二年前の日記 12/19

2017/12/19

 アメリカのワシントン州で14両編成の列車のうち13両が脱線、一部が線路の下をくぐる道路に落下、乗用車5台とトレーラー1台を巻き込む事故となった。乗客は77人、乗員5人が乗り合わせていたが、現時点で死者は6人、負傷者も70人以上出ているそうだ。まあこの状況で無傷の者などほとんどいないだろうが。

 この列車はカナダのバンクーバーから、ワシントン州のシアトル、オレゴン州ポートランドなど西海岸の都市を結ぶAmtrak(全米鉄道旅客公社)の路線。事故が起きたのが現地時間の午前8時前というから、普通に考えれば通勤時間帯なのだが、77人しか客が乗っていなかったということは、元より通勤に使われる路線ではないのだろう。そもそもアメリカは車社会だし、日本の通勤電車のような状況はない。

 ていうか日本がおかしいのだ。30分とか40分、下手をすると1時間以上も