二年前の日記 10/18

2017/10/18

 ISがその存在を主張し続けていた『イスラム国家』の首都とされるシリアの都市ラッカが、クルド人中心の反政府組織『シリア民主軍』の攻勢に陥落した。これによりISの主張するイスラム国家は事実上崩壊したと言える。

 またフィリピンではドゥテルテ大統領が、ミンダナオ島の都市マラウィの「テロリストからの解放」を宣言した。IS傘下の武装勢力との戦いは、これで一旦終了である。

 もちろん、これでISが根絶された訳ではない。イラクであれシリアであれ、これからもテロは起きるだろうし、フィリピン国内にだってまだイスラム武装勢力はいる。しかし一時とはいえ広大な領土を誇ったISが壊滅寸前にまで追い込まれているのは事実である。世界にとっては明るい話題であろう。

 とは言えこれでイスラム過激派の脅威から世界が救われるという話でもない。ISの消えた後にはビンラディンの息子が率いるアルカイダが復権を果たすとも言われている。まだまだ先は長いのだ。くれぐれも油断のなきように。


 さて日に日に小さくなるISの支配地域に対し、日に日に大きくなるのが神戸製鋼のデータ改竄事件である。当初アルミと銅だけと言われていた改竄が鉄粉や鋼線や特殊鋼でも行われていたことが明らかになり、アメリカの司法当局から書類提出を求められる事態にまで発展している。

 しかも改竄を行っていた期間が、「十年ほど前」から「数十年前」になっている。もはやリコールとかそういう段階ではない。下手をすれば会社まるごと売って賠償金をひねり出さねばならないかも知れない。10年も経てば「昔、神戸製鋼という会社があってね」なんて話になるのだろうか。怖い怖い。

 それにしてもよく今まで深刻な重大事案が起きなかったものだ。それとも起きていたがたまたま神戸製鋼に嫌疑がかけられなかっただけなのだろうか。一説にはタカタのエアバッグにも神戸製鋼の製品が使われていたというし、もしかするとこれから雨後のタケノコのように次々に問題が湧いて出て来るのか。そして日本を「神戸製鋼不況」が襲うのかも。

 いやあ勘弁して欲しい。神戸製鋼の不正によって神戸製鋼が潰れるのは仕方ないが、それ以外の日本メーカーに影響が波及するのは何とか避けてもらいたいところである。だがしばらくは日本製、それも神戸製鋼の製品を使用していたメーカーは敬遠されるのではなかろうか。イメージとはそういうものだ。何とも困った話である。


 アフターバーナーはゼネラルエレクトリック社の登録商標なのだそうな。簡単に言うとジェットエンジンの排気ガスに燃料を吹き付けることで火をつけ、爆発的な推進力を発生させるための装置である。

 ジェット戦闘機を狙う赤外線追尾装置のついた対空ミサイルは、このアフターバーナーの炎を目掛けて飛んでいく。そこで戦闘機はこれをかわすため、フレアと呼ばれる火の玉を後部から発射する。ミサイルが火の玉をアフターバーナーの炎と誤認してくれれば戦闘機は助かるという理屈である。

 山口県岩国市に在日米軍の基地があるのだが、そこに所属するFA18戦闘機が17日、広島県北部の空域でフレアを発射した。ミサイルを回避する訓練を行ったものと思われる。通常この訓練は海上の高高度で行われるが、陸地の、それも民家のある上空で、しかも地上からフレアが確認できる程の低高度で行われたために、防衛省がアメリカに事実確認を求める事態となっていた。

 まあ北朝鮮のこともあるし、実戦に近い状況の訓練がしたかったのだろうとは思うが、迷惑な話である。アメリカ国内では民家の上空でフレア発射訓練などしないという話もあるし、いまだ日本はアメリカの属国であるという証のような事件ではある。

「だから日本は憲法を改正し自衛隊を国軍とし軍備を増強して在日米軍の規模を縮小すべきムキーッ!!」

 とか大声で言うと右翼扱いされるので言わないが、いい加減そういう方向の議論も必要ではないかと思う。隣国の軍事的脅威は実在する。在日米軍により与えられる被害というものも実在する。ならばそれらに同時に対応しようとすれば、結局日本の軍備を拡大するしかないだろう。

 それに反対する人がいるのもわかるが、議論すること自体を否定するのは理解できない。目を閉じ耳を塞いだからといって現実が消えてなくなる訳ではない。隣国と話し合えば理解し合えるということもあり得ない。そんなことが可能だと言うのなら、まず野党は自民党を説得してみるべきだ。同じ言葉を使い同じ文化の中で生活している人も説得できないのに、外国を説得などできるはずがあるまい。

 なお、フレアは発射されても数秒で燃え尽き、地上に炎が落ちてくることはないそうだ。だからといって軽い気持ちで火の玉をポンポン発射するのは勘弁して欲しいのだが。


 16日、地中海に浮かぶマルタ島で爆発が起きた。自動車に爆弾が仕掛けられていたのだ。この爆発で運転席にいた地元の女性記者ダフネ・カルアナガリチア氏が死亡した。彼女はいわゆる『パナマ文書』について調査報道を行い、マルタのムスカット首相夫人がパナマに会社を置いて資産を隠していた疑惑を追及していたのだそうな。この事件に関しムスカット首相は、

「政治的にも個人的にも、彼女が私を厳しく批判してきたのは周知の事実だが、このような野蛮な行為を正当化できる者などいない」

 と述べ、徹底的な捜査を治安当局に指示したそうだが、さあて、犯人は誰でしょう。

 まあアレだ。こういう書き方をすれば誰もがムスカット首相を疑う。他の名前が出て来ないのだから当たり前である。だがNHKも朝日新聞も時事通信もみんなこういう感じである。これはちょっと酷くないかと思う。

 マスメディアは探偵でも警察官でも裁判官でもない。疑わしきは報道すべきなのかもしれないが、犯人を特定するのはマスコミの仕事ではないはずだ。正義の味方になりたい気持ちは理解できる。しかし何でもかんでもやれば良いというものではない。安易な憶測は故人の尊厳を貶めることにもなりかねない。慎重な配慮を求めるところである。


※ 2年前はクルド人のおかげでシリアのラッカがISより解放されたのですが、いまクルド人はアメリカに見捨てられ、ISが復活の兆しを見せています。クルド人勢力に捕らえられていたISメンバーの家族が、ISに奪還されたという話も報じられました。とりあえずビンラディンの息子は殺されたようですが、この先どんどん時計が逆回転して行くのかも知れません。まあ超大国アメリカの大統領がそれを望んでいるのですから、どうすることも出来ないのですけど。

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