さて、これまでで説明したように、今の私たちは科学も経済も自分たちにとって特別大事なものとは考えにくくなってしまっています。
この感覚は、別に私たちが(特に若者たちが)人生経験が浅く、苦労を知らず、甘やかされて育って、社会の厳しさを分かっていないからではありません。
むしろ「科学至上主義」「経済至上主義」の刷り込みが少なくなって、その分、新しい価値観の刷り込みが知らないうちに行われてきたから、以前の価値観に執着しなくなっているだけなのです。今から三十年後、現在の大学生が五十代になるころには、この本の中で述べる、新しいパラダイムが主流になっているはずで す。
そのころには「科学的」「経済的」な思考は、もし、まだまだメジャーであったとしても年寄りくさい考えになっているでしょう。
がむしゃらに働きたがるのは年寄りだけ、医者の言うことを素直に聞くのは年寄りだけ、TVを見るのは年寄りだけ、という時代を私たちは迎えつつあるのです。
では、次章からの話です。
今までのパラダイムが崩壊しつつあることは確認できました。では今、生まれつつある新しいパラダイムとはどんなものでしょうか。
私はそれを、このように定義しました。

「今、訪れつつある新社会。それを『洗脳社会』と呼ぶ。
自由経済競争社会とは、社会の構成員が、その最大の経済的利益に向かって邁進することによって安定する『動的安定社会』である。それと同じく、
自由洗脳競争社会とは、社会の構成員が、その最大の洗脳的利益に向かって邁進することによって安定する『動的安定社会』である」

これをきちんと説明するのが、この本の目的です。
この本では今まで断片的な現象としてしか語られていなかった、このような価値観の変化による社会変化、パラダイムシフトを総合的な観点からとらえて、今、何が起こりつつあるのかを明確にしようというものです。
その上でこれから将来、社会はどう変化するのか、私たちは何を準備すればいいのかを提案してみます。

支援していただけるなんてチョー嬉しいんですけど^^笑