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在庫と資金繰り ~ 在庫が増えると資金が減る ~

売上を上げるためには商品がないといけません。 つまり 「仕入」 をしなければならないのです。受注生産や別注品のように、仕入れた分がすべて売れる場合を除いて、 「在庫」 を持つことになります。 「在庫」 は、それが売れて代金が回収されるまでは 「資金」 とはなりません。 つまり「在庫」は 「仕入」 するのに 「資金」 は出ていくけれど、その時点では売れていないため 「資金」 が入ってこない状態なのです。
 
 販売機会を逃さないためには 「在庫」 は必要なものです。 また、あえて大量仕入れして単価を下げるという方法のメリットも否定できません。 しかし、 「在庫」 が過剰になってしまうと、次のようなデメリットが発生します。
 
・仕入れコストの増加:仕入の支払により資金が出ていったままで、回収されない状態になります。
・保管コストの増加:倉庫代や管理にかかる諸費用などで資金がかかります。
・品質劣化のおそれ:保管中に破損や劣化により、適正価格で販売できなくなります。
 ・陳腐化:販売できないでいるうちに流行遅れになってしまったり高性能の商品が売り出されたりして、適正価格で販売できなくなります。

端的に、在庫が増えるということは、その分資金化がされていないということなので、在庫の増加分だけ資金の減少をきたしていると言えるのです。 まだ売れていない在庫だからといって、仕入の支払をストップするわけにはいきませんから、その分資金繰りが悪化することになります。 従って、目的を持ったきちんと資金の裏付けがある大量仕入れなどを除いて、 「適正在庫」 を維持することが資金繰りの改善に資することとなります。
 
 前回の 「売掛金と資金繰り」 では売掛金管理の重要性を説明しました。 同様に、「在庫と資金繰り」の関係においては在庫管理の徹底が重要です。 『 在庫増 = 資金減 』 という感覚を身につけていただくことが必要でしょう。

 本コラムの記事はご理解いただきやすいように省略や簡略化していますので、すべての事例に対して正確性を担保しているものではありません。個別の事例や詳細な内容については他の解説記事等も参照してください。