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江東区海の森三丁目地先 〜処分場と観光地の境界に立てる場所〜

3月だけプレオープンした海の森公園。

その公園の反対側には、東京オリンピックでも使用された海の森水上競技場があります。

この競技場、普段も開いており周辺散策がてら休憩ができます。
そして、ここからも道が伸びているのはご存じでしょうか?

水上競技場沿いの眺め

東京ゲートブリッジに近い写真左奥へ進んでみましょう。

小舟沿いを通ると水上競技場の運河を渡る橋があります。目的地はそこです。
ここ、すぐ左にはゲートブリッジに向かって防波堤が伸びており、東京港を往来する船が安全に航行できるよう波を鎮める目的で設けられています。中央防波堤と呼ばれる理由も元々はここら辺が防波堤だったからだそうです。

気持ち陸側(左側)の波が静かなことがわかるでしょうか。波は動画でも撮っておきました。

反対側には水上競技場の運河が伸びていきます。こうして見ると東京ゲートブリッジに向かう道路って凄いところを通ってますよね。

ちなみに正面を向くとこんな感じ。とにかく最果て感がたまりません。

いかにも人工的に作られた土地を感じる護岸が広がります。

橋を渡ると中央防波堤外側埋立地に上陸します。ここも江東区に帰属していますが、まだ住所がないので便宜上「東京都江東区海の森三丁目地先中央防波堤外側埋立地」となるようです。

海の森は開発途上にあり、そもそも歩いて移動できる範囲が制限されています。施設が建っている一帯でも利用できない歩道が多数あります。

海の森で歩道が封鎖されてる例

そのため、もちろん外側埋立地へ繋がる海の森大橋も歩道が封鎖されています。ですが、水上競技場を経由すると堂々と上陸できます。
ただ、よく見ると歩道は大きなフェンスで覆われており、歩道の外へは絶対出させないようになっています。

それは中央防波堤外側埋立地は観光客を受け入れる場所ではなく、まだゴミ処分場だからです。業務用車両が通れる区画と一般人が通れる場所は明確に区別されています。

柵越しの景色。開発で電柱が地中化された内側埋立地と違い、今も電柱が残ります
望遠なら埋立てを行っている新海面処分場側を覗くことができる
おもむろに通って行った作業車。これがお台場の南の景色
歩道ができる前は横切っていたんだろうなぁ…という道路の名残

実質、社会科見学のようなものですね。ではなぜこんな歩道があるのかと言われれば、目的のひとつは明解です。

東京ゲートブリッジと海の森水上競技場を結ぶことを想定しているからです。ただ、ご覧の通り封鎖・施錠され通行できません。東京ゲートブリッジは徒歩で渡れますが、棟は閉鎖されており地上へ降りられません。

Q.東京ゲートブリッジは歩いて渡れますか?

A.歩行者は若洲側昇降施設より橋上の歩道部へ昇ることができますが、中央防波堤側へは、降りることはできません。若洲側に戻ってください。また、歩道は都心側のみに設置されています。

東京都港湾局公式ホームページ


つまり、現状は若洲からはるばる海の森へ渡っても行き止まり。海の森水上競技場から渡ってきても行き止まり。戻って行くしかありません。

強風や雷の際にはゲートブリッジの歩道が封鎖されるため、往来を自由にしておくと人員配置が必要になるといった事情があるのかもしれません。好奇心に駆られる最果ての旅は、こうして呆気なく終わりを迎えます。

海の森の開発が進めば通り抜けできるようになるのかもしれませんが、なんとも歯がゆいですね。そんなわけで、海の森の隅っこでは東京都内に残る未開発地の一端を間近に見ることができます。


実は中央防波堤の南にある新海面処分場がいっぱいになると、東京都にはゴミを捨てる場所が残されていません。これ以上埋めると県境を跨いでしまうからです。海の森周辺は、東京都民にとっては静かに忍び寄る死活問題の舞台だったりします。

そうした問題はそれとして、もちろん、マリンスポーツを楽しんだり東京都心の景色を楽しむこともできます。

水上競技場は都営バスや送迎バスで行けます。臨海副都心のすぐ隣なのにとてものんびりした時間が流れ、ゴールデンウィーク中は家族連れの方々が多数くつろいでいました。

言ってしまえば、この辺はまだ何もない場所なのかもしれません。でも何かを探してみると景色はもちろん、東京の歴史と未来まで様々なものが浮かびます。何もないから見えるものがある。そんな不思議さを持つ場所がお台場のすぐ南にはあります。

ではでは。

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