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夢を叶える


【九十九里浜に叫んできた】

厳密に言うと叫んではいない。
たくさん海水浴に来ている人がいたので。
実を言うと僕は今年で23才でもない。

ついこの前夢を一つ叶えてきた。
それは「23才の夏に九十九里浜に行くこと」。

私は中学に神聖かまってちゃんというロックバンドに出会って以来、ずっとその背中を追い続けている。つまりファンなのだ。
かまってちゃんの「23才の夏休み」を聞いては、23才になった暁には夏休みに九十九里浜へ行って叫んでやるぞと夢に見ていた。

先日彼と東京に行く用事があったので、ついでに九十九里浜まで一緒に着いてきてもらった。
千葉とは舞浜駅以外無縁の人間なので、まったくわからない駅や土地をGoogleマップで調べて電車やバスを乗り継ぎ、なんとか現地までたどり着いた。

当日は、フェスや花火大会があったようで電車にはたくさんの人。最寄駅に着いたは良いものの、バスが来る時間を見ておらず何時間か近くのなにもないイオンで暇を潰したり。キラカードをカードが出てくるガチャガチャで調達したり。バスを待っている間に運動部の男子学生らしき集団の1人がタバコを吸い出して不快に思ったりした。

学生の頃の孤独で無力な私は、文明の力と他人の力を利用して九十九里浜に来る事ができた。誇らしいようでなんだか寂しい気分になった。同時にやりたい事ができたという達成感もあった。この行き当たりばったりで無計画な行動も私らしいのかな、とも。

九十九里浜についてからはMV風の写真を撮ってもらったり。彼の背中にキラカードを貼ったり。足だけ海に入り案の定気まぐれな波によってジーパンの裾が濡れたり。雨が降り出して手持ちの両用なのかもわからない日傘で凌いだり。びちょびちょになったTシャツとジーパンの裾の不快さを感じながらバスを待ったりした。なんだかんだその出来事全てが楽しかった。

中学生のとき高校に上がる前に死んでやる。
高校のとき卒業する前に死んでやる。
と思っていた私は高校を卒業しても死ぬことはなく、いつの間にか23才になっていた。かすり傷程度につけていたリストカットの後も綺麗に目立たなくなっていた。九十九里浜にきて海の綺麗さを目の前に、心では「23才になっちまった」そう叫んでいた。



【今日のカバー画像】

あのときのぼく(2017年夏ごろ) Illust:やや

帰宅しようと歩いているところを背後から撮られた写真。
友人がリュックサックからスポーツバッグに変えているのを見て真似していた。私は小さめのスポーツバッグだったが意外と物がいっぱい入って便利。
半袖のカッターシャツを持っていなかったので年中長袖だった。カスみたいなリスカ跡も隠せるし。


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