令和研修医の労働時間のリアル!
こんばんは、『Z世代医師のホンネ』をご覧頂きありがとうございます、研修医山田です。
突然ですが皆さん、研修医の1ヶ月の労働時間をご存知ですか?
研修医というと
「安月給で死ぬほど働かされる…」
「24時間ほとんど病院にいる…」
「ブラック過ぎて自殺する研修医も…?」
というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
というか、実際に自分がそういうイメージでした笑
医学部5、6年生の時、実習先で上の先生方に研修医時代の話を聞くと
「医局でほとんど生活していた」
「日勤→当直→日勤の36時間連続勤務は当たり前」
「1ヶ月に2,3日しか家に帰らなかった」
…
なんて恐ろしい話が出ること出ること。
(みんなアラフォー以上のベテラン先生でしたが…)
さらに医療漫画では
『1日16時間勤務、月給3万8千円』だの…
『毎日3時間しか寝てない』だの…
とにかく研修医はブラック、という情報ばかり耳にしていたので
かなりガクブルしながら働き始めたものです。
とはいえ今は令和の時代、そんなブラックな働き方は一瞬で炎上しちまいます。
さらに2024年は医師の働き方改革元年、労働環境はかなり改善されているハズ…?
というわけで皆さん、令和の研修医がどれくらい働いているのか。
実際に、初期研修医2年目の私の勤務スケジュールをご紹介します!!
それがこちら!!
いかがでしょうか…?
そうですね、絵心0ですね
じゃなくて笑
思ったよりマシなのではないでしょうか??
そもそもうちの病院の規定上の勤務時間は
①平日の月〜金曜日
(定時は8時30分〜17時30分)
②当直を月に4、5回ほど
(定時は17時30分〜翌日の朝12時30分)
です。
なので
・土日祝日は基本的にoff(※当直があると潰れますが…)
・定時が17時30分とかなり早い
・意外と定時で帰れる日も多い
・当直の次の日は休みになる
という点を考えると寧ろホワイト寄りなのではないでしょうか??
忙しさの指標として手っ取り早いのが残業時間でしょう。
実際にどれくらい残業しているかというと
上のスケジュールだと、1週間の残業時間は25時間45分
単純計算で×4倍して1ヶ月100時間Over!!
…となりますが、実際にはそこまで行きません。
当直すると次の日は休みになって勤務時間が削れますし、有給が1ヶ月に1日はとれますし、何より実際に体を動かして残業してる時間はもっと短いです。
実際、上のスケジュールを含めて、先月回った呼吸器内科での時間外は
1ヶ月で75時間ほどでした。(そのうち、当直が55時間ほど)
世の社会人の月平均残業時間が22.2時間ほどであることを考えると、かなり多い部類に入りそうなのですが…
ぶっちゃけそこまで苦ではないです。
なぜかと言いますと
・定時の終業時間が早いため、2、3時間残業してもまだ20時くらい
・外科以外はパソコン業務が結構多く、座りながら働ける。
・時間外のほとんどは当直であり、普段の日はそこそこ定時で帰れる。
・当直(病院に泊まって働く)も寝れる時間がある。
・そもそも研修医の給料は時間外がデカいので残業時間は寧ろありがたい笑
と言った理由もあって、そんなに働いてる感はありません。
そんなわけで、令和の研修医の労働時間は
『1ヶ月75時間残業があるけど、土日は基本休みだし仕事中も寝たり座ったりする時間があるし、当直では寝たりすることもできるしそこまで苦ではない』
でした!
…と結論付けたいのですが
実はこれはかなりバラツキがあります。
実際、残業が月に20時間もないという研修医もいれば、150時間超えたという研修医もいます。
自分も、残業時間が40時間ほどの月もあれば、120時間を超えた月もあります。
つまり、かなりバラツキがあるのです。
では研修医の労働時間を決める要因とは?
大きく3つあります。
ズバリ
①初期研修医か後期研修医か
②研修先の病院のカラー(※特にオンコール有りかどうか)
③働いている科
これら1つの条件次第で月の残業時間が数十時間変わるんです。
以下1つずつ見ていきましょう。
①初期研修医か後期研修医か
みなさま、研修医には初期研修医と後期研修医があるのご存知ですか?
