二年前の日記 9/30

2017/09/30

 安全の基本は指さし確認。自分はそこそこの期間警備員をやっていたが、必ず指さし確認を行っていた。目視だけで確認するより、明らかに確実性が上がる。目だけでは、見たつもりで見ていないということが往々にして起こるのだ。指さし確認はどんな現場でも有効な方法であると思う。

 さて今月11日、埼玉県さいたま市――自分が市長なら絶対改名するけどな――にある私立幼稚園で、幼稚園バスの中に3歳の男児が取り残され、5時間放置されるという事件があった。男児は病院に運ばれたが、健康上の大きな問題はないということだ。この季節でよかった。1か月ほど前なら熱中症で死んでいたところである。

 それにしても何故こんなことが起きたのだろう。ここの幼稚園では出欠を確認しないのだろうか。連絡も無く欠席していた場合、家に連絡を入れてみることもしないのだろうか。いやそれ以前に、バスから全員降りたことを、何故確認しなかったのだろう。運転手が座席側に回り、指さし確認していったところで、ものの5分とかかるまい。忙しいのもわかるが、それくらいの手間が本当にかけられないものなのか。今回はたまたま問題が生じなかったが、季節によっては命に関わる失態である。関係者には猛省が求められる。


 しかし指さし確認をキッチリ行ってさえいれば、何でもOKかと言えば、そういう訳にも行かない。いかに安全に注意を払い、慎重に慎重を重ねたとしても、医師免許を持たない者が手術をすることは許されないのだ。それと同じ、と言って良いだろうか。

 国内の自動車メーカーは、道路運送車両法に基づき『完成検査』を行わねばならない。これは各メーカーの社内規定に則り認定された有資格者が、出荷前の新車を検査する制度なのだが、国土交通省からの通達で義務づけられている。

 日産自動車ではこの検査を車1台あたり4、5人で分担していたが、その中に無資格の『補助検査員』が加わっていたという。国土交通省の抜き打ち検査でこれが発覚、国内にある6つの工場全てでこの不正が行われていたことが判明した。

 29日、日産自動車は国交省で記者会見を開き事実を公表、リコールで対応する方針を示した。ただし不正な完成検査を受けた車であっても、車検を1度以上受けた車は国の定めた基準をクリアしていることが確認されているとして、リコールの対象外となる。また海外では完成検査を求められてはいないので、海外で販売した車もリコール対象外である。それでもリコール対象車は90万台とも100万台とも言われる。

 自分は一般的なリコールには悪い印象を持っていない。人間が作るものである以上ミスが起きることは大前提であるし、それを速やかに公表、対処すれば問題は無いという考え方である。しかし今回の日産のこれは、部品選択の間違いや強度計算の失敗とは異質なものだ。組織ぐるみで意図的に行われたものであり、三菱自動車のリコール隠しにも通じるものではないかと感じる。

 まあ日産に言わせれば、有資格者の育成にはコストがかかるし、知識と経験さえあれば無資格者でも完成検査は可能であり、安全性にも問題は無いという考えだったのだろうが、だからといってルールを破っても良いという理由にはならない。

 役所の言うことにいちいち真面目に全部対応していたら、面倒臭くてかなわないということもあるかもしれない。その気持ちは大変によくわかる。だがそれでも、ルールは守ることが前提である。社会的影響力の大きな大企業であるからこそ、ユーザーの視線も厳しいものとなろう。今後難しい局面を迎えるかも知れないが、何とか立ち直って欲しいと思う。一度潰れた会社である。二度目はないと信じたい。


 車で毎日のように走っていると、最近痛感するのがガソリンスタンドの減少である。一般道でもガソリンスタンドが少ないのだ。まして高速道路をや。いやそもそも高速道路では休憩所の数自体が足りないと聞く。高速道路は年々伸びていくのだが、サービスエリアの整備が追いついていない状態だという。

 これに対応するために、国土交通省はインターチェンジ近くの『道の駅』を休憩所として使えないものか、関越自動車道などで実証実験を行っているそうだ。具体的には最新型のETC搭載車が高速道路を降りて道の駅を利用し、再び同じインターチェンジから高速道路に戻った場合、1時間以内なら追加料金が発生しないのだそうな。

 何故1時間にしたのだろう。混んでいるインターチェンジなら、降りて、道の駅に入ってトイレをして、再び高速道路に戻るだけで1時間かかる場合もあるかも知れないではないか。それでは休憩にならない。それに道の駅が賑わえば、高速道路の周辺自治体を経済的に潤す効果も幾分はあるだろう。ならばせめて3時間くらいは欲しいところだ。それならちょっとした観光もできる。あと最新型のETCが必要というのも引っかかる。古いETCでも、あるいは現金払いの利用者でも使えるシステムを考えて欲しい。

 とは言え、試みとしては悪くない。いずれ全国の高速道路に広まって欲しいと願う。


 オーストラリア南部の都市アデレードにあるピザレストランが、物議を醸しているのだそうな。このレストランの店内には、牛の剥製が吊されている。それも四つ足を踏ん張った形で吊されているのではなく、後ろ足を縛られて頭を下にした姿で吊されているのだ。これに対し「残酷だ」との批判があるそうだが、店のオーナー曰く、「肉がどうやって調達されているのかを思い出してもらいたかったからだ」ということらしい。

 確かに現代の都市住民は、自分の食べている肉や魚が何処から来ているのかを知らない。情報として知ってはいても、実感として理解している者は少ない。それは問題であると考える人がいることは、自分も知ってはいるが、しかし飯を食うときに思い出さねばならんことかと思う。その理屈なら、現代の都市住民は自分の排泄物がどのように処理されるのかを知らない。だから料理の横にウンコを置くことに意味があるのかと問われれば、ないと思う。

 このレストランのオーナーは動物の福祉にも熱心なのだそうな。何と言うか思うのだが、このオーナーはレストランとかやっちゃ駄目な人なのではないか。言っていること考えていることは断片的には正しいのに、総合すると狂っている。

 ネットで見る限り、店の評判は悪くない。同じ店名でピザレストランとバーの2店を経営しており、ちょっとした成功者であるのだが、空恐ろしさを感じてしまう。もしかしたら成功者というのはそういう狂った部分があるものなのかも知れないが、飯くらいは安心して食いたいと思うのが、普通の人々ではないのかなあ。


※ この頃はまだゴーンショックなど気配すらありませんでしたが、いまにして思えば、日産の企業としての限界はすでに見えていたのかも知れません。スバルでも同様の問題がありましたが、こちらは上手く乗り越えたように思います。日産は大企業ですから、潰れると影響は多岐に渡るでしょう。何とか生き残ってもらいたいようにも思うのですが、難しいんでしょうかねえ。

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