二年前の日記 8/25

2017/08/25

 承認欲求という言葉を知ったのはTwitterが随分広まった後だったように思う。もともと承認欲求を満たそうとする行為については「目立ちたがり」とか「おどけ者」などそれぞれに対応した言葉があったので、承認欲求という単語を知らなくとも会話に苦労することはなかった。つまりは知らなくても良い言葉なのだが、まあ知っていれば便利とは言えよう。

 ロシアで生まれたとされるゲーム「青い鯨」は若者の承認欲求を煽って行動をどんどん過激化させ、最終的に自殺に追いやるものである。ロシアでは130件以上の若者の自殺に関与したとされる。その後カザフスタンやキルギスタンなど中央アジアに広まったらしいとの話があったのが3月頃だったのだが、さすがネット時代、一気にインドにまで達していた。

 時事通信の報道によると、インディアン・エクスプレス紙などインドの主要メディアは、ムンバイで14歳の少年がビルの6階から飛び降りたのを皮切りに、ケララ州やニューデリーで10代の若者が次々に自殺したと報じているらしい。そのいずれにも「青い鯨」が関与しているとも。ニューデリーの高裁は、GoogleやFacebookなどに対し、「青い鯨」へのリンクを見つけ次第削除するように要請したのだそうな。

 インドに「青い鯨」が広まったということは、つまり英語圏に広まったということである。ならばイギリスやアメリカやオーストラリアに広まるのは時間の問題と言えよう。日本に入ってくるまでにはもう少し時間があるかもしれないが、悠長に構えていられる程の余裕はないと思われる。先手を打って何らかの対処をしておくべきであろう。

 とは言え、毎年2万人以上が自殺する我らが日本であるから、いまさら100人や200人自殺者が増えても大した変化はないとも言えるのだが、その大した変化でもない数字を食い止めることも出来ないで、自殺者を減らしましょうなどと政府が旗を振っても実績は積めまい。

 厚生労働省を中心に、政府は自殺者を減らすことに取り組んでいる。それが効果を上げているのかどうかは寡聞にして知らないが、いずれ「青い鯨」が足を引っ張るのは目に見えている。どうか日本政府としては、後手後手にならないよう、今のうちから頑張っておいていただきたい。来るとわかっている災難である。何とかなるだろう、普通なら。そう、普通なら。


 アメリカ・ペンシルベニア州のカップルが、子供を授かった。そのお腹の中に居る子供のエコー写真を見てみると、左端に人の姿のような影が見える。それを見て二人はこう思ったのだという。「イエス・キリストだ」と。

 自分も写真を見てみたが、どう見てもチャック・ノリスだった。この子は打撃系格闘技をやらせれば、強くなれるかも知れない。て言うか、「心霊写真だ!」とならないところにご都合主義を感じる。まあ子供が生まれるというめでたい話なのだから、そこは突っ込むところではないのだろう。

 写真に写り込んだ影だけではなく、壁に浮かんだ水の跡であるとか、たまたま人の顔の形に見えた雲であるとか、欧米ではそういう人影に見えるものは何でもかんでもキリストかマリアだと思い込む傾向がある。日本だったら観音様かな。インドならヴィシュヌやシヴァに見えるのだろう。もっとも今限定なら、トランプ大統領の姿に見えて、みんなからトマトか何かぶつけられるとか、そういうこともあるかも知れない。そう考えてみると、こういう事象は基本的にご都合主義なのだ。楽しんだもの勝ちということだろうか。


 国立研究開発法人海洋研究開発機構といえば、「しんかい6500」で有名である。その海洋研究開発機構が、NHKと共同で、マリアナ海溝の水深8178メートルの深海において魚類の撮影に成功した。その名前が示す通り「しんかい6500」では8000メートル以下の深海には潜れないので、今回は新開発したフルデプスミニランダーと呼ばれる自動昇降式の観測装置にNHKの4Kカメラを取り付け、撮影に臨んだという。

 理論上は深度8200メートル以下には魚類は生息できないらしい。これを生息深度限界と呼ぶそうなのだが、この深さで魚の体内の浸透圧と海水の浸透圧が等しくなるのだそうな。要は8200メートル以下の深海では魚は体内で浸透圧の調整ができなくなり、体の水分が外にダダ漏れになってしまうということだ。

 しかしその生息深度限界ギリギリの8178メートルまで魚が棲んでいるということが、今回ハッキリした。ならば今度は8200メートル以下の世界を撮影して、そこには魚がいないことを確認できれば理論は正しいと証明されるのだが、それはそう簡単ではあるまい。

 何せ光の届かぬ世界の話である。8200メートル以下の世界には、どこにも一匹も魚がいないと証明するのはかなり大変だろう。それでも、深海の水産資源の状況を把握するには大事な調査であろうと思うし、将来有人調査船を送り込むためにも、こういった調査のデータは使われるのだろう。今後とも海洋研究開発機構には頑張っていただきたい。


※ 「青い鯨」だとか「Momo」だとか、自殺ゲームに関する話題は、いまでもときどき表に出て来たりしますが、基本的にはアングラに潜っているように思います。怖い物見たさが人間にある限り、こういう物はなくならないのでしょうけれど、何らかの対策は事前に立てておくべきです。来るとわかっている災害なのですから。

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