見出し画像

ZAIM 2019年03月号

債務超過とBS


債務超過とは、BSにおける負債の総額が、資産の総額を超えている状態です。いいかえれば、資産(会社の財産)をすべて使っても、負債(返さなくてはいけないもの)には足りない、ということです。(下図左側)
これをBSにすると、左右バランスするためには資本(返さなくていいもの)がマイナスになってしまいます。(下図中央)
 
資本のうち、資本金がマイナスになることはありません。なので、資本金を10とすると、その他がマイナス40であることになります。下図中央では、その他は利益剰余金(会社の儲けの累計)ですので、40の赤字ということになります。この状態が「債務超過」です。
 
債務超過になっても、かならずしもすぐに倒産するとは限りません。なぜなら、負債の清算をすぐに求められることがない場合もあるからです。(債務超過でなくても倒産することがあります。これを「黒字倒産」といいます。2018年8月号でPLとCFの視点から一部解説しています)
しかし、危険な状態であることに変わりはありません。いくつか理由を考えてみましょう。
 
・      「返してもらう側(融資をしている金融機関、まだ支払を受けていない仕入先、給与支給日がきていない従業員など)」から見ると、なにかあっても返してもらうお金が足りないので早く回収したい。
・      金融機関の場合は「格付け」が下がり、金利やその他の条件が厳しくなることがある。仕入先の場合は回収不安から取引量を制限されたり支払条件が厳しくなることもある。
・      会社の財産を処分したとき、帳簿価額で売れるとは限らない。(下回る場合も上回る場合もあります)

<POINT>
・債務超過とは負債が資産を超えている状態。
・債務超過で必ずしも倒産しないが危険領域。
・債務超過でなくても倒産することもある。