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夢が実を結んだ場所、そして。 - 虹ヶ咲5th Live!の振り返り -

虹が咲いた夏は過ぎ、お台場はすっかりアニガサキ2期の季節です。

解体を待つヴィーナスフォート

今回は3rd Live!以降書いている感想noteの5th Live!版です。色々落ち着かなくて時間が掛かってしまいました。

その時の見方を残すことが目的のため、今回もトピック単位で書いています。4th Live!ではパズルになぞらえてピースをキーワードにしたことから、今回は"虹が咲く場所"と背中合わせで"実を結んで来たこと"にいくらか意識を向けてみました。

「虹が咲く場所」はプリズムだった

キャストからアニガサキ2期を背負ってのライブと語られるように、ライブタイトルの「虹が咲く場所」は、13人の物語を現実として描いた場所でした。しかしそれに留まらず、これまで以上に想いやクソデカ感情が重なったライブでした。その一端がライブ会場選びや振り返り映像にも表れているように、新しい場と帰ってきた場として幾つもの意味が重ねられています。

例えば...

  • 「虹が咲く」のタイトル自体が虹ヶ咲の名を表していて、例えるならアニメのサブタイに作品名が付いた時のクライマックスを感じたこと

  • ライブ中で活動をおさらいする映像などを踏まえ、キャストにとって、そして虹ヶ咲と"あなた"にとっても物語(スクスタで言えばキズナエピソード)が辿り着く集大成の場となっていたこと

  • 5th Live!のベースであるアニガサキが虹ヶ咲の歴史を内包していたことから、新しい物語と思い出の両面から思い入れを持てる場になっていたこと

  • 作中東京ガーデンシアターで開催された1st Liveと実際の1st Live/2nd Live!とが重なり、会場選びからも凱旋公演の側面を帯びていたこと

  • Colorful Dreams! Colorful Smiles!公演とNext TOKIMEKI公演の2段階構成となり、後半は文字通り未来へと向けた始まりを描く場所だったこと

つまり、5th Live!は一義的にはアニガサキ2期をテーマにしていましたが、描かれた物語や会場選びなどが合わさったことで複数の視点から重層的に位置づけ出来るライブになり、いわば「過去・未来・イマ」が凝縮された場所でした。そうした場所を虹になぞらえれば、「虹が咲く場所」とはあらゆる虹ヶ咲的なものを集め通すプリズムのようなステージだったのでしょう。とりわけNext TOKIMEKI公演は、通した光が次へ進む起点だったと言えます。

言い換えれば、ニジガクと高咲侑を含む"あなた"を率いてきた想いと夢の光とがライブ会場に集約され、ステージというプリズムで拡散・屈折することで、13色だったり思い思いの色で次に向かう場所でした。だからこれまでのナンバリングライブのなかでも別格に思い入れを感じるのです。その極致がダブルアンコールでした。

そうした思い入れが、私にとっては1st Liveの初々しいステージにハラハラした思い出だったり、声出しで喜べたテレビアニメ化の思い出だったり、無観客開催の2nd Live!に残した無念だったり、自分なりにニジガクを応援しようと思ってやってきたことだったり、ニジガクに背中を押されて新しいことに挑戦していくイマだったり。

これはスクスタで言うところのキズナエピソードに相当します。ひとりひとりの"あなた"がニジガクに触れながら体験してきた固有の物語が交差する場所として、ニジガクにとってはもちろん、"あなた"の数だけステージのプリズムを通して明日への架け橋を紡いでいく場所だったと言えます。

その千秋楽では本当に虹が架かってしまうのですから、ニジガクは他シリーズのように天気を変える力はなくとも、それを味方として作品の物語に取り込む力があるのがとても感動的でした。

最初から長くなりましたが、虹ヶ咲 のナンバリングライブのなかでも別格の思い入れを感じて臨んだ5th Live!について、虹になぞらえたプリズムとして言語化してみました。人の数だけ歩んできた物語の実を結ぶ場が「虹が咲く場所」であり、武蔵野の森から放たれた光が次はどんな虹を描いて集束するのか。それが「Next TOKIMEKI」で見届けて行きたいところです。

ファンにとっての時間差を超えたライブ

アニガサキから虹ヶ咲に触れたファンにとって、それまでのライブや歩みは歴史として触れられない歯がゆさに直面することがあります。

First Liveのパンフレット

その点において、アニガサキ2期が作中で1st Liveを再演したことで、実際のライブでもファンの時間の壁を越えて共有できるようにしました。

元々ニジガクはμ'sとAqoursが一緒にいる時間を超えた世界線で生まれたことから、今度はファンにとっての時間の壁を越えてきたと言えます。"実を結ぶ"からは少しズレますが、ここまでの歩みがあったからこそ5th Live!はファンが作品と向き合う時間の壁を超えて結びつけることに成功しました。歴史を拾った次の一手は?というのが私なりに楽しみにしているポイントです。

