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アニメに登場した舞台を整理して聖地巡礼マップへ落とし込む為のワークフローの紹介



 前回のnoteでGoogleマイマップにテレビアニメの聖地巡礼マップを作ったら思わぬ方向になった(データベースができた)話を振り返りました。

今回は実際にその聖地巡礼マップを作ってたプロセスについて説明していこうと思います。舞台をまとめたもの自体は様々な作品で様々な表現方法でみかけますが、その作り方のノウハウは殆ど見かけなかったので見よう見まねで1年半程度かけて構築していったものです。果たしてここまで作り込む人が他にいるのかは定かではないですが、聖地巡礼(あるいは舞台巡りや舞台探訪)で地図を作ろうと思った時に何かの参考になれば幸いです。

毎回紹介するのもアレですが、舞台は『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』とその聖地巡礼マップです。

そもそもの作る目的は?

 テレビアニメに登場した実在の場所をGoogleマイマップに座標として登録し聖地巡礼マップを作ります。当初はどこが出るのかまとめたい思いが先行していましたが、最後は自分や閲覧者が聖地巡礼する際の一助とするためのものとなりました。

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なぜワークフローが必要か

 最大の理由は毎週膨大に供給される舞台を抜け漏れ・破綻なく捌き続ける為です。アニガサキで言えば概ね4話で80箇所近く登録していました。

土地勘があれば約7割の場所は一目で特定できます。しかし2割程度は実際に行かなければ特定しきれず、更に1割に至ってはさっぱり分からずSNS、Googleマップや舞台を探し回ることになります。所要時間で言えば最初の7割を捌く時間と残りの3割を捌く時間はあまり変わらず、むしろドツボにハマると無限に掛かります。宿題が残り続けるので持ち越す分を管理し続ける意味でもやはりワークフローは必要でした。昨今の情勢から基本ソロ活動だったのでセルフチェックの意味合いもありました。

ミッションと実際のスケジュール感

振り返ればかなりタイトなスケジュールで動いてました。

【ミッション】

1. 登場した場所をできうる限り細かく特定して聖地巡礼マップに登録すること
2. 登場した場所をカット回収(写真で記録)すること
3. 放送翌朝4時までに現地調査不要な場所のマップへの初回登録を済ませること。
4.なるべく翌週の放送前までに1話分の登録を済ませる
5. 登録した場所を隔週で聖地巡礼リーフレットにまとめて配布すること。

後述のフロー図は1〜5までカバーしてますが、付随的なことも多いため今回の話題の中心は主に1です。3は1の補足事項で4は期限の話で5は今後の機会で振り返ります。
3つのなかでも3.は当初盛り込んでいない内容でした。これはHPのアクセス解析を通して日曜朝6時から閲覧者が増えることが分かったため、流れに乗る形で後から追加したものです。どのみち日曜朝から舞台回りをするために深夜まで場所の仕分けと捜索作業に追われます。午前4時は客観的には狂ったスケジューリングですが主観的にはどの道起きているので大した話ではないのでした。どの道寝不足は確定なのですから。

ワークフロー図

図自体が成果物なので貼ってほぼおしまいです。ここでは言及してないリーフレットなどの情報も含まれてます。使うツールについては次のところで説明します。

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ポイントを文章にすればこんな感じです。

1. 放送終了後に登場した場所のスクリーンショットを一通り整理して場所毎にスクラップします。これが回収すべき分母になります。
2. 即座に分かる場所は翌朝4時までにGoogleマイマップに登録します。捌けるものはここで捌いてしまいます。
3. カット回収や舞台探しに行く場所のルートを練ります。これが行動計画になります。
4. 寝ます。
5. ひたすら現地を移動してスクラップ片手に写真を撮ったり探します。計画の実施にあたります。
6. 分かった分はGoogleマイマップに都度追加登録していき、分からない場所は課題として持ち越します。これが進捗であり成果になります。そこからブログとか現像に派生していきます。
7.次の放送を待ちます

