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アニメ虹ヶ咲 第01話の感想 -交差する5つの視点-

 リアタイで書ける経験は一生に一度一週間だけなこともあり、時間が取れるときだけ書いてみようかなと思いました。実はアニメ化以前からラブライブ!シリーズの作品を追っていたのは虹ヶ咲が初めてで、アニメから入ったサンシャイン!!の時と比べると見るべき視点が非常に多く取りまとめに窮しました。結局は浮かんだ5つの視点全てを書き出してみました。

作品単体としての感想

 素直に言葉にすれば、始まりのストーリーの作りとしては日常からの変化を劇的にを描くスタンダードな作りです。しかしそのなかでとりわけ歩夢の変化を通して感情に訴えてくる作りが秀逸と捉えました。

可愛いとは思うけど子供っぽいって。(中略)。もうそういうのは卒業だよ。

ピンク色の服にそのようにコメントして、優木せつ菜に出会ってからは表立って突き動かされていく侑と手を引かれ背中を見ている位置関係の歩夢。

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しかし一見侑がリードする物語に見えて大きく描かれないだけで、歩夢自身もスクールアイドルへの興味に揺れ動きながら侑の手に引かれていたことがわかります。

本当は私もせつ菜さんに会ってみたかった。けど、会っちゃったら自分の気持ちが止まらなくなりそうでこわかったの。それでも動き始めたなら止めちゃいけない。我慢しちゃいけない。(中略)。自分に素直になりたい。だから、見ててほしい。(中略)。私は、スクールアイドルやってみたい!

リードする側とリードされる関係性は侑が廃部を知ってときめきを失いかけるところで転換します。幼馴染みにも気持ちを出さずにいた歩夢が2人で始めようと伝える。幼馴染みに新しい目的を与え、歩夢自身もスクールアイドルに向き合い、序盤で卒業したつもりでいた"かわいいもの"の話を通して乗り越えた気持ちを吐露します。

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 スクールアイドルになると決めた少女と夢を追いかける人を応援したら何かが始まると感じた少女のはじまりは、おそろいのパスケース(2人の夢へと進む想いの器)を通して互いの気持ちが通じ合ったことを確認して幕を閉じます。こうして変わらない日常を過ごし予備校から進学へ進む将来が見えていた2人は新しい景色と地図を描き始めるのでしょう。

一度ときめいて消えかけた熱意(侑)と陰で揺れ動き続けて火をともした決意(歩夢)、そして話を引っ張る側と引っ張られる側の入れ替わり、さらには最後の通じ合う気持ち。「Dream with You」の会話とステージには2人がスクールアイドルに出会い始まった物語と湧き出た感情の起承転結(プロセス)が凝縮されています。曲名も訳せば「あなた(You - 侑)との夢」で文字と発音で名前に掛けてるのも非の打ち所がないチョイスです。見ればみるほど最初から最終回だとかお幸せに!と言いたくなる話でした。それが第01話を何度見ても見飽きずに噛みしめられる良さの裏付けだと思います。

 一方で侑と歩夢を動かした優木せつ菜は不本意なソロライブを行い、本来同好会にいた4人も各々ネガティブな想いを抱えながら物語は始まります。キービジュアルから今度は侑がせつ菜を引っ張りに行くのかと思うと、次からが楽しみですね。

スクスタなどの別世界線と比較して


今のところあまりネガティブな感情はないので箇条書きで書き留めておきます。

・詳しくは別の人にお任せしますが、様々な虹ヶ咲の媒体やキャストからアイテムや表現の引用があり今までの虹ヶ咲の集大成を感じる。パスケースの抜擢ぶりは目を見張ります
・他の具体的なスクールアイドルを出さずに虹ヶ咲を主体に作っているところが良い
・歩夢が序盤から侑ちゃんと同じ土俵で渡り合える性格になっていて物語が偏らなくて良い。でも修羅場になったら侑ちゃんは苦労するでしょうね
・お台場の景色がきちんと描写されているので舞台を探しやすい。シャニマスの爪を煎じて飲ませたい
・最初からエマ・果林(アニメでも同じ部屋に下宿?)、愛・璃奈のようにペアが決まってるので新しい組み合わせは望み薄?


