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ホロコーストは表象可能か?という議論がある。ホロコースト、すなわちナチスによるユダヤ人大量虐殺は、旧来の概念では追いつかないようなあまりに極限に位置するできごとだったために、その表象には限界があるのではないかと。 この議論に一つのアンサーを提示したのが映画『サウルの息子』。2016年に日本公開された本作は、ハンガリー出身の監督による長編デビュー作。私は大学の講義で観る機会があったが、凄かった。とにかく凄くて、圧倒されてしまって、この文章を書くに至った。 アウシュヴィッツの