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Moog Labyrinthしばらく使ってみた。
お久しぶりですZ_Hyperです。
みなさんモジュラーシンセしてますか?私は相も変わらずやっています。
久しぶりに新品の完成品モジュールを買ったので作文してみようと思います。
タイトルの通りMoog Labyrinthについてです。
Moog Labyrinthを買いました。
![](https://assets.st-note.com/img/1722729338729-6GMExSV4fM.jpg?width=1200)
本家からの概要のコピペ。
LabyrinthはMoogのMother-32から始まった60HPのユーロラック互換セミモジュラーシンセシリーズの第5弾です。
今までの機種はMoog Festでのワークショップでプロトっぽいモデルが出てそれが洗練された物が製品として発売されるという流れでしたがLabyrinthはいきなりLabyrinthだったような気がします。
スペックのざっくりした概要は以下
・サイン波と三角波の2VCOとTone可変のノイズソース
・Moog史上初のVoltage-Controlled Wavefolder
・2poleの連続可変可能なローパス/バンドパスフィルター
・モジュレーションと発音用の2つのディケイエンベロープ
・ジェネレーティブデュアルシーケンサー
「Moog史上初のVoltage-Controlled Wavefolder」…Mavisは?と思ったんですけど"Voltage-Controlled"ってところが初めてなんだなということに気付き物は言いようですねとなりました。
ジェネレーティブシーケンサーという表現もシフトレジスタのことを指していてカオティックジェネーターとかラングラーとかいろんな呼び名があっていいよねシフトレジスタと思いました。
フィルターもMoogでは珍しく2poleのステートバリアブルフィルターで総合するとMoogらしくないMoog製品だなという印象です。
なぜ買ったのか。
Labyrinthが初めて世に姿を現したのはSUPERBOOTH 2024の期間中にSpectravoxが発表された陰で画像だけが流出していました。
どうやら外国のどっかの楽器屋がフライングで掲載/受注をしちゃってたらしく画像以外のことは全て謎でしたが、盤面を見ただけでこれは持ってる色々な物たちと近い思想なんだろうなと思い一番興味が湧きました。
![](https://assets.st-note.com/img/1722731715425-F0yli974vH.jpg?width=1200)
結論としてはどれも違うんだけどみんな大好きBenjolinとLorre Mill Double Knotに近い雰囲気を感じそれらはどれも個性が溢れすぎておおらかな作りなのでそれらを使いやすくした印象をLabyrinthに感じ、頑張れば手持ちのモジュールで似たようなことできそうだけど頑張りたくない!欲しい!となりました。
その後Modular Gridに登録された後に$818と書かれて一旦は買えないなぁと思って諦めましたが、日本で発売になったら思ったよりお求めやすく(安くはない)お値段と発売日に買えそうな雰囲気を感じてうっかり買いました。宮地楽器で。
ジェネレーティブシーケンサーという名のシフトレジスタ
![](https://assets.st-note.com/img/1722732444920-oPOBeGAZjL.jpg?width=1200)
Labyrinthを象徴する部分の機能ジェネレーティブシーケンサー。
仕組みとしては8ビット(ステップ)の各ビットでのオン/オフをBIT FLIPで決め、その時にオンとなる場合はEnvがトリガーされつつランダムなCVがオンになるタイミングで格納されてその出力をアッテネーターを経由した後にピッチCVクオンタイザーを通ってVCOのピッチCV インにまたアッテネーターを経由して送られます。
簡潔に書くと光ってるビットを通過する時に発音してピッチが変わるとなります。
ビット数は1~8まで長さを設定ができ、二つある8ビットをリンクさせて16ビットで回すこともできます。
シフトレジスタの代名詞Turing MachineやBenjolinのRungler、Double Knotのシフトレジスタ部分と最初は同じかと思ってましたが、これらは各ビットのオンオフをR2R等のDAコンバーターを通して8通りとか16通りの決まった種類の電圧しか出ない物なのに対して、Labyrinthは格納された電圧を出すので同じシフトレジスタでも別物でした。そのCVをオーディオレートで回した時に音が違うなとおもったらそら違うなと一人で納得。