これを13回繰り返します。その為にゆりかもめの定期券で乗り回し、歩き回り、さらにレンタルサイクルで走り回るのが土日のルーチンでした。

仰々しい図を貼っておいてなんですが、独りでは聖地巡礼マップは作りきれません。分かっている場所を整理するだけでもかなりのカロリーが必要なので、不明な場所を探す段階になると消耗していて気が進みません。全13話続けてやるためにはフォローしている方々から情報を頂けなかったら途中で詰んでいたと思います。コロナがなければもっと色々な方々とやりたかったのですが、それでもSNSと優しい方々のありがたさを感じた3ヶ月でした。

使ったもの・ツール・ソフトの紹介

普段からWin/Mac/iPhone/Android全て使う人間なので基本どれでも動くものを選んでいました。

ゆりかもめの全線定期券 3ヶ月分

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最短ルートを使って最少の時間で最大限回るには不可欠でした。聖地巡礼で定期券は頭おかしい話ですが、後から精算したら控えめの推定で元は取れていたので狂気と合理性は両立可能です。副次的に交通費を気にしなくて良いという気持ち的な余裕は良かったですね。

バイクシェア

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自治体やドコモが提供しているレンタルサイクルです。体感8割以上のバイクがどこかしら異常を抱えている安全性が破綻したサービスですが、30分150円から使えて臨海副都心を走り回れるのは時短する上でとても心強いです。

Evernote Premium

カット回収だけならスクショを単発保管しておけばよいのですが、抜け漏れのチェックや描かれ方・アレンジのされ方の比較や今後同人誌を作るかもしれない一歩先のことまで念頭に置いていたため、ベースとなる資料はきちんと整備する必要がありました。そこで舞台が登場するほぼ全カットを場所ごとに仕分けていました。

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いわばデータベースであり、この下地作業ができれば後は幾らでも参照・応用が利くので最も重要なプロセスのひとつでした。裏を返すとここに登録漏れして完全に見落としてしまうケースが散見されます。


Microsoft To Do

To Doリストアプリです。毎週訪れる場所とタスクの管理ツールにしてました。たまたまこれを使っていたので他でも良いでしょう。臨海副都心は4地区に分かれるため、ノート名を貼って近しい場所からルートをふんわり練って行脚していくスタイルにしています。現地でうろうろして次をどうするか考える時間がもったいないので先に全て決めるスタイルにしてました。
現在は大分あっさりしてしまったので貼れるスクショもありませんでした...。

Photoscape X

撮影した写真や整理したスクリーンショットを閲覧するのに便利な写真ビューワ。無料版でもかなり豊富な編集機能があるので画質を重視しないちょっとしたレタッチもその場でできます

Powerpoint / Adobe InDesign

当初Powerpointで作成していた聖地巡礼リーフレットを途中からInDesignに切り替えたことで細かいレイアウトが可能になりました。虹ヶ咲の同人誌を作る際に触っていなかったら1から触ることになり、恐らく途中で詰んでいました。経験はどこで活きるか分からないものです。リーフレットの話はまた今後書きます。

Adobe Lightroom

撮影した写真の現像ソフト。カット回収の話は別で書く予定ですが、普通に撮影するだけならスマホの撮って出しで即使えるものを用意してPhotoscapeXで編集する方が圧倒的に低カロリーです。カット回収ひいてはカット合わせに囚われるとここの作業コストが無尽蔵に膨張して首が絞まりました。撮影時はせめてRAW+JPGにしてそのまま使える素材を残しておきましょう…。未だに回収した写真の整理が終わってません。

2台目あるいはRAWで撮れるスマートフォン

スマートフォンだけでカット回収する場合は2台持ちにしてカットを比較しながら撮る方が撮れ高が上がります。(古いですがカメラにオーバーレイでスクショを表示するアプリもあるのでそういうやり方もあります)