一般的な医者のキャリアとして、医師国家試験に合格した後は
初期研修医を2年して、後期研修医を3−5年ほどこなしてようやく一人前の医者となります。
いわゆる「〇〇科の医師」と専門を決めるのも後期研修医からです。
で、結論から言います。
後期研修医は初期研修医の10倍くらい働きます。
Majiです。
理由は簡単、後期研修医からは
『責任を負う立場になる』&『専門的な業務をするようになる』からです。
要するに、初期研修医にはできない専門的で難しい仕事が大量に振られるようになるのです。
そして、特に忙しいのが後期研修医1年目
・初期研修医時代よりはるかに難しい治療、手技、手術をしないといけないため
・専門的な業務を行える医者の中で1番の若手であり、雑用や当直を振られやすいため
・初期研修医時代の10倍くらいの責任がいきなり乗しかかってくるため
医者人生で一番忙しいのも後期研修医1年目なのではないでしょうか。
実際に、研修医の自殺の多くは後期研修医1年目の自殺です。
上のニュースの26歳医師の方も消化器内科を専攻する後期研修医1年目だったそう。
つまり、“研修医” の労働時間とまとめるのはかなりナンセンスで
正確には“初期”研修医の労働時間と“後期”研修医の労働時間に分ける必要があり、その差は月に数十時間にも及びます。
②研修先の病院のカラー
同じローソンでも、ローソン渋谷店とローソン釧路店で忙しさが全く違うように、同じ医者でも病院ごとによって忙しさはかなり変わります。
業界用語で、めちゃくちゃ忙しい病院を『ハイパー病院』、あまり忙しくない病院を『ハイポ病院』と言いますが、ハイパー病院で研修するのとハイポ病院で研修するので仕事量はかなり違います。
例えば、超有名なハイパー病院であるO縄県立中部病院、S南鎌倉総合病院の初期研修医は「何十人もの患者の主治医となり、1ヶ月のうち完全な休みは1日あるかないか」というレベルだそう。
逆にハイポ病院なら「持ち患者は0人で、仕事はほぼ無く1日中研修医室で寝ているだけ。当直も希望制なので希望しなかったら0回でも良い」なんて話も聞きます。
忙しいハイパー病院の特徴として
・24時間いつでも電話に出ないといけない(オンコール制)
・全員が病院付近の寮に住まないといけない(5分以内に出勤できるよう)
・3次救急病院(重症患者が来やすい)
・初期研修医の数が多い(1学年20人くらい)
が挙げられます。
特に辛いのがオンコール制。
仕事が終わって家にいようが、電話がかかって来たら必ず30分以内に病院に行かないといけません。
うちの病院はと言いますと…平均よりはややハイパー寄りですが、ハイパー病院ではないと思います。(レジナビ という病院評価サイトではそうなってました笑)
ちなみに平成の頃はハイパー病院が人気でしたが、令和の現在はハイポかつ給料が良い病院が人気になってます。
ま、何事も適度が一番ですよね。
③働いている科
当然ですが、働いている科によって労働時間は変わります。
脳神経外科医の先生とかめっちゃ忙しそうですもんね笑。
労働時間が増えやすい科の条件として
・患者さんが急変しやすい
・命に直接関わる臓器を扱う
・緊急手術or処置が必要となりやすい
・外科系
などが挙げられます。
代表的なのが
『循環器内科、心臓血管外科、脳神経外科、救急外科、消化器外科、産婦人科』で
逆に忙しくない科、いわゆるハイポ科としては
『精神科、放射線科、眼科、耳鼻科、皮膚科、糖尿病内分泌科』などでしょう
実際に自分も、循環器内科を回った時は、月の時間外が120時間を超えましたし
精神科を回った時は、精神科自体の残業時間はほぼ0でした。(当直は別)
さて、そう言った条件を諸々加味した上で、再度研修医の労働時間をまとめると
『普通くらいの忙しさの病院、科で働く初期研修医』
なら月平均残業時間は30-50時間ほど
『普通くらいの忙しさの病院、科で働く後期研修医』
なら月平均残業時間は70−90時間ほど
くらいだと思います。
いかがでしたか?
以上が令和の研修医の労働時間のリアルでした!
初期研修医の労働時間及び給料は昭和に比べてかなり改善されていると思います。
一方で、後期研修医はまだまだ激務かな〜という印象です。
ではまた!
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