二年前の日記 10/14

2017/10/14

 時事通信によると、田原総一朗氏が昨年安倍首相と面会した際、集団的自衛権の行使を可能にするための憲法改正の必要性について、安倍首相が「全くなくなった」と語っていたらしい。それだけ聞くと、まるで憲法改正に対する意欲がなくなったかの如き印象を受ける。日本外国特派員協会で会見した田原氏やそれを報じた時事通信の真意が何処にあるのかは知らないが、

"安倍首相「改憲必要なくなった」=昨年、田原氏に明かす"

 という記事のタイトルは、いささかミスリードを誘う書き方ではないかと思う。

 要は「集団的自衛権の行使を可能にするための憲法改正」については安全保障関連法が成立したことにより、「アメリカからの要請がなくなった」ため、それを理由に改憲する必要がなくなったということである。

 一方ナショナリストの安倍首相としては憲法を改正することそれ自体が目的であるから、それはそれとして改憲を目指すだろう。実際、時事通信の記事の中にも「日本の憲法学者の7割近くが『自衛隊は憲法違反だ』と言っている。だから憲法に自衛隊の存在を明記したい」との安倍首相の言葉があるし、改憲の意欲は衰えていないと思われる。まあそれを是とするか否とするかは人によりけりだと思うが、とりあえず安倍首相のスタンスは変わっていないと見るべきだ。

 しかし日本は不思議な国だ。一般の企業が誤認を誘うような広告を出せば罰せられるのに、マスコミの報道だとやりたい放題である。もちろんマスコミだって人間がやっているのだからミスはあるだろう。しかしそれを放置して構わないという理屈はおかしい。累積ポイント制とかにして、ミス・誤報などによりポイントが一定以上溜まれば何らかの行政指導を受けるくらいのことは必要なのではないか。自浄作用があるとでも言うのなら話は別であるが。


「連合」と聞いて「艦隊」とか「王国」とか思い出す人は結構いるだろうが、「労働組合」と出て来る人はどれだけいるだろうか。ああ、言われてみればそんなのもあったな、となる人がかなりいるのではないかと思う。それくらい地味というか知名度に欠ける『連合』こと日本労働組合総連合会であるが、もしかしたら少し知名度が上がるかもしれない。

 小泉進次郎自民党筆頭副幹事長が福島県福島市の街頭演説で連合を批判した。労働者の賃上げ要求は本来労働組合の仕事であるはずなのに、いま自民党がそれをやっている。にもかかわらず労働組合は野党を支持し、それを連合が束ねている。連合は本当に労働者の代表なのか、と。

 まあ政権与党が企業に賃上げ圧力をかけるということに対しては異論もあるかも知れない。しかし労働組合はそれを支持すべきであろうというのは、確かにその通りである。労働組合は本来賃上げを始めとする労働環境の改善を勝ち取るために存在する。ベースアップの金額を経営側に配慮したり、会社の仕事をせずに組合活動だけで給料をもらったりするために労働組合がある訳ではない。

 自分もまだ人間だった頃には、当然労働者として働いていたのだが、会社に組合などなかった。憲法28条では団結権、団体交渉権、団体行動権が認められているにも拘わらず、組合すらないという企業がまだ山のようにあるのがこの日本という国である。そしてそれに対し、何ら効果的な行動を取ってこなかったのが連合である。何せストライキすらできないのだから話にならない。

 まあ連合にも言い分はあるのかもしれない。小泉進次郎氏に対して反論が出るのかもしれない。しかしそれが多くの労働者の支持を得られることはあるまい。どんな目的を持って設立された組織であっても、生まれた瞬間からその存続が第一の目的となる。連合もまたそんな組織の一つであろう。せいぜい寿命を延ばせば良いと思う。


※ この頃はまだ小泉議員は副幹事長の一人でした。いまや大臣先生ですが、風当たりが強くなって四苦八苦している様子がうかがえます。まあ、これからの人ですからね。

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