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18歳と旅の刺激

世界史の参考書に載ったアンコールワットの写真にひどく惹かれた。
ああ、近いうちにここ場所に行くだろうな、と思うのは自然だった。

大学受験が終わった18歳の3月、私はひとり、大きなキャリーケースを引っ張ってカンボジアに向かっていた。

高校時代までの閉鎖的な環境の中、世界を見せてくれるのは片手に収まるスマホだけ。
あの絶景やあの建築、あの遺産。
全てがキラキラしてた。

バックパッカーに憧れ、毎日勉強しお金を貯めた。
周りの心配をよそに私は飛び出すと決めた。

はて、飛行機の乗り方がわからない。
パスポートあれば大丈夫やんな…?

そんなこんなでスタートした初めての旅。
蒸し暑い気候と東南アジア特有の匂いを感じた。
変な英語を使って話しかけてくるおっちゃんたち。
これが外国か~!

早朝のサンライズツアー。眠い目をこじ開けてトゥクトゥクに乗る。
目の前にしたアンコールワットは写真に見た通りで特に感動しなかった。

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いつも感動するのは、行く予定のなかった知らない景色だった。
突然誘われていったプレアビヒア。5時間かけて臨んだ景色に息をのんだ。

・・・

でかいキャリーケース、トイレに落として壊れたスマホ。
同じ価値観で話せる人と出会って、旅好きのコミュニティがあると知ったのもこの時。

都会生まれの男の子と少しドキドキしながらバイクに2人乗りして街を散策して、ホテルのプールで遊んで、クラブとやらに行く。初めてお酒も飲んでみた。(現地では18歳の飲酒は合法)

知っていることが増える、出来ることが増える、それだけで少し自分が大きくなったように感じた。

涼しい博物館のソファで寝ちゃったこと、過去の虐殺を物語る光景にうまく息ができなくなったこと。

どこか記しておかないと忘れてしまいそうな感情たち。
たった5日間が果てしなく長く感じた。

帰国すると変わらない日常が待っている。
けど、今まで自分でも知らなかった「私」がいることを今では知っている。


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