他のラブライブ!シリーズと比較して

定石がないラブライブ!の不安と期待

 これまで連続していた「廃校阻止」を軸にしたストーリーはバネとするものが大きいだけに感情を爆発的に揺さぶられてきました。一方で外発的な課題が降ってきてそれを乗り越ようとする物語は辛さや重荷を抱えて進んでいたこともあり、とりわけ『ラブライブ!サンシャイン!!』2期ではキャラクターの暗い表情が多かったのも事実です。

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その点を踏まえると、廃校の要素を感じにくいニジガクの子達は純粋に自己実現の為にスクールアイドルをやっていく姿が見られるのかもしれません。なんせ最初から失敗と呼べる不本意なライブから物語が動き始め、さらには廃部になったところから始まるくらいですし。ある意味でラブライブ!優勝を狙わずに重い試練を課されないところには物足りなさがあるかもしれないし、ある意味で9+1色の純度を高めた熱量溢れる作品になるかもしれない。そんないつも通りではない不安といつも通りではない期待に挟まれたのが第01話でした。

個人的には生まれが特殊な虹ヶ咲は2代に渡って定まりつつあるラブライブ!シリーズ成功の枠組(盤石な体制)を内部から再構築して新しい世界を作っていく役割を背負っていると捉えています。既にそれは媒体、作詞、キャラクターデザインなどなど枚挙に暇がありません。ですから、優勝してお台場海浜公園に旗を立てる光景自体が既に固定概念に過ぎなかったと気づかされることが、自分にとって虹ヶ咲で見届けたいゴールなのかもしれません。優勝を見たくないかと言われれば、もちろん見たいしまだそのイメージの方が強いです...。(二律背反)

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加入とカタルシスの関係性の変化

 これまでのシリーズではグループに入る個別回ではこうあるべき・思い込み・すれ違いといった縛りを解くカタルシスエピソードが多く描かれてきました。その点において、上原歩夢は幼馴染みに相談せず自ら悩んで終止符を打って踏み出したことが特筆すべきところと言えます。

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また、主人公の高咲侑に至っては変わらない日々を感じつつも今のところ"べき論"に囚われている側面を感じられないフットワークの軽い子です。これから2人が出会う8人にどのようなエピソードが待ち構えているのかは予想できるようでできない点が多いですが、スクスタが少なからずそうであったようにグループではなく同好会の形では加入(再加入)がキャラクターにもたらす意味が変わるのかもしれません。

舞台で比較して

 秋葉原は割と近しい面を持つので文字数的に割愛しますが、サンシャイン!!では高海千歌は地元の見え方の変化を語ってました。

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私・・・心の中でずっと叫んでた。助けてって、 ここには何もないって。でも違ったんだ

一方で、個人的にはお台場は一見何でもあるけど実のところ何があるんだろうのイメージが強かったりします。それは元々埋立地で人が住んで働く場所になって24年程度だから固有の文化や民俗の面が薄いところに寄るのかもしれないし、基本的に大きな施設単位で区画が分けられている場所なので街の人の輪郭が見えづらいところもあります。

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アニメ虹ヶ咲は良くも悪くも街の有り様の縛りを受けず自由に描けるかもしれない期待を頂きつつ、同時に、作中でお台場がスクールアイドルの舞台としてどのように描かれていくのか楽しみです。少なくとも既に言えることは、お台場はかつて『踊る大捜査線』で進化し続ける街として描かれましたが、アニメ虹ヶ咲の侑と歩夢にとっては変わらないはずの日常が進む変わらない街として描かれている点が興味深いです。

気に入った風景カット

私的に刺さったカットを貼ってみます。

アニメ虹ヶ咲最初のカットで先行カット回収をやらかす

 きちんと本来の意味での「お台場」近くを写したカットに好感を持てます。それ以上に、半年前にほぼ同じアングルを撮っていたので驚きました。ホントに先行カット回収ってあるんですね。撮った写真を額縁に入れて飾ろうと思います。この辺りは雲間から日が差すと綺麗なんですよ。

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虹と雨

 お台場へ通い始めた1年前から雨が降るたびに撮りたいものが撮れずにげんなりしながら傘を差していました。しかし『NEO SKY!, NEO MAP』の90秒が1年間のそんな気持ちを吹っ飛ばしました。お台場で傘を差すことに持てる意味が変わったなら、もう少し撮ってみるものも変えようかなと思ったのでした。

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