メキシコペソ 5月4週目 インフレ緩和とペソ高
ペソ高
今週、ペソはドルに対してコロナ以降で最高値を付けました。
去年の秋頃、メキシコ中銀は2021年末のドルペソを20.20、2022年末を20.80と想定していたこともあり、現時点で個人的には20.00以下ならペソ高、21.00以上ならペソ安と定義しています。このメモは、スワップ狙いでロングしているペソ円の売り時の見極め、暴落前に清算することを目的にしているので、最近はドルペソを中心に、下落の激しい円はあまり意識していません。
ムーディーズやメキシコ中銀は、予想を上回るサービス部門の活性化からGDP成長率を1.1から1.8%に上方修正しました。このGDP上昇修正はODEC諸国で唯一メキシコだけのようです。一方で、内需、投資、生産性に問題があるとも警告しています。
また、4月の貿易収支は18億ドルほどの赤字(輸出は微増、エネルギー輸入が拡大中)で世間的な状況です。
バンクオブアメリは、コロナ以降ペソは最もパフォーマンスの高い通貨と評価していますが、6.7%過大評価されており、2022年末には21.00、2023年末には22.00辺りに収束すると報告しています。
総合して、メキシコペソが単独で強くなる要素はサービス部門が牽引しているGDP成長率ぐらいで後はあまりなく、ドルが弱くなって相対的にペソが上がっているだけの印象です。緩く20.50辺りまで戻すのではないかと予想しています。
インフレ緩和と次回政策金利
5月前半全国消費者物価指数(NCPI)は4月後半に比べ0.06%低下し、同年のインフレ率は7.65%から2ヵ月ぶりの低さとなり、市場のコンセンサスと非常に近い水準となりました。
内容的には、エネルギー関係が3.5%程度の減少、非食品は0.11%増、食品・飲料・たばこは0.57%増等々で、結果前々週の7.65%から7.58%に緩やかになり、コアインフレ率は7.27%から7.24%との発表がありました。この数字ですが、メキシコ政府はエネルギー関連の価格統制を行っての結果なので、少し危ういものを感じます。
メキシコ中銀はアメリカのインフレ率とインフレに対する姿勢に強い関心があり、次回FRBで0.75ポイントのサプライズを利上げを警戒しています。それ次第ですが、7月の政策金利の利上げは予定の0.5ポイントではなく0.75ポイントも視野に入ってきました。メキシコって利上げできないアジア諸国と比べて金融政策が果敢、ペソが何故か強い理由もこれかもしれないと感じています。
米州首脳会議
来週6日から米州首脳会議(Cumbre de las Américas)が開催されるようで、コロナ、気候変動、移民問題などが話し合われるらしく、アメリカ的には反米のキューバ、ベネズエラ、ニカラグアを招待しなかったようですが、メキシコとアルゼンチンはそれに反対、個人的にはラテンアメリカの協調以上の議題がわかりません。ただラテンアメリカに対する中国の影響力が増大しているのですが、中国問題、あるいはウクライナーロシア問題は全く話題にないような気がします。あと、IPEFを初め今週の太平洋アジア地域の動向には全く無関心のように感じました。
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