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交通通信網の発達による時間空間は小さくなるけれど、人々の間の幸福感の格差は広まるばかり、、、

3月16日、東京と金沢を結ぶ北陸新幹線が敦賀へ延伸し、東京から福井まで乗り換えなしで行けるようになりました。初めて新幹線が通ることになった福井県の喜びはすさまじく、地元の福井新聞は東京へ向けた一番列車が敦賀駅を6時11分に発車するとすぐさま「今、一番列車が敦賀駅を出発しました」と“号外”を発行し、さらにその後も「今、越前たけふ駅をでました」、「今、福井駅をでました」と芦原温泉駅までの県内各駅を通る度にそのつど二段、三段と追加発行するはしゃぎぶりでした。
今回の延伸により、今まで福井県民は金沢まで在来線で行き、そこから新幹線に乗り換えて東京に向かっていたものが乗り換えなしの一本になったのですから時間短縮も含めすこぶる便利になります。しかし、それとは逆に福井から大阪に向かう場合、特急サンダーバードで直通だったものが、新幹線が敦賀まで延びたことによりサンダーバードの終点は敦賀駅になり、そこで必ず乗り換えなければならなくなり延伸の恩恵はほとんどないどころか不便になったとさえ感じます。
進学や就職でふるさとを後にするとき、いままで北陸地方からは首都圏とおなじくらい近畿圏にも人が流れていましたが、今回の延伸による時間短縮で今後ますます首都圏一極集中にならないか心配です。
明治時代に新潟県が人口日本一だったことがあります。これは主な産業が農業だった時代に、現代でもコメどころとして知られる新潟県にはそれだけの人口を食わす食料とそれを作る豊かな土地があり、またなりより多くの稲作の仕事があったからです。それが日本の近代化が進むとともに工業が盛んになり東京や大阪など太平洋側の人口が増えるようになりました。要するに仕事のあるところに人は集まるのです。
そして今では東京、神奈川、埼玉、千葉のたった4都県で構成されえる東京圏に日本の総人口の3分の1が集中する事態となり、その結果、新築マンションの平均価格が8100万(東京23区に限れば1億1400万超)まで高騰しているのですから困ったものです。これでは日本人でありながら日本にマイホームを持つこともできません。交通網や通信網の発達により国土はどんどん小さくなっていますが、そこに住む人々の幸福度を含めた格差は大きくなるばかりです。

百田尚樹のニュースに一言 令和6年3月23日号より

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