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【番外編】シンガポールで生活していくためにいくら必要か


「セブ島で生活していくためにいくら必要か」という記事を書きました。本noteではフィリピンを拠点とするオフショア開発事業に関する記事が中心にしているため、少し番外編にはなりますが、シンガポールで暮らしていくために必要な生活費に関してもまとめてみました。

「セブ島で生活していくためにいくら必要か?」の記事はこちらです。

東京よりも物価の高い国シンガポール

日本という国が世界的に見て比較したときに、豊かな暮らしができる場所であるということから、「日本=高い」というイメージがあります。さらに、日本で育ってきた人にとっては、「東京は高い」という言葉を何度も聞いてきた人が多いことから、東京以外で暮らすならどこにいっても安く感じるはず、と考えている日本人は多いのではないでしょうか。

私も海外でのビジネス経験が長いのですが、2000年代前半ぐらいまでは米国(特にニューヨーク)とロンドン以外で東京より物価が高いと感じるところは記憶している限りありませんでした。

それ以降、中国の成長やアジア諸国の発展に伴って世界各国の物価水準の状況は大きく変わってきたこと、逆に長引く経済の停滞によって日本の物価が上がらない状態が続いたことで逆転現象が起き始めました。これは海外に出て実際現地で買い物をしたり食事をしないとわからない経験で、日本国内の経験しか無い人にとっては理解しづらいかもしれません。私も自分で目にするまでは半信半疑でした。

シンガポールの物価は私の感覚では東京の1.5倍ぐらいだと感じています。もちろんシンガポールローカルの生活をする場合、日本と同じような暮らしをする場合で大きく異なるのですが、どのぐらい必要なのかをまとめてみました。

セブ島の記事でも書きましたが、生活スタイルは本当に人それぞれであり一概には言えませんので、いくつかの生活スタイルの例を出してイメージを掴んでもらえればと思っています。金額はシンガポールドル(S$)で書きます。為替レートによって変わりますが、ざっくりS$1=80円前後なので80円で計算するとすぐに換算できますね。

無理しすぎない程度の生活で自分ひとりの場合

グローバルに活躍できる人材になりたい、という思いから海外で現地採用でのチャンスを掴み、単身でチャレンジしてくる人も多いシンガポール。とはいえ、そういった人々は年々審査が厳しくなっているビザを企業に負担してもらう必要もあり、現地のシンガポール人と比較しても採用するメリットを提供できる必要があります。

日本は労働人口の減少やダイバーシティの活性化によって外国人の雇用に対してとても積極的ですが、既に人口の約40%が外国人で構成されるシンガポールではシンガポール人の失業率低減や雇用機会の創出を推進しており、同じ業務でも「それはシンガポール国民ではできないのか?」が問われビザ発給の壁が高いという違いがあります。

住宅費: S$1,000〜3,000
インフラ関係: S$200
食費: S$600
交通費: S$50
交際費: S$500
合計: S$2,350〜4,350

住居はそれぞれですが、1人暮らしのワンルーム(Studioタイプ)だとHDBという公団住宅を借りることができた場合はS$1,000ぐらいから見つかります。住宅状況は日々変化していますが供給過剰と言われていることもあり、建物自体は古くてもリノベーションをして借り手にとって嬉しい状態になっているものもあります。ビジネスの中心街と言われるCentral Business District(CBD)のコンドミニアムだとワンルームでもS$3,000はしてしまうようです。

水道光熱通信費など毎月必要になるインフラ関係は生活スタイルによって異なりますが、携帯電話の通信費でS$20〜ですので、合計S$200もあれば十分でしょう。

食費は、シンガポール料理が豊富に選べて格安で国民の台所になっているホーカーセンターやフードコートでは1食S$2で美味しくお腹いっぱいになれます。私も当初1人でシンガポールで生活していた頃は朝昼晩食べてもS$10で済むこともあったほどです。一方でレストランに入ると一気に値段はあがり、ランチでもS$12〜といった金額に消費税に相当するGSTが7%、さらにサービスチャージが10%つきますので、17%+になります。S$15のランチはS$17.6となります。数年以内にこの7%のGSTは9%になることが政府から発表されています。これらを組み合わせて1ヶ月S$600で計算をしています。

交通費は通勤にはバスや地下鉄(MRT)を利用することが多いですが、S$1程度なのでとても安く利用できます。タクシーも初乗りS$3.2=250円ほどなので日本に比べると十分安価です。

合計するとS$2,350〜4,350、つまり188,000円から348,000円といったところが最低限必要な金額ではないでしょうか。こうしてみると住宅にかかる費用の割合が大きく、国土が限られていて中心部に密集しているシンガポールの特徴かもしれません。

外国人が就労するために必要なビザの1つEmployment Passの取得条件として月の給料がS$3,600以上というものがあります(2020年時点)。この基準が年々上がってきています。日本円だと288,000円ですので、それなりの金額です。ITエンジニアだと大学卒の初任給でS$4,000前後〜と言われているので、初任給や生活費を見る限りでも物価の高さは感じて頂けるかと思います。

家族4人で生活する場合

夫婦どちらか1人が働いていて、お子さんが2人小学校に通っているようなケースの例をあげます。シンガポールで生活される場合は教育を重要視されるケースが多く、選択肢も数多くあります。お子さんに英語のみならず中国語までをしっかりとマスターしてもらいたいと考える方もいらっしゃいます。

住宅費: S$3,000〜7,000
インフラ関係: S$500
食費: S$1,500
交際費: S$1,600
教育費: S$2,000〜6,000
合計: S$8,600〜16,600

住居は3ベッドルームのコンドミニアムなどになるかと思います。お子さんの通う学校までの距離などから選ぶケースが多いようですが、これも都心なのかそうでないのかで随分と変わってきます。

次に大きな構成要素としては教育費です。学校はインタースクール、日本人学校、ローカルスクールと選択肢がありますが、ローカルに通っている日本人のお子さんは割と少なく多くはインタースクールか日本人学校になります。インタースクールは1人年間S$30,000前後と言われています。2人でS$60,000ですね。日本人学校でもバス代などを含めると年間1人S$12,000にはなります。ローカルスクールだと以前はS$400/月程度だったのですが、これも年々上がってきているようで、金額面では日本人学校とあまり差がなくなってきているようです。その他に英会話の塾、公文やスポーツなどの習い事なども週に1回S$100、1ヶ月S$400程度のものが多いようです。

シンガポールでは住居と教育費の2つが圧倒的なツートップになっていますね。食事も家族でレストランで日本の感覚で食事をするとすぐにS$100を超えてきます。物価が高いといわれるゆえんです。

とはいえ公共交通機関を利用し、HDBのような公団住宅を活用し、ホーカーセンターのようなローカルフードも適宜楽しみながら現地の人々と同じような暮らしができていれば、給与水準の高さや税務メリット、さらに金融商品の活用によるメリットは日本と比べ物にならないぐらいあることを考えると、快適に生活ができる場所であると感じています。銀行の普通預金口座で年3.6%の利息がつくなど日本だと考えられませんよね。

ご参考まで。

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