高咲侑と"あなた"の相互性が結んだ場

この話はアニガサキ2期直前に書いた高咲侑と"あなた"の関係性を書いたnoteが前提です。

noteの話を端的に言えば、高咲侑の登場はファンである"あなた"では出来なかったことを可能にし、虹ヶ咲の世界と物語を拡げ深めました。一方でファンにはファンで"あなた"にしかない虹ヶ咲とのキズナエピソードがあります。作品に触れて変わったことだったり、 聖地巡礼で見たものであったり、作品を介して知り合った人であったり、そういったものが代えがたい"あなた"と虹ヶ咲との物語です。 

自分にとっては写真がトキメキだったりで

とはいえ"あなた"には出来ないことがあり、身も蓋もないことを言ってしまえば、不特定多数の"あなた"では観客席とステージの間には壁が存在します。物語と現実のそのような壁を、高咲侑と矢野妃菜喜さんが飛び越えたことで新しい物語を描けるようになりました。だから高咲侑にしかできない託したい部分と"あなた"(ファン)にしか出来ない部分それぞれ楽しんで行きたいなぁ…と待っていたのがアニガサキ2期でした。

要約を踏まえ、5th Live!の「Future Parade」ではキャストと同じ目線で矢野さんがトロッコで回り、夢を与える側としてスクールアイドルと同じ場所に立つ姿がありました。"あなた"から高咲侑へと成長していった物語の集大成を感じるステージでとても好きな場面です。同時に、高咲侑が1人の人物として自立したことは、裏を返せばステージ側の人物として遠い場所へ行ってしまったと考える部分もあります。それが"みんなで叶える物語"としての虹ヶ咲の姿ではあるでしょう。

そんな風に思いましたが、Next TOKIMEKI DAY2の挨拶で矢野さんは"あなた"がいなければ高咲侑は生まれず、侑ちゃんがいなければ皆(ニジガク)には出会えなかったと話していて根っこの相互性に気づかされました。5th Live!は"あなた"、高咲侑、矢野妃菜喜さんのそれぞれの歩みが結実した場所だったのだなぁと改めて感じられました。スクールアイドルではない主人公がいるラブライブ!の辿り着いたゴールと言えました。

アニガサキ2期13話を補完する景色としてのダブルアンコール

虹ヶ咲では初となったダブルアンコール。1st Liveの時から虹ヶ咲で見たい景色ってこれだったんだなぁ…とnote1つ書けてしまう話ですが、今回書いておきたいのはアニガサキ2期13話との繋がりでした。

もしかしたら13話の1st Liveでも最後に見られた景色かもしれない。
アニメとリアルが混ざり合うライブだったからこそ、アニメに逆輸入したくなる想像力も掻き立てられる一幕でした。

また、虹ヶ咲では"輝き"という表現はあまり用いられませんが、ラブライブ!シリーズのファンとしては、あのダブルアンコールの時間と空間はニジガクと"あなた"が行き着いた"輝き"(輝く姿)そのものだなぁと思ったりでした。

振り返ればヒリついていた虹ヶ咲 1st Live - ライバルの側面 -

かつては毎月投票で一位を決めたりビリスタになったりと攻めていた虹ヶ咲ですが、1st Liveのアンコールも1人だけ選ぶというものでした。

私も含めラブライブ!シリーズ=9人がひとつに向かっていく物語の固定概念から抜け出せていない人が多く、さらにPV選抜結果を踏まえたキャストMCから一位を争奪させるやり方に荒れたライブだったのも事実でした。

その後テレビアニメ化が発表されたのと呼応するように、一位を目指す競争から個性と調和を重んじて選ぶアンケートなどへシフトします。言うなれば、適性を重んじる三船栞子が目指す世界は、彼女が公に登場する前から既にニジガクのなかで始まっていた感じがあります。

他方で、今となってはシャッフルフェスティバルのような虹ヶ咲でしかできないライブもあります。ここまで歩んできた虹ヶ咲なら、Aqoursのユニット対抗全国ツアーのように競争を押し出したライブも楽しみにしたいなぁと思うんですよね。

ニジガク全員が揃う希少性とオフショ供給

ニジガクがライブ当日まで全員揃わないのは有名な話ですが、ファンとしてもライブの特別さが深まる一端だったりします。さらにキャストが同時視聴に参加したりオフショを大量に供給してくれることで、そこにいなくとも"あなた"としてライブを垣間見えるようで面白いですね。

