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ZAIM 2019年11月号

財務三表(BS・PL・CF)と、注目ポイント

  BS(貸借対照表)、PL(損益計算書)、CF(キャッシュフロー計算書)について説明してきました。この3つは「財務三表」と呼ばれ、計数(金額)で会社の内容を示すものとして重要な諸表です。それぞれ各表において「ここに注目!」と言えるおすすめポイントを紹介します。

BSでは「自己資本比率」を見よう

 自己資本比率とは、総資本(BSの左側:資産)のうち、どの程度が自己資本(BSの右側のうち純資産)でまかなわれているかを示す比率で、自己資本(純資産)を総資本(資産)で割った比率です。いいかえると、会社の総資本のうち、返さなくてもいいものの割合がどれぐらいあるか、ということです。当然、この比率は大きい方がいいことになります。

PLでは「損益分岐点」を算出しよう

 損益分岐点とは、収益(売上)と費用が一致する金額のことです。ここより収益が多くなると利益が生まれ、ここより収益が小さくなると損失が発生します。損益分岐点が存在する理由は、費用には仕入原価のように収益に比例して発生する「変動費」と、家賃や人件費のように収益には関係なく発生する「固定費」があるからです。
 損益分岐点は低いほうがいい、いいかえれば収益に影響しない前提で、固定費が小さいほうがいいということです。

 ただし、損益分岐点がかならずしもキャッシュフローがプラスマイナスゼロになるところと一致するわけではありません。説明は省きますが、そのために、実際のお金の流れを把握するCFも見ておかなければなりません。

CFでは「キャッシュ残高」に注目しよう

 CFで期末(月末)のキャッシュ残高がマイナスになることはありません(正確には毎日の残高)。キャッシュ残高がマイナスになる(資金ショートする)ということは倒産につながります。右図ではPLの当期利益が黒字で、CFの営業CFがプラスなのにキャッシュ残高がマイナスという「黒字倒産」のパターンです。
 営業CFと投資CFの合計であるフリーCFに注目して、つねに資金ショートに注意しましょう。

<POINT>
・BSの自己資本比率は大きいほうがいい。
・PLの損益分岐点は低いほうがいい。
・CFのキャッシュ残高がマイナスになってはいけない。