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2つの「新しい」(New&Neo)が折り重なる虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 「お台場を舞台」と書かれた虹ヶ咲の広告が登場し、当初ロードマップになかったテレビアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』が遂に始まりました。いわゆる別世界線の新しい虹ヶ咲が描かれていくわけですが、1話を見ていてふと目にとまった単語がありました。それはNeoです。

今回は「新しい」を意味する2つの単語から虹ヶ咲が意識させてくる新しさの重層性とアニメのテーマについて考えてみました。まだ虹が見えない雲の中を掴む状態なので抽象的です。

全く新しい物語の幕開け (Brand New Story)

 振り返れば9月に開催された新曲を軸としたライブのタイトルは「Brand New Story」でした。

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意訳すれば「全く新しい虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の物語」。実際ユニットシングルや初のCGではないアニメーションPVなどもひっさげ、『未来ハーモニー』と『Just Believe!!!』でキャラクター・キャストの両サイドから新しい物語のスタートを切ったのでした。スクスタの画面から飛び出しようやく自分の作品名を獲得した同好会が紡ぐストーリーの先には、当然テレビアニメの存在もあったことでしょう。

そして刷新する物語へ (NEO SKY! ,NEO MAP!)

 そのテレビアニメではエンディングテーマとして「NEO SKY!, NEO MAP!」が登場します。

この歌は作詞が畑亜貴さんに原点回帰したことも話題になりました。NEOはNewと同じく「新しい」と訳しますが、Newが今まで存在しないものを表すのに対してNeoはこれまであったものを刷新していくことを指します。そこから復活を意味する表現としても使われます。本来NEOは単体で使わないので少し不思議な表現ですが、ひとまず曲名を直訳すれば「既にあった空と地図を刷新する」を意味します。

今はまだ刷新されていく空と地図が何を示しているのか分厚い雲に遮られていますが、第1話のストーリー紹介にはこんなくだりがあります。

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侑と歩夢がいつもの日常を過ごすお台場の景色や、2人で近々予備校通いを計画していた生活。そんな日常を一変させたスクールアイドルと同好会を通して、漠然ではありますが、変わらないと思っていたもの(空や景色)と見通せていたもの(道や地図)を新しいものに差し替え未知の虹を架けていくのが2人にとってキーであり、アニメ虹ヶ咲のテーマかもしれません。彼女達がμ'sやAqoursと違い廃校の大きな課題にぶつからずどこまでも理想(自己実現)を追求できそうな環境にあることも関係してきそうです。

終わりに:2つの「新しい」が折り重なる虹ヶ咲

 Brand New Storyの先で始まる全く新しい物語。スクスタの9人を知るファンにとってアニメの9人は未知であると同時に、知っているはずの子の知らない側面が登場しイメージの刷新を迫られていく話でもあります。そして当の9人+1人も各自が思い描く理想と自己実現に向けて未知の場所へ走って行く。言ってしまえば物語の構造としてこの2つの視点は必然の存在ではありますが、視聴者にとってもキャラクターにとって2つの「新しい」が幾重にも折り重なっていることを強く意識させるのがBrand New StoryとNEO SKY!,NEO MAPで用いられた2つの違う表現だと思いました。

蛇足:進化し続けたお台場から変わらないお台場へ

 お台場の知名度向上に貢献した『踊る大捜査線』(1996~2012)では途中まで開発途中の進化し続ける街としてお台場(臨海副都心)が描かれていました。

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それから時は経過し、アニメ虹ヶ咲では主人公の侑にとってお台場は変わらない日常がある場所として描いています。更地から大規模開発を行い街びらきから24年を迎えたこの街も、まだ空き地があるとはいえ、景色は大分定まり描かれ方が変わってきたようです。お台場に虹ヶ咲が登場したこと自体は全く新しいことですが、その描かれ方はこれまでお台場を舞台にした作品のイメージを少なからず刷新するものなのかもしれません。

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