一昔前の人々の価値観は、簡単に理解できます。なんせ他人事ですから。でも、自分たち自身の価値観の変化を知ることは、案外難しいものです。
アダム・スミスも「あるパラダイムの中にいるとき、そのほかのパラダイムは想像することさえ難しい」と言っています。
犯罪が発生したときに、まるで知っているかのように犯人像を述べる心理学者も、自分の心理は分析しにくい。
冷めてしまった自分の心を、この間まで好きだった人に説明するのは難しい。
自分自身の変化については、案外私たちは自覚していないものなのです。
では、どうするのか。今の若い世代を観察すればよいのです。なんといっても三十年後の価値観は、今現在の彼らの価値観の中に芽生えているはずだからです。日本が高度成長の時代だったときに、当時の若者たちはすでに「成長への否定」を始めていたのです。
今の若者たちの行動や嗜好を見ることによって、私たち自身の自分では気がつかない変化を、知ることができるでしょう。

ところで、ここから先しばらくは、いわゆる「若者たち」に対して「彼ら」という表現を使います。これは一度、私たちの中の価値観変化を客観視するための便宜的な手法です。
つまり一度、他人事、として考えると、私たちの心も本音を出しやすいだろう、ということです。だから「やっぱり彼ら若者は理解できない」などと短絡的な結論に走らないでください。あくまで「私たちの心の中にいる彼ら」イコール「私たちの心の中に芽生えている変化」をあぶり出すのが目的なのですから。

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