特にカメラで撮っている矢野さん・指出さんの写真が素敵すぎて写真集にしてほしいくらいですし、プレ箱がある世の中ならNikon Z fc辺りとレンズを入れていきたい位です。(機材の愛着も含めてって方もいるので、そういう贈り物が喜ばれるかは別問題です)

Re:優木せつ菜役楠木ともりさんを巡る視点

4th Live!のnoteに「優木せつ菜役は楠木ともりさんしかいない vs 心の目が要らない虹ヶ咲のライブを見たい」ジレンマで板挟みって話を書いてました。いわば個を見る自分と全を見る自分で折り合いが付かない状態です。それが今回、13人揃ったことで安堵して楽しめたのが本音で、この形でも続いてほしいと思っていました。とはいえ、難病と判明したことで降板することが決まりました。

もちろん、事情が事情のため正しい判断と思います。ただ、正しさの真正性と個別的な葛藤は別でもあり、続投・降板どちらに転んでも割り切れなかった以上、3月末まで"ラブライブ!シリーズで役が変わること"に向き合い続けるしかないなぁと考えています。そして見届けたら、新しい優木せつ菜役の方が馴染んで行くのを応援して行きたいですね。

First Liveで見た楠木さんのパフォーマンスとMCで虹ヶ咲の面白さと大切にしていることを知ったファンとしては、感謝と共に喪失感があります。それほどにキャラクターとキャストの結びつきって強力だったんだなぁと再認識しています。

降板に際してのメッセージを読んで私が勝手に思っていることは、ご本人が優木せつ菜役を勝ち取った頃は嬉しかったはずで、その役が負担になっていった転換点があったとすればそれがやるせないという部分です。自分の好きなことと向き合い乗り越えてきた優木せつ菜の役柄と重なるからでしょうね。そういう気持ちもあって、安易なことを言えなくてここに書いておくというオチ。面倒くさいオタクですね。

折しも、"応援"をテーマにした物語がスクスタで進む横で虹ヶ咲のファンはノンフィクションとして降板するキャストとの向き合い方に悩むことになっています。たまたまだと思いますが、テーマ的に毎月すがりつくように読んでる部分があります。

虹が向かう場所 

集大成を感じるということは、一方で、今後に向けた心配を呼び起こしました。ライブではμ's Final特集のキャッチ「いつだって、いまが最高!」を被せたこと、「僕たちはひとつの光」のように名前をちりばめた「Our P13CES!!!」が誕生すること、そしてどこかお別れを予感させる「永遠の一瞬」もそうした材料です。

スクールバス、実際に走りましたね

そして虹ヶ咲を取り巻く環境に目を向ければ、古さを隠せないスクフェスとLiella!を出せない等の課題を抱えてそうなスクスタはいずれスクフェス2へ吸収されていく気配があります。

更に外へ目を向けると、矢継ぎ早に発表されるミュージカルやバーチャルスクールアイドルからも解るように、巨大なプラットホーム化したラブライブ!シリーズ自体がファンに選択を求めるスクールアイドル戦国時代を迎えています。

一方で、他作品を見れば分かるように今やスクールアイドルは終わらない物語です。それなら、今が最高でステージを去って行ったμ'sと異なり、虹ヶ咲もまた"あなた"と寄り添いながら歩き続けるだろうとも感じられます。突き詰めると不安の根源は虹ヶ咲を取り巻く環境がとても流動的に見える点なのでしょう。その辺りはレールを馬力と物量で走って行くプロジェクトスタイルとは対照的です。
そんな行き先の不安を断ち切って"ニジガクにしかできないこと"と大きく銘打った「あなたとTOKIMEKI Stories」プロジェクトに期待したいところです。よくよく振り返ればRoad To〜プロジェクトも足かけ1年半位ありましたし、のんびり構えれば良っかぁと思いました。

終わりに

 こうして実際に新しいプロジェクトが動き始めると、Next TOKIMEKIと銘打たれていたライブは、次へ向かうために、あるいは変わり続けるためにそれまでの虹ヶ咲を出し切る場所だったと思い直しました。最初は自分が虹ヶ咲で見てみたかったダブルアンコールが成就されて、もう思い残すこともないと思っていました。でも留まらずに変わり続けて行くなら、いっそ行き着く先を見届けてみたい。今はそんな欲があります。
そして変わり続けていくからこそ、今でもはっきり蘇るダブルアンコールの記憶から伝わる気持ちは「永遠の一瞬」ってやつだなぁとか思いました。

それが胸に残ってるからこそ、武蔵野の森から再び架かっていく虹がどこへ向かって行くのか見に行きたいですね。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の独特な立ち位置がとても好きです。そう思いつつ、高咲侑に背中を押されて新しいことに挑戦している自分を来年も頑張っていこうと思います。お仕事にはようやく慣れてきました。

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