Labyrinthのシフトレジスタは基本的にはオンになったビットの電圧は保持し続けられてオン/オフを弄らなければ同じCVを周期的に出力しますが、CORRPTツマミを12時位置くらいまで回した時はビット内の内容がランダムに変わり、それ以上右に回すと周回ごとにビットのオンオフの内容もランダムに変わるようになり無限メロディーが作り出せます。
それとビットの読み込みと書き込みステップをズラすことができ自然にフレーズを変化させることができるような気がします。
パラレルボイス
![](https://assets.st-note.com/img/1722733812091-SfwnBBxMSI.jpg?width=1200)
ブロックダイアグラムがこちら。
デフォルトでのシグナルパスは2VCOとノイズ→ミキサー→Wavefolder/VCF→VCAとなっておりWavefolderとVCFは直列or並列をスイッチとクロスフェーダーで自由に決められます。
WavefolderとVCFはそれぞれ個別の入力を持ち、個別のVCAを通っているのでパッチング次第では2つのシーケンサーで2つ独立した発音をさせることができます。
おかげで1台のシンセだけど2音出すみたいな使い方ができて独奏でのライブを乗り切れてます。
Moogらしくない音に感じる部分
オシレーターがサイン波と三角波しかない時点でらしくないですが、それらをまとめるミキサー部分がかなりフランクにサチュレーションを起こしクリップするためクリスピーなハーモニクスとオーバートーンが加えられいつものノリで2つのオシレーターの音をミックスするとなにかモジュレーション掛かったような音になります。CP3ミキサーとかを思うとらしいっちゃらしい挙動な気もしますね。
それに加えて2つのオシレータでのスルーゼロFMが掛けられ、Ringmodした音をミキサーに送れてオシレーター部分でいろんな音作れていいねって感じ。
そこからWavefolderなりVCFなりに好きなように音を遅れてローパスゲート的なルーティングにしたり、フィルター通った音をWavefolderに入れて掛かりを変化させたりできます。
VCFは2ポールってとこだけでなく自己発振しない設計なのもらしくないですね。
それとらしいらしくないとは別の話になりますが、2つのEnvをトリガーするのを2つのシフトレジスタのどっちでするかを選べるノブがあり、振り切っていると上下どちらかのシフトレジスタで100%のレベルでEnvが動作しますが、その間だとEnvのレベルに100%未満の強弱がついていいね!と思いました。これは外部トリガーの場合はもれなく100%になるので単体使用時のみの機能です。
パッチアイディア
大したアイディアでもないですが、サイン波のオシレーターのレベルだけミキサーで上げて、ミキサーのアウトをサイン波OSCのV/Octに繋ぐとノコギリ波みたいな音になって聞き馴染みのあるシンセの音が作れます。ピッチのコントロールがV/Octではなくなるので音程は耳で気合いで合わせるスタイルになるので使いやすいかどうかは別の話。
1ヶ月使ってみての感想
もう1ヶ月も経ったの?!と驚いていますがたいへん気に入りました。
エンベロープがディケイしかないので普通に触ってるとパーカッシブな音がすぐ出て憧れのDFAMのような音がだせるのが予想外でした。おかげでDFAM欲しい欲がだいぶ鎮まりました。
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純正ケースは我が家ではちょっとスペース取りすぎるのと持ち歩く時に嵩張るので4ms Pod60に詰め替えていい感じです。付属のMoogステッカーを貼り純正感を偽装しています。このサイズ感のお陰で購入後気軽に持ち出してライブしたり機材持ってきていいよ系ワークショップにお邪魔してます。
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Mavisとならべてもこんなにスマート!この組み合わせは互いに足りない部分を補いあってくれて良い気がします。
![](https://assets.st-note.com/img/1722736734643-RlP74txKBV.jpg?width=1200)
Double Knotと並べると同じような厚みになって兄弟みが増します。
LabyrinthをDouble Knot V4って言ってる人がインターネットにいて爆笑しました。
初見ではハイパーBenjolinだと思ったLabyrinthですが実際に触ってみた結果、Benjolinに似てるDouble Knotに似てるのがLabyrinthという結果になりました。
たぶん自分のような先入観を持たずに触った方がよりのびのびと楽しめると思うので流通が安定して売ってるのを見かけるようになったらみなさんも軽率に買っちゃいましょう。
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