の自分の写真が残っていた。もう残ってないんだな…。自分が消したのに関わらず寂しさを感じた。廃線跡の近くの緑地に散歩中のペットのウサギを撫でたり、ウサギの写真を撮ったのも思い出した。あの日はゴールデンウィークでドイツのイベントが赤煉瓦倉庫で行われていたな。今日はライブのイベントらしい。
 象の鼻パークの石垣に腰掛けて話したな。GWだったからか人がたくさんいて座る場所を探すのも大変だった。今はガラガラだったから過去に座った同じ場所に座れた。忘れているだろうって思ったけれども自然と引き寄せられるように座れた。あの時は休暇中の防大生もいた。制服が夏服だったな。でも、今はいない。過去の思いを清算するために歩いていたのに過去の自分や元カノの姿を探してしまう。そんなものはないのにね。

 あともう一つ気がついたことある。俺、女性のこと歩かせすぎだろう。桜木町→赤煉瓦→象の鼻パーク→山下公園→中華街(通りの最初ら辺のところ)→赤煉瓦→横浜パシフィコ→桜木町。本当に申し訳ないことをしたなぁと。もし今度女性と横浜に行く機会があれば(暫くはないだろうけれども)デートプランは本当に考えた方がいいなと思った。

 少しずつ前を向けている。次は元カノと初めて行った旅行先へ行こう。社会人初めての有休を9月中旬の3連休に1日つけて4連休という形で申請しているからそこにしよう。ホテルも同じところで、行程も可能な限り同じにして。そうやって自分と向き合って少しずつでいいから前を向いて進んでいこう。1人は寂しいし悲しいけれどもちゃんと進まなきゃね。

 1人で感傷的になっていたが集合時間が近くなったので合流した。そのあとは食べ歩きしたり(小籠包で手を火傷し、食べ方が下手で笑われた)ぶらついたりした。途中で手相の店が多く呼び子にもめっちゃ声をかけられたので同期が、「筆者〜、彼女と別れたんだから新しい恋ができるかを聞いてこいよ〜」って言われて断るのもノリが悪いなぁと思い、何かの縁だということでやってみることに。

 メニューを見て予算的にタロットカードにした。占い師さんには彼女と数ヶ月前に別れた。今後どうなるかを占ってほしいと伝えた。
 3つのカードの束を1.2.3と指差していき、占い師さんがフォーメーション?を組みながら並べてひっくり返す。それを3回行った。そこで分かったことは、

・あなたは恋愛したくないって強がっているけれども本当は彼女がほしい。
・出会いはもうすでに起きている。もうすでに一度出会っている人らしい。
・その女性は異性にモテる方だが、私の立ち位置としては優位な立ち位置にいる。
・社内か社外かというとどちらでもいいが社内の方が社外と比べて良く出ている。
・運は良く、その出会いというのは複数ある。

とのこと。
寂しいけれども強がってるのは合っていて驚いた、この人見抜いてると。しかし、冷静に失恋したやつがタロットしに行くわけだから彼女ほしいってのは見え見えだろうから、当たっているとは言い難い。

 以下4点については社内で女性が多いっていうのは何も事前情報を与えていないのに当ててくるのはすごいなぁと思った。まぁこの2ヶ月、色んな人と出会ってたからその時にいいなって思ってくれた人がいたのかもしれない。

 その占い師さん曰く、彼女が欲しいとオープンにすること。ちゃんと押す時は押すことという玉虫色な回答をしていたが、いつかこれが背中を押してくれるだろうと信じている。あまりにも時間がかかったからだろうか同期が怪しいグッズ買わされていないか心配していたが、2200円以上はなんも買ってないと笑いながら答えた。

 中華食べ放題をして、地方から上京してきた彼の念願の夜景を共に見て、社内の誰が可愛いかや、街ゆく人をみてこの人可愛いなど時々下ネタ込みの男子高校生のような話をした。(時折、真面目な話もして)男って群れるとここまで子供になれるんだなと久しぶりの感覚で本当に楽しかったし、心の底から笑えた。

 昨日は髪を切りに家からバスに乗って街にでた。私の記憶に間違いがなければ4.5回元カノときたはずだ。ここ歩いたな、こんな話したな。このお店、彼女行きたがったていたけど結局行けず終いだったな…。ここのゲーセンでとったお菓子すごく喜んでくれたな。このゲームあの子好きだったな。全力でやっているのに笑いがって失礼な人だったな(この時怒りより懐かしさの方が勝っていた。)

 いつか、この複雑な思いも無くなって生きやすくはなるだろう。でも、前を向くっていうことはその人との思い出を消してしまうことな気がしてなんか嫌だ。箱の中にしまっておいてたまに開けて懐かしむように微笑みを浮かべていたい。最後にあの子の顔を自分の目で見たのは彼女が住む街に最初で最後に行って別れたときだ。あの子は目が悪いから私が泣いていたのは見えなかっただろう。私も涙で歪んであの子の顔をきちんと見ることができなかった。だからか少しずつあの子の顔を忘れそうで嫌だ。怖い。高校時代に付き合っていた子の顔は忘れてしまった。同じようになりたくない。そう思えるような恋愛をしたからだろうからかその思い出に埃が被った時に吹き払って綺麗にしておきたいと思ってしまう私もいる。
 でも、進まないとね。前よりかは悲しくなくなったし、痛みも辛さも少しずつ薄れていった。それは痛みを感じることを放棄して殻に篭っている所以か。


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