何より、RAWデータで撮れるスマホや超広角レンズ・望遠レンズを搭載したスマホも増えたので幅広い画角でスマホでカバーできる時代になりました。知らない人も多いですが、モバイル用のAdobe LightroomアプリはどのスマホでもRAWを残す撮影ができます。(ただしAndroidは複数レンズを搭載してると内部でメイン扱いのレンズ1つしか使えない)

元々『無敵級*ビリーバー』のときはスマホ縛りでPixel3XLを使っていた位でした。個人的には癖がなく手持ちでの夜景撮影でRAWデータも作成できるGoogle Pixelシリーズがお勧めです。また、カット回収については次の記事で振り返ります。

最後はGoogleマイマップに登録

現地で確認したりした座標をマイマップに登録して以下の情報を登録します。

- 参考用のスクリーンショットと現地写真
- 初出日と媒体/話数
- 説明・補足・参考URL
- ピンの作成日
- 属性情報(タグ)

タグは住所、地区名、区画名、施設名、登場人物名、曲名です。あとは、検証不足や断言できない場所はピンのアイコンをグレーにしてました。

登録するとこんな感じになります。

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まとめ

各段落に盛り込めなかったものも含めて総括しておきます。

狭い臨海副都心だからできた無謀

割と無謀な回収工程も舞台がコンパクトで交通手段が充実してることで可能になった側面が大きいです。これが沼津だったら車を持っていない自分にはそもそも不可能ですからね。そういう意味では最新作の『ラブライブ!スーパースター!!』も足回りに苦労はないですが、範囲が広がり建物内部(Y軸)の移動が相まって結構疲れる予感がします。

それでも独りじゃ無理

完全に舐めプしていたところです。独りじゃ無理でして、ツイッターで同じような情報を発信する方や情報を寄せてくださる方々に助けられました。

更新ペースはきちんと決めておいた方が良い

 何となくで翌週放送までに前週分の整理を追えるペースでいた結果、かなりリアルタイム性の高いマップ構築が出来た反面、平日の夜もマップ関係の作業に追われました。1人ならもう少し緩くしたり、せめて手分けするなどのアプローチがあった方が良いでしょうね。

平日が自分との戦争状態になる

 土日が疲れのピークのまま平日に突入するため、めぐりズムとお香とバブで惜しみなく回復に力を入れてました。しかも作業ができるのは平日夜中心なので3ヶ月間ほぼノンストップでした。倒れなくて良かった。

慣れと停滞を繰り返

先のワークフローも4話位になればかなりハイペースでこなせるようになりましたが、全体のボリュームが増えてくると行き来する情報が増えちょっとした割込でどんどん作業が遅れます。最終的に写真の現像を諦めるなど割り切った部分もかなり出てます。ワークフローで灰色になっている部分は全体最適のために省いたところです。

本来の楽しみ方がしたくなる

好きでやってるつもりがアニメ本編を楽しむよりも舞台探しの方にリソースが集中してしまうため、肝心の物語の話ができずにストレスになります。途中から土曜日にお台場へ泊まって放送後に振り返る時間を作るようになるわけですが、舞台で作品を見る一度きりの楽しみの陰には、無理矢理集中する時間を作る限界突破状態が否めませんでした。

ダイエットになる

毎週末に臨海副都心をカメラバッグとノートPCを背負って1日2万歩以上・レンタルサイクル・ゆりかもめでの移動を繰り返していたら4kg痩せました。ちなみに沼津でも写真撮影に夢中で5kg痩せました。舞台で美味しい物を食べて太る話もよく聞きますが、自分にはラブライブ!は代々ダイエットです。

振り返れば元のインドアオタクから聖地巡礼に興味を持ってアウトドアになっていった自分にとって、この作品は広さと深さの両面から行き着いた究極形だったと思います。ある意味、好きな作品を通して見知ったものを更に身近で大好きな作品でアウトプットできたのはとても楽しかったです。出てきた舞台を巡ってその地を知って作品理解を深めていくアプローチは今後もやっていきたいですね。

「面白かった」「役に立った」など琴線に触れる部分があれば、スキなどのリアクションを頂けると今後書くモチベとテーマの参考になります🙏