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クラブハウスに魅せられて ✕ Hard Rock Calling!

灯台下暗し:灯台のすぐ下は暗いところから、身近な事情はかえってわかりにくいたとえ。

デジタル大辞泉より

その発想はなかった。
そう言わざるを得ない。

私はクラブハウスサンドが好きだ。
トーストされたクリスピーなパンに挟まれた塩気のあるベーコンとチキン、そしてフレッシュなレタスにトマト。
三位一体とはクラブハウスサンドを表現するために産まれた言葉ではないかと思う時すらある。

また、旅行において私にはマグネットハンター以外にもう一つの顔(習慣)があり、それがご当地ハードロックカフェめぐりである。

ハードロックカフェといえばロックミュージックを聴きながら、アメリカンな料理を楽しめる空間だ。
となれば、そのラインナップに定番アメリカ料理であるクラブハウスサンドイッチも存在していた。

しかしながら私はクラブハウスサンドとハードロックカフェのどちらも好んでいながらも、ハードロックカフェでクラブハウスサンドを食べるという経験をしたことがなかったのである。

ないのであれば試すしかない。

こうして私はハードロックカフェに向かった。

東京有数のエンターテイメントの街、六本木。
その駅を出て、東京タワーのほうに向かって歩みを進めること数分。

右手を見ると、見慣れた看板が目に入る。

手前にあるのはグッズを扱うロックショップなので、そこを抜けてさらに行くと、巨大なギターオブジェが出迎えてくれる。

ハードロックカフェ・東京に到着だ。

これまで世界各地のハードロックカフェを訪れてきていたが、思えば六本木のハードロックカフェに最後に来たのはいつのことだっただろうか。
15年近くも前のことになるかもしれない。

急激に懐かしさを感じながら階段を上り、2階の店舗へと向かった。

ハードロックカフェ東京は1983年7月に世界で4番目、アジア初の店舗としてオープンし、増減が比較的激しいハードロックカフェにおいて40年以上にわたって営業を続ける老舗店舗である。


私がハードロックカフェに行くようになったのは大学時代のことであった。
当時イキって洋楽ばかり聞いていた上京したて男にとって、大音量でロックミュージックが流れる中で、普段あまり食べることのないアメリカ料理を食べられる空間というのは実に魅力的だった。

大学生がホイホイ頻繁に通うには、ハードロックカフェの客単価は安くないものであったが、同じく洋楽を愛する友人としばしば通い、誕生日にAndrew W.K.を流して祝ってもらったものである。

一時は本気でアルバイトすることも考えたが、家からのアクセスが悪いこと、シフトの融通がききづらいこと、そして好きな店の裏側を知って幻滅したくないこと、でも社割は使いたいというよこしまな思いから、同じ運営会社の別チェーンレストランをバイト先にしたことが懐かしい。

さて、そんなハードロックカフェ東京の店内に足を踏み入れると、学生の頃に戻ったようにロックミュージックが私を出迎えてくれた。

フロアはさほど広いということはないが、中2階のようなフロアもあり、席数はそれなりに確保されている。
かなりの回数訪れたものだが、中2階フロアは1度しか案内されたことはない。

そして壁にはやはり数多くのミュージシャンの楽器や衣装などが飾られている。

ハードロックカフェ東京が位置するのは東京屈指のナイトライフが楽しめる街・六本木である。観光客はもちろん、来日公演を行うミュージシャンも数多く訪れており、Bon JoviやThe Rolling Stonesがシークレットライブを行ったこともあるそうだ。

着席してメニューを見る。

ハードロックカフェといえば定番はハンバーガーであるが、私はそのほかに、Blackened Chicken Penne Pastaがお気に入りでよく注文をしていた。現在はラインナップから姿を消しているが、チーズソースのペンネの上にグリルしたチキンが豪快にのせられた一品であった。

濃厚なチーズソースの風味がお気に入りで、自宅でもしばしば再現を試みたのだが、ついにあの味にたどり着くことができないまま、記憶ばかりが薄れていってしまった。

ページをめくると、普段あまり見ることのないサンドイッチのコーナーにしっかりと彼は存在していた。

クラシッククラブサンドイッチ ¥2,080-
ホテルのそれと比べればずいぶんリーズナブルであるが、それでもなかなかのお値段である。


注文を済ませてLinkin Parkが流れる中で待つ。
私がよく連れたってハードロックカフェに行っていた友人はリンキンパークのことを「どこの公園?」と言っていたので、実は結構ニワカだった可能性がある。

一緒に頼んだアイスコーヒーがまずやってきた。

ハードロックカフェのいいところは、ソフトドリンクがお替り自由なところである。
もっとも、夜に来店した際は酒類を頼むことが多かったので、その恩恵にあずかった経験は少ない。
当時さほどビールが好きでなかった私は、よくカクテルを頼んでいた。ドラゴンエクスプレスというほぼジュースのような甘いカクテルが好きで何度か頼んでいたことが思い出される。

そうこうしているうちに、ヘッドライナーがステージにやってきた。

BGMは学生時代によく流れていたアブリル・ラヴィーンに変わっていた。

改めてクラブハウスサンドと対面する。

パンはビッグマックのように具材の間には入らない2枚構成だ。一枚肉の厚切りチキンが印象的ないで立ちと言っていいだろう。

早速一口。

パンは厚めだが、2枚構成な分ちょうどいいと感じられる。クリスピーさはさほど感じない。持った瞬間に思ったが、おそらくトマトのものと思われる果汁が滴っていることも影響しているかもしれない。

ハードロックカフェのクラブハウスサンドはチキンの主張が強い。
脂の少ないムネ肉だろうか。ソースと相まってパサつきは感じず、ジューシーさがある。
肉単体で食べると塩味が強いが、野菜と合わさることで調和されている。

チキンに塩味が利いているので相対的に存在感は薄いが、ベーコンはアメリカの朝食感のあるクリスピーな食感が良い。
総じて食べ応えのあるサンドイッチだ。

気づくとBGMはマドンナに変わっていた。

座席の背後にはマドンナのステージ衣装が飾られている。

マドンナの衣装に見られながらマドンナを聴き、そしてポテトを食べる。

ポテトはホクホク感のあるレギュラーカットタイプのものだ。

+200円でハーブガーリック味にできるということでしてみたのだが、正直ハーブガーリック感はさほど強くなかった。
しかし、写真のようにケチャップとマスタードをボトルで提供してくれるので、心置きなく皿にぶちまけて使うことができるのはポイントが高い。

BIG AMERICA! なぜかそんなことを思いながらポテトを食べ進めていく。
付け合わせのコールスローもよい。マヨネーズの程よい酸味が口内をリセットさせ、サンドやポテトをもう一口食べよう、という気にさせてくれる、ベスト付け合わせかもしれない。

そんなハードロックカフェ東京のピンバッジがこちら。

もうずいぶん前に購入したものだ。
スタンダードなギター型ではあるが、ゴリラのチャームがついているのが特徴だ。
ハードロックカフェ東京には、昔なぜかゴリラがぶら下がっていた。

ガラケー時代の写真を発掘

10年ほど前の改装の際に退役してしまったようで、今は姿を消してしまったのが残念だが、かつてのハードロックカフェ東京のシンボルとして思い出深い。


過去の懐かしい思い出がよみがえる空間で、食べたことのなかったクラブハウスサンドを食す。
単なるクラブハウスサンド食べ歩きとも、ハードロックカフェ巡りとも異なる感慨がそこにはあった。

最後に流れていたThey Might Be Giantsがなかなか良いなと思い、Spotifyのお気に入りに追加すると、席を立ち懐かしい空間を後にした。


今後も探究の旅は、続くかもしれないし続かないかもしれない。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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