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売掛金と資金繰り ~ 売上増イコール資金増ではない ~

売上がすべて現金である会社はほとんどないでしょう。 小さな商店でもカードや電子マネーで購入できる時代です。 むしろ多くの会社は現金売上より売掛金(掛売)のシェアが大きいのではないでしょうか。資金繰りから見ると、いくら売上があがってもそれが売掛金の場合、回収されなければ資金の増加にはつながりません。
 
 売上高がすべて現金の場合と、すべて売掛金の場合を比べてみましょう。下図でお分かりのように、(1)すべて現金の場合、は資金調達は不要ですが、 (2)すべて売掛金の場合でも資金調達をすれば、資金は大丈夫ですが、 (3)すべて売掛金で資金調達をしなければ、月末残高が資金不足(資金ショート)となってしまいます。 また、例では売掛金の回収は翌月となっているので、資金調達も当月だけで済みますが、もし回収が翌々月になった場合、翌月も資金調達の必要があるかもしれません。
 
(図の例は、損益が黒字であることに注目してください。 それでも場合によっては資金調達が必要になります)

 もちろん、実際の経営では毎月の事業活動が継続しているので、前月までの売掛金の回収が当月にあったり、翌月の資金繰りでは新たな売上や売掛金の回収があったりするため、ただちに資金ショートしてしまうことはないかもしれません。 ただ、繁忙期や閑散期、大きな受注があったときなど、売掛金の額の変動や、売上に伴う仕入れの支払(買掛金の支払)のずれで、一時的に資金ショートすることがないようにしなくてはなりません。
 
 例えば売上が拡大していく成長過程で、売掛金の回収より支払が先行する場合など、それまでの回収分でまかないきれず、売上は伸びているのに資金調達の必要が発生することもあります。
 
 多くの会社では、一般に売掛金は資金の収入の大きな部分を占めるので、その回収期間や回収率、さらには不良債権の発生などに十分な注意を払っておくことが、資金繰りにとっては重要です。

 本コラムの記事はご理解いただきやすいように省略や簡略化していますので、すべての事例に対して正確性を担保しているものではありません。個別の事例や詳細な内容については他の解説記事等も参照してください。
 


 
 売掛金は回収期間が長くなればなるほど、資金繰りの悪さにつながるのです。