警察組織が必要とする人材

警察官を目指している方へ、私が現職時代に肌で感じた「重宝される人材」とそうでない人材について書きます。

重宝される人材は、判断力、向上心、謙虚、この3点が備わっています。

判断力

まず警察官に求められるのは個々の判断力です。

特に交番の警察官は第一に現場に到着(※第一現着という)することが多く的確な判断ができないと犯人に逃亡されたり、証拠を壊したりしてしまいます。

では判断力を養うにはどうすれば良いか、それはイメトレです。

入庁前の方でも可能です。

すでに現職の方であれば、110番通報が入ったことを想定してイメトレをしましょう。

例えば、大きなターミナル駅、池袋、渋谷、新宿では毎日のように痴漢が起きますが、「痴漢の犯人を確保している」という110番から私が第一現着した想定で話してみましょう。

交番で立番(※りつばんと読む)勤務中に痴漢確保中と110番通報が入ります。

常に問題意識を持っている警察官は、いつでもすぐに出動できるように、メモ板、手袋、ゴム手袋を準備しています。

痴漢と入った時点で頭の中では「現行犯逮捕する要件は揃っているのか」「逮捕するとして、現場で収集する情報、証拠は何か」「目撃者はいるか」等々ある程度、警察署に連行するまでの自分なりの道筋と最終的な着地点を110番通報を受理した段階でイメージするのです。

現着すると、まずは被害者から聴取します。

できるだけスピーディーにかつ要点を的確に聞いて、その後犯人から聴取をします。

いつ、どこで(どこからどこを走行中)、どんな人が、どんなことをして、誰がどうやって捕まえたか。

その時どう思ったか、痴漢の被害者からは被害を受けた際の感情も聞く必要があります。

被疑者からは誘導尋問ととられないよう、端的に今日はどうしたんですか、などと相手に話させる質問をする。

相手が認めていればそのまま警察署に連行し、否認していればその理由を聞いた後、再度被害者や確保者から詳細をさらに聞いて、曖昧な点や矛盾点がなく、間違いなく犯人であると認められた場合は痴漢の現行犯人として被疑者を署に引致する。

第一現着した人は内容を一番ホットな状態で聴取できる重要な役割があるので、自分が中心となって処理するという気持ちで臨むくらいでちょうど良い。

警察署にはパトカーに乗せて引致する。

この際は自分が犯人の横に座り、変な行動をとらないか監視態勢をしっかり取る。

署に到着すると痴漢であれば生活安全課の司法警察員に引致する必要があるが、その際、自分が聴取した内容をすべて伝え、その後、現行犯人逮捕手続書(乙)(※一般私人が犯人を逮捕した際に作成する書類)を作成する。

痴漢発見から確保までの流れは逮捕者からしっかりと聴取し、書類の中で矛盾や相違が絶対にでないように、聴取内容を全体に共有する。

ここまでくると後は生活安全課の刑事さんと協力し、検察庁に送致する書類を作り上げていく。

常日ごろから、事件が発生した際に、把握した段階で自分ならどう処理するかイメトレし進め方を理解しておくことが大事である。

このように事案発生時に瞬時に頭で判断し、自ら指揮をとっていけるような警察官であれば、どんな事件でも対処できるだろう。

刑法犯であれ、特別法犯であれば、おおまかの聴取すべき内容は同じだし、警察署に連れていくまでの工程はほとんど変わらない。

大事なことは、個々人が判断力を持つことで、その判断力は時代のニーズにあう柔軟性を含んだ内容にする必要がある。

判断力がない警察官、他人任せで自分の脳で考えない警察官はすぐに排除する必要があり、警察組織を強固にするには必然の判断になるだろう。

ここまで判断力について、話しました。

向上心、謙虚については後日アップロードしていきます。


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