二年前の日記 1/7

2018/01/07

 去年の11月、19歳の少女(言うほど少女か?)にアルコール度数90度に近い酒を飲ませ、昏睡状態にした上で、安全ピンと黒のサインペンを使って、尻に『N』の入れ墨を5カ所彫った自称投資家の43歳の男が、障害の容疑で警視庁上野署に逮捕された。Nは男のイニシャルで、「自分の女だと示したかった。愛情確認だ」と述べ、警察の調べに対し容疑を認めているのだそうな。どこから突っ込めばいいんだ、この話。

 とりあえず順を追って突っ込んでみるが(変な日本語だな)まず未成年に酒を飲ませてはいかん。仮に合意の上でもいけないし、騙して飲ませたのなら尚更いけない。ウォッカか何か知らないが、90度の酒って消毒が出来るレベルである。手指消毒用のアルコールは70度であるから、それよりもキツい訳だ。もう人間が飲むレベルを超えている。そんなものを未成年に飲ませたのなら、その時点で傷害罪を適用すべきだろう。しかも昏睡状態になっているというのに救急車も呼ばず、尻に入れ墨を彫っている。よくそれで愛情などという言葉が出てくるものだ。

 大体、入れ墨は女が自発的に掘ってこそ意味があるものだろう。動けなくしてから自分で掘るというのは、牛に焼き印を入れる感覚である。所有物扱いであって恋人扱いからはほど遠い。要するにこの男はまったく自信がないのだろうな。多分金で女の子を引きつけることしか出来ないから、こうでもしないと相手が自分から離れて行ってしまうと思っている。こんなことをするから離れて行くのだと思うのだが、それがわからなくなっているのだろう。何とも格好の悪いみっともない話である。


 みっともない話をもう一つ。昨日6日、愛知県警津島署は63歳の宗教家の男を強制わいせつの容疑で逮捕した。男は昨年12月、33歳の信者の女性に対し、お祓い目的と称し胸を触ったのだという。警察の調べに対し男は、「胸を触ったという行為は事実だが、宗教行為の一環で行ったことで、よこしまな気持ちでやったのではない」と述べているのだそうな。女性の胸を触るのがどんな宗教行為なのだろう。爺さん婆さんの胸も同じように触っていたというのだろうか。んなこたあるまい。

 まあ確かに、女性の胸というのは昔々から宗教界隈では豊穣のシンボルである。崇め奉りたくなる気持ちはわからないでもない。しかしだからといって勝手に触って良いものではないのだ。それにもう63歳だろう。そろそろ枯れてはどうか。死ぬまで現役でいたいというのは男の夢ではあるのだろうが、エロ漫画でもあるまいに、現実的には無理である。いい加減諦めろ。老化を受け入れるのだ。それはそれで幸せなことだと思うのであるが。


 アメリカのトランプ大統領の元側近であったスティーブン・バノン氏がトランプ政権の内情を暴露したことはこの間書いたが、その本の中にトランプ大統領は周囲から適正を疑問視されているという記述があるのだそうな。それに対し、トランプ大統領がTwitterで反論した。曰く、

「私の人生においてもっともすばらしい財産は精神の安定と利口さだ」

「賢いだけでなくとても安定している天才だ!」

 だそうだ。

 フィクションの世界では自称天才は数多い。その実本当に天才だったり、エキセントリックなだけのギャグキャラだったり、話をあちこちに振り回すトリックスターだったりする訳だが、現実の世界で天才を自称する人は少ない。いかに自己主張が強い人が多く、己の実績を披露することを美徳とするアメリカ社会であっても、「私は天才だ」と公衆の面前で断言する人は奇異の目で見られるのではないか。

 アメリカのニュース番組を見ていると、ときどき弾劾という言葉が出てくるし、向こうでは大統領の弾劾を求めるTVCMが流されているらしい。もう先はないのかも知れない。トランプ氏は非常にユニークな大統領であるし、国際情勢が平穏な時なら4年務めさせるのも面白かったろう。しかしタイミングが悪かった。この舵取りが難しい時代にアメリカの大統領の仕事をこなすには、もう少し賢明さが求められるように思う。せめて最後くらいは静かに綺麗に跡を濁さず去ってほしいものだが。


 メキシコと言えば麻薬、麻薬と言えば抗争というのがありきたりな連想ゲームであるが、4日の夜、メキシコ東部ベラクルス州トラコタルパンの路上に乗り捨てられていたタクシーのボンネットに、5人分の頭部が切断されて放置されており、そこには麻薬組織「ハリスコ新世代」の署名が入った脅迫状が添えられていたのだそうな。ハリスコ新世代は別の麻薬組織「ロス・セタス」と抗争中だという。

 このニュースを最初に読んだとき、車のダッシュボードに7人のこびとのぬいぐるみを乗せている車をイメージしてしまったのだが、もちろんそんな可愛いものではない。日本でも暴力団の抗争事件は起きるものの、ここまで凄惨なものはない。酒鬼薔薇事件とか、どちらかといえば暴力団以外にこの手の凄惨さが見受けられるのはお国柄の違いだろうか。

 いまはインターネットで情報が世界中に拡散し、何でもかんでも国際化する時代であるが、できればこういうのは国際化しないでもらいたいものである。ローカルでドメスティックでガラパゴスであってほしい。怖いのは勘弁だ。


※ ハリスコ新世代っていまメキシコ最大の麻薬密売組織になってませんでしたかね。ときどき名前を見かけます。
 2年前には弾劾のCMが流されていたトランプ大統領ですが、結局任期はまっとうする模様。民主党の候補が自滅しているようなので、このまま2期目もある勢いです。それが果たして日本にとって幸福な事なのかどうかは不明。

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