味噌汁を作る、平日朝のこと。
「そうだ、明日の朝は味噌汁を作ってやろう」
明日は平日なのに。
前夜にふと、そんな考えが脳裏をよぎってしまったのだから仕方がない。
6時30分、起床。
新聞取り込みをして、炊飯器の保温を止めた。
ここまではいつものルーティーン。
ここからがいつもと違う。
小鍋を用意し、茶碗2杯分の水を汲む。
コンロに乗せて火にかける。
朝は、5分10分が命だ。
時計をちらりと見やりつつ、ネギとしめじを鍋に投入。カットして冷凍保存してあったものだ。続いてだしを適量入れ、お玉でかき混ぜる。顔を近づけるとレンズが曇って視界が真っ白になり、代わりにだしのいい香りがした。
そしたら冷蔵庫を開けて、最上段に入れておいた豆腐を取り出す。
美容師さんに「タンパク質が足りていないかもです……」と言われて焦った私は、豆腐を積極的に食べることに決めた。食べ比べでもしようかと思って木綿と絹の両方を買ったが、まだ木綿しか食べていない。
手のひらに豆腐を取り出し、包丁でさいの目切りにする。
というのは知っているんだけれど、いざ実践すると手を切りそうで怖い。
小さい頃、親に「刃を上下に動かすだけ。手前に引かなければ大丈夫」と言われたけれど、それでもあの冷たい金属の先端が手のひらに触れることを想像するだけでひやりとする。
豆腐を鍋に入れたら、味噌を溶く。味噌に白味噌という種類が存在することは、大きくなってから知った。今でも味噌といえば茶色、いわゆる赤味噌のイメージだけが脳にぱっと浮かぶ。
味噌を溶いたら、コンロの火を切って茶碗に汲む。
白米、納豆、味噌汁、いただきもののバナナ。
さぁ、朝ご飯の支度が整った。
いつもとはちょっぴり違う平日の朝に、いただきます。