見出し画像

看取り本2冊目。施設を明るく照らしてくれたおばあちゃんへ

急変するちょっと前に母の日があった。
娘さんが来てプレゼントを渡した。

井上:
「ついでに写真撮るすか?」

横並びに座っている2人にスマホを向けると
先にお母さんがポーズをとる。
すぐに娘が違うポーズをとる。

1枚写真を撮る。娘さんから

娘:
「待って、顔のライン隠すのやってない!もう一枚!ほら母さんもこうして手でアゴ隠して」

母:
「なにそれ〜いいじゃない!こう?」

ノリノリでアゴを隠す2人。

2枚目、写真を撮る。

娘:
「良いじゃない、良いじゃない。シュッとしてるわ!ね!母さん!?」

母:
「そうね。けど私の方がシュッとしてるわ」

娘:
「えぇ〜そうかな!?やっぱり私でしょ!?」

もーなにこの会話。家じゃん。仲良いな〜と思いながら聞いてた。

おばあちゃんと娘さんはそっくり。

井上:
「似てますね〜」

娘:
「全然似てない!こんなに太ってない!!」

母:
「なんと〜。私もこんなに顔してない!」

二人とも話す言葉と顔が全然合ってない。
良い親子ってこういう風なことを言うんだな〜


それからちょっとして、おばあちゃんの容体が急変した。
元々、肺が弱く若いうちから付けていたらしい在宅酸素。
病院へ行った時にはもう限界だったそうだ。

気づけばいない、空っぽの部屋。
音がない空間。虚しいより、空しい。

あの声がない施設が普通になるまで自分的に時間がかかった。
誰よりも施設を明るく照れしてくれたおばあちゃんへ本を作る。
おばあちゃんのここに居たんだという「証」を本で贈る。

ありがとうございます! おいしいものを食べて、エネルギーにします!!