【腹膜偽粘液腫】3.腫瘍発見と告知

準備万端の入院

去ること2022年10月。人生2回目の婦人科手術を受けました。入院は3回目、手術2回目で、術後の自分の体力と傷の痛み(目安)は知っていたこともあり、旦那と術後の家事について相談。結果、旦那の家事能力(無能)を理由に実家近くの総合病院を選択し、術後は実家で養生することに。
前日入院で術前の検査&絶食。トータル約8日間の日程で、3ヶ月前に日程は決まりました。入院セットはもちろんのこと、退院直後に医師に書いてもらう会社に提出する書類から医療保険の必要書類チェック、上司へのメール報告の下書きまで準備は万端。手術前の検査で貧血がひっかかっていたこともあり、自己血の貯血はせず、鉄剤を服用。ぶっちゃけ何かが起こるなんて誰も想像はしてなかった。
ちょうど研修医がいるからということで立ち会いの許可をすると、術前の検査を研修医が対応。機器の操作に慣れておらず、看護師さんに習いながらの微笑ましい光景に癒されながら、明日の手術よろしくお願いしますね〜と話して解散。その晩は熟睡しました。

術後、医師から一言「なんかあったよ」

入院2日目の術後、研修医が一応当日挨拶に来たが、立会ありがとうございましたという内容だったので、特に手術に関してのコメントはなし。入院3日目。ほんとなら入院2日目の手術当日に説明に来るはずの医師が、急患対応のため翌日に来た。出血量が想定より多かったものの当初の予定は予定通り完了。よかったですね。といったあと、「ただ、なにかあったので切除して病理出しました
患者はちょっと理解できない。なにかってナニだ。「腫瘍とかですか? 子宮筋腫があるのは知ってますが」
医師「いいえ、筋腫ではありません。腫瘍とも言い難いんですよね。病理に出しているので、1〜2週間くらいで結果が出ます。その結果次第ですね」
退院後1週間で経過観察のための外来が予約されており、その時には病理結果お知らせしますよ、と言って医師は去った。というのも手術が水曜だったので、検体を病理に渡したあと、薬液でつけて放置するためそれで土日を超えてしまう。他にも検体は届くので、退院の火曜には間に合わないでしょう、と。あの言葉を信じた私を往復ビンタしたい程度には後悔してる

さて、医師が立ち去ったあと、あれこれ脳内は検討した。しかし、手術を受けたことがある人間ならわかると思うが、術後翌日は恐怖の歩行訓練日である。私は前回の手術でこの歩行訓練で人生初の貧血を起こしたことがあり、今回は手術で出血が多かったことが加味され、痛みが勝つか貧血で意識を失うのが先かの検討中だったのだ。午前中から痛みを感じながらもリクライニングを少しあげたり、足を少し立ててみたり、歩行訓練に対して余念がない。
結果、「なにか」についてはどうせ良性の何かだろうと即決し、記憶のすみに追いやられた。

告知って前情報ないんですか?

そうして迎えた退院の日。開腹約10cmの傷口&退院しても問題ないか確認するため、8時過ぎにフロアの診察室へ。少し長く感じたがひと通り検査を終え、退院していいですよと聞いて一安心したところで、爆弾発言である。

「先日お伝えした検体ですが、境界悪性でした。しかし、原発が今の所わかりません。1週間後の外来の日、CTの予約を入れるのでCT取って帰ってください」

患者としてはハテナ? どころではない。今受けているのがいわゆる告知なのか、境界悪性とは何か、先ほど長かった検査で見たのだろうが原発がわからないとはどういうことか、質問が追いつかない。とにかく境界悪性と原発について聞く。
「境界悪性というのは悪性と良性の間で、悪性ではないが良性でもないという状態。原発は検体を採取した位置的に子宮、特に卵巣を疑っているが、超音波検査上は異常がないので、腹部の広範囲でCT取って原発がどこかを確認する。カンファを行うので、結果は2週間後にお伝えできると思う」

待て待て待て、質問を増やさないでほしい
カンファとは? 医者がお互いの知識を寄せ合う会議のことで、その総合病院では毎週決まった曜日に実施されていた。ここで結果出るから、ここに外来入れておきますね、出来る限りご家族と来てくださいと診察予約だけが入っていく。
そのできる限りご家族とのそのセリフ、この診察の前に欲しかったんだが? どうしてそういう前情報くれなかったんだ? 看護師だって朝普通に検温血圧測って終わったぞ? そこで、退院前の検査に家族同席できないか、聞けたよね? と、若干医師に怒りを感じつつ診察終了。病室に戻ったが、やることは一つである。

とりあえず号泣

診察室から出て自分の部屋に戻り、パジャマから着替えなければならない。診察前に片付けは一通り終わっているが、片付け残しがないか確認し、旦那にLINE。当時を遡ると極めて明るく、軽くLINEしていたんだが、まずどう受け止めたらいいのかわからないのだ。号泣するしかない。とりあえず、

  • がん患者になったらしい?

  • 健康から不健康、それもかなり深刻かもしれないな状況

  • 医師が原発がわからないということは現状治療方針も余命もわからない

  • 途方に暮れるしかない

ということだけはわかった。号泣しているので看護師さんが駆けつけてくれたのだが、「大丈夫、早期発見だから!!」という。いや、原発解らなければ早期発見なんて意味ないんだよと斜に構えた感想を抱いてしまう。あのときの看護師さん、ごめんなさい。言わなかっただけ許して。

家族へ報告と医師への怒り

号泣したまま旦那に引き取られ、たまたま前立腺がん(ちなみに早期発見)の術後経過観察で同じ病院に同じ日に診察に来ていた実父とも合流。ここで旦那と実父の2人が情報共有するワケだが、境界悪性という今まで聞いたことのない言葉が2人を振り回す。
というか、はっきりと「がんじゃないかもしれない」というのだ。そんな期待を持つのではない。そこで仕方なく「細胞の形としてはもう悪性に進んでいるから、がんなんだよ」と若干キレ気味に言う。と同時に、自分ががん患者になったことに自分の言葉でさらに自覚して傷つくのだ。なんで家族にこんなことをいわないといけないのか、なんで今日告知だったのか、なんであの席に家族を同席させてくれなかったのか、割と今でも恨んでいる。

コロナのせいもあったとは思うが、医者がわからないと言ってるものを家族に説明するのは精神力がいる。医師は知らなかっただろうが、我が家はがん家系で、祖父母の死因は3/4ががん(胃、肺、たしか肝臓)。実父も前立腺がんから手術を受けて回復したばかり。親類にもごろごろいるのだ、がん患者。絶望したくなる家系だな。というかいま思い浮かべてて、死因ががんではない親族の少なさに驚いているくらいだ。
がんに関しては幼少から遭遇率高めの人生歩んでいる自覚がある。余命半年から5年生きた祖母もいるし、ステージ3からあっさり死んだ祖父もいる。「そういう」進行の速さと遅さを持ち合わせた病気であると家族は皆知っている一方で、医師が原発をみつけられないと治療できないことは十分承知してるのだ。
そんなわけで、精神的に落ち込みながら「境界悪性」をググる日々が始まった。

予定より長かったので、分けます。次回CTの結果と転院の提案を2回される話。

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