二年前の日記 4/17

2017/04/17

 アメリカ・ニューヨークにある動物園アニマル・アドベンチャー・パークで15日、15歳のキリンが出産した。その様子はYouTubeで生配信され、100万人以上がアクセスしたという。

 しかしキリンの妊娠期間は15ヶ月に及ぶのだが、出産の中継に至るまでには紆余曲折があり、2月には一度配信が中断されたのだそうな。その理由が「性的に際どい」という苦情があったためらしい。

 いかに人類と同じ哺乳類とはいえ、まさかキリンの性器に欲情する者がそんなにいるとは思えないのだが、そういう声もひとつの意見として受け止めなければならないのが動物園の立場なのだろう。だが教育的側面を考慮し、配信は再開された。良い決断ではなかったろうか。

 悲しいほどに命の軽い現代である。生命の神秘性にネット越しとはいえ触れられる機会はあった方が良いだろう。その瞬間を見られた者はラッキーであったと思う。


 命の軽さを象徴するかのようなことは世界各地で起きている。

 15日、イタリアの沿岸警備隊はリビア沖合の地中海で、ゴムボートなどの航海に適さない粗末な船で海を渡ろうとしている、移民とみられる約3000人を救助した。ドイツのNGOの手を借りて、この日だけで35回出動したという。うち15回は日没後だったというから、いかに長時間の救助活動が行われたかわかるが、それでもまだ1000人近くの人々が海上で救助を待っているという。

 なんという数だろう、と驚くのはまだ早い。実はイタリアの沿岸警備隊は、前日の14日にも約2000人の救助を行っている。さらに言うなら、去年の8月29日には、同じくイタリアの沿岸警備隊が、同じくリビアの沖合で、約6500人の移民とみられる人々を救助している。イタリアにとって大量の移民の救助が日常茶飯事となっていることがうかがえる。

 地中海を挟んでイタリアの対岸にあるリビアは、内戦が続き、大量の移民を生んでいる(ちなみに、紛争や内戦から逃れるために国を出る人々のことを、難民とは言わないそうである。自分も調べてみるまで知らなかった。広義の移民の中に難民が含まれ、非常に意味の狭い、厳密に定義づけられた人々のことをのみ難民と言うらしい。よって紛争避難民は難民ではなく移民と呼ぶのだ。ややこしい)。

 リビアの移民にとっては、イタリアがヨーロッパへの玄関口なのだ。しかしいかにイタリアとて、あるいはイタリアを含むEUとて、無限に移民を受け入れることはできない。というか、もう既にアップアップなのではないか。

 移民は中東からもやってくる。すべて受け入れたら人口比で何%どころか何割というところまであっという間に行くだろう。市町村単位では既に白人がマイノリティになっている場所もあると聞く。西側ヨーロッパにとって基本的人権の尊重は動かさざるべき金科玉条なのであろうが、それを実質的に担保するのは国家でありEUである。それが崩壊しては本末転倒なのではないか。

 そもそも、なぜ大量の移民が発生するのか。なぜ内戦が続くのか。なぜ国家が安定しないのか。その端緒の部分にヨーロッパ各国は無関係なのか。自分で自分の首を絞めているということは本当にないのか。欧米の正義は世界の正義ではない。自由と平等と民主主義を世界に押しつけた結果が現状にあるのなら、今からでも見直さなければならない。

 日本のすぐそばには、自由も平等も民主主義もない巨大国家がある。それはそれなりに問題ではあるのだが、それでも内戦の続くアフリカや中東諸国よりは随分とマシな方である。それぞれの国には、それぞれに応じた統治方法や政治体制があるのではないか。独裁国家がすべて北朝鮮になるのなら話は別だが、それは絶対ではあるまい。世界はつながっている。EUの衰退は、いずれ必ず日本の衰退につながることだろう。そうならないためにも、EUには頑張っていただきたい。なんとかひとつ。


 アフリカと並びEUに移民を送り込んでいる中東諸国であるが、そのひとつシリアでも、当然ながら人の命は軽い。

 シリア国内では今、政府軍と反政府勢力、そしてISが三つ巴の戦いを繰り広げている。中でも政府軍が最も優勢に戦局を進めており、反政府勢力は敗走を重ねている。だがいまだ反政府勢力の強い地域においては、反政府勢力が政府軍の支配地域を包囲していたりするのだ。

 そんな地域にある町、フアとケフラヤから、住民が退避した。政府軍と反政府勢力の間に交わされた合意に基づき、バスに分乗して5000人以上の人々が移動していたのだが、そのバスに、突然車が突っ込み自爆した。その結果、これを書いている時点で112人が死亡、数百人が怪我をした模様。当然、今後この数字より大きくなる可能性は高い。

 現時点ではまだ犯行声明は出ていないようだが、普通に考えればISだろう。政府軍も反政府勢力も、そのどちらかに味方する市民も、ISにとっては敵なのだ。避難民を乗せたバスなど、絶好の標的であったろう。子供も女性も、身を守る武器のひとつも持たない丸腰の市民を、自爆テロで殺す。これがISのやり方である。命の尊厳などという言葉は、笑い話にもならない。

 とはいえ、日本人もそれを他人事のように非難していられる立場ではない。北朝鮮系のテロリストが、これから韓国や日本でテロ事件を起こす可能性が少なからずあるのだ。自爆テロもやるかもしれない。まったくもってはた迷惑な話なのではあるが、そういう国と戦争状態になるかもしれないのである。覚悟はしておかなければなるまい。厄介な厄介な。


 インド・ニューデリーの地下鉄で、構内にある大型スクリーンにポルノ映像が流れる『珍事』があったとAFPは伝えている。狙っているのか?

 まあそれはともかく、インドではこの事件は非常に大きな衝撃をもって、トップニュースで伝えられたのだそうな。何故なら、AFPによれば、インドは「セックスの話題はおろか公共の場での愛情表現さえタブー視されるお国柄」なのだそうだ。

 ……そのお国柄の割には、性犯罪が凶悪すぎないだろうか。件数が異常に多いこともあるが、それぞれの内容が極めて酷い。凶暴であり、残忍であり、控えめに言って無茶苦茶である。どうも性に対する感情のコントロールを、どこかで間違えて覚えているのではないかという気がしてならない。

 ヒンドゥー教を捨てろとまでは言わないが、なんでもかんでもヴェーダ(聖典)に解答を求めるのではなく、諸外国の研究や最新のデータを取り入れてみてはどうだろう。まずは学校教育から始めよう。そこから始めないと、きっといつまでもインドは性犯罪大国のままだ。

 インドは中国の次の大国候補である。これから世界を背負って立ってもらわなければならない。いつまでも未開の蛮族のごとき有様では困るのだ。なんとしても、この問題を解決してもらいたい。期待している。いやホントに期待しているのだ。頑張ってほしい。


 昨日のミサイルはスカッドで決着したようだ。自分はミサイルに関する専門的な知識などないので、疑問を呈する言葉を持たない。スカッドだと言われれば、ああそうなのですかと受け入れるしかない。

 アメリカのマクマスター大統領補佐官は「われわれにとっては今こそ武力行使には至らないあらゆる行動を取り、平和的な解決に努める時だ」とメディアに対して述べたという。これは誰に対するメッセージだろう。北朝鮮だというのなら、相手がどう受け止めることが前提のメッセージなのだろうか。

「アメリカは平和的解決を望んでいるのか。では核を放棄しよう」

 と考えてくれるような国なら苦労はない。とは言っても、北朝鮮も国が吹き飛ぶ瀬戸際である。何らかの譲歩はあり得るかもしれない。そんなことを期待できる相手ではない、という声もあろうが、戦争に期待するくらいなら、仮初めでもいいから平和的解決に期待したいところである。誰もミサイルの雨に打たれたくはない。トランプ大統領の思惑がまったく見えないのが気になるところではあるが、全面戦争にならずに済むルートでの解決が可能であるなら、それを選んでほしい。

 ただし、昔から「敵をだますにはまず味方から」とも言う。日本にも韓国にも知らされないどこかで何らかの作戦が進行している可能性も捨てきれない。しばらくは風の音にも怯える日々を過ごすしかないのか。

※ キリンの出産が性的に際どいのなら、いずれ鳥の産卵シーンに文句をつけてくる人が出て来るかもしれません。挙げ句の果てに「目玉焼きは性的に際どい」とか言い出したりしたら、ちょっと面白いのですけど。
 難民問題は難しいですよ。「助けりゃ済む話」ではなく、そこから始まる問題も含んでますから。一番いいのは生まれた国で死ぬまで過ごせる事だと思うのですが。アルジェリアとかスーダンが新たな難民排出国にならないといいなあ、と最近思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?