ZAIM 2019年04月号
BSは会社の健康診断書
前月号で正常なBSと債務超過のBSを概観しました。正常なBSとは、会社の財産(資産)が返さなくてはいけないもの(負債)を上回っているのに対し、債務超過のBSは返さなくてはいけないもの(負債)が会社の財産(資産)よりも多い状態です。言い換えれば、会社の財産をすべて帳簿価格で処分できたとしても、すべてを返すことができないということです。
また別の視点から見てみましょう。それは、返さなくてもいいもの(資本)の内容です。非常におおざっぱに言うと、返さなくてもいいものは「資本金」と「利益剰余金」の合計です。「資本金」とは、事業活動をともなわずに集めた資金(出資金)です。「利益剰余金」とは、事業活動により積み上げた資金です。
下図の△のBSは、返さなくてもいいものが7となっています。資本金が10なので、7=10+▲3という計算になります。つまりこの場合、債務超過ではないが事業活動の結果の累計はマイナスである、ということです。
3つの表を比べてみると、どれが一番望ましい健康診断書であるか、お分かりいただけると思います。
まず会社がどの状態にあるかをBSを見て判断してみてください。上図で〇・△・×のどれに位置するかがわかったら、その左側にある状態に移行するにはどうすればいいかを考えます。(×→△、△→〇にするには……)そのほうが安定的であり、将来に対する投資もしやすい状態であることが想像いただけるでしょう。
また、上図の数字は金額で想定していますが、「割合」と考えていただいても同じことが言えます。
左の会社の財産(資産)を100としたときに、右の返さなくてもいいもの(資本)の割合が30であるとします。では、会社の財産が90になるとどうでしょう。返さなくてもいいものが30のままなら、割合は90/30=100/33.3となり、より安定度が増すことがわかります。これを 「自己資本比率」 といい、会社の安定度を示す重要な指標のひとつです。
<POINT>
・返さなくてもいいものが多いほど会社は安定。
・自己資本比率は安定度を示す指標のひとつ。