宝生流所演曲の上演回数を調べてみた

ある日国立能楽堂の公演記録を眺めていると、ふと「これって宝生流の上演データだけ抽出できるのでは……?」ということに気づきました。調べたところ、観世流には70年間分・81,907番の上演記録をまとめたすさまじいデータを作られた方がいらっしゃいましたが、宝生流には(少なくともネット上には)そういうデータはありませんでしたので、とりあえず作ってみることにしました(単純)。

集計の対象にした公演と出典は以下の通りです。

  • 宝生能楽堂の五雲能(旧・五雲会)、月浪能(旧・月並能)、月浪能特別会(旧・春/秋の別会能)、夜能、春/秋の女流能(旧・立春能/文月能)、青雲会

  • 金沢能楽会の定例能、別会能、観能の夕べ

  • 名古屋宝生会の新春能、蛍火能

  • 七宝会の主催公演
    出典:【柳の下】~能・狂言~

以上の公演について、出典元の情報をすべて集計しました。国立能楽堂公演は第一回公演から現在まで、それ以外の公演は柳の下に掲載されている分(おおよそ2006年秋から現在までのうち、サイトに投稿された公演回)になります。柳の下の管理者さま、公演情報を投稿してくださったみなさま、ありがとうございます。

それ以外にも公演はたくさんあり、その中には稀曲や大曲を上演されているものがあることは把握していますが、すべてを網羅するのは大変なのでひとまず以上の公演だけでご容赦ください。(ただし、2007年今井泰男師の〈関寺小町〉、2021年田崎隆三師の〈姨捨〉はカウントしました)

では、どうぞ

  • 曲は宝生流が能として上演する179番に〈翁〉、〈雷電〉を加えた181番です。小書ありと小書なしは区別していませんが、〈乱〉のみ〈猩々〉と区別して独立させました。

  • 仕舞、舞囃子、一調などの能でない上演形式はカウントしませんでした。ただし、半能はカウントしました。

  • 公演中止になった場合は集計から除きました。また、柳の下でダブって投稿されていた公演については、一回のみカウントされるようにしました。

  • 残念ながら情報の正確性は保証できませんし、すべての公演を網羅したわけではないので上演数になにか意味があるわけでもありません。アマチュア愛好家が眺めて楽しむために作った以外の意図はないことにご留意ください。

  • サーバーに負荷をかけないように留意しました。

集計した演能はのべ 2,469 番でした。上演回数順に並び変えましたが、やはりデータが少ないので縮退していてあまりおもしろくないですね……。とはいえ、先に紹介した観世流のデータと比べると流儀の特徴を捉える参考程度にはなるのではと思います。


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