二年前の日記 11/22

2017/11/22

 今オーストラリアでは『賃金泥棒』が問題となっているらしい。スリ置き引きの類いではない。留学生やバックパッカーを、正しい賃金を支払わずに安く働かせることだ。まあどこでも聞く話ではある。日本にもその手の酷い話はあったよな、と思いながらAFPの記事を読んだら、目玉が飛び出るかと思った。

 オーストラリアでは留学生、バックパッカーといった一時的な滞在者が労働市場の11%を占めているそうなのだが、調査によるとそのうち30%は一般労働者の法定最低賃金の半分しか支払われていなかったそうだ。で、その法定最低賃金とはいくらなのかと言えば、時給22.13豪ドル、日本円にすると約1880円なのだそうだ。つまり半分と言えば940円である。この調査によると、ほぼ半数の留学生・バックパッカーは時給15豪ドル(約1270円)以下で働き、また中国、台湾、ベトナム出身者の75%は時給17豪ドル(約1440円)以下だったという。これを報告書では「酷い状況」と表現している。

 確かに、酷いかどうかは相対的なものなので、これはこれで酷いのは間違いではない。ただ、単純に金額的に見ると、日本の労働者の11%どころか相当たくさんの割合の人々が「酷い状況」の下に置かれているとも言える。時給1440円の労働など日本で募集したら応募者が殺到するだろう。もちろん当然だが、時給さえ高ければそれで良いというものでもない。ものでもないが、では日本の最低賃金は人間に最低限の生活を保障してくれる水準にあるのかというと、それはないだろう。

 そもそも最低賃金とは、今までが幾らだったからちょっと上げてこの金額にしよう、といった類いのものではなく、今の社会で普通に生活するならこの程度の金額が必要だから、それを平均的な労働時間で割ればこのくらいだろう、という観点から算出する物だ。現状の最低賃金は東京や大阪でも900円台、それで本当に生活できるのかどうか、政治家や経営者は試してみると良いと思う。

 とりあえずオーストラリア人の前では日本の時給の話は恥ずかしくてできないなあ、と思う次第。


 イスラエルの閣僚が、「多くのアラブ諸国、イスラム教国と水面下で提携関係にある」とラジオ局のインタビューで発言したのだそうな。こういう場合にあえて「少数の」とは言わないだろうから、実際の提携関係にあるのは2つ3つの国かも知れない。

 まあそのうち一つはサウジアラビアであろう。となれば後はアラブ首長国連邦とかエジプトとか、要は対イランで結束しているあの辺の国がイスラエルに近づいているのではないかと想像はつく。相手側の意向で国名は公表できないとのことだが、公表しなくてもイランに対するプレッシャーにはなるだろう。たとえ共通の敵の存在によってではあっても、イスラエルとイスラム圏が近しくなるのは良いことだと思う。それがガラスのように脆い仮初めの平和であったとしても、紛争が減るのは喜ぶべきことだ。

 少し前にミス・ユニバースの世界大会の会場で、ミス・イスラエルとミス・イラクが一緒に自撮りをして話題になったが、これからはそういうことが増えるのかもしれない。戦争はもう良いだろう。お腹いっぱいだ。

 もちろんイスラエルとサウジアラビアの接近が、イラン・イラク・シリアといった国々との戦争を呼び起こすのかもしれない。その可能性はあるのだけれど、それでも一時の平和が何か新しいものを生み出す可能性だってある。戦いばかりでは消耗するだけで何も残らない。一時の平和の積み重ねが、いつか恒久の平和になりますように。


※ 最低賃金はこの頃に比べて上がりましたが、まだまだ生活は厳しい現状です。上げれば良いというものではない、という理屈はわかりますが、上げなければ始まらない事も多々あるでしょう。商品を売りたいのであれば、買えるだけの給料を払うのは当たり前だと思います。
 イスラエルは昨日ネタニヤフ首相が汚職の容疑で起訴されました。もしこれが遠因となって政権が交代するような事になれば、中東情勢は大きく動くかも知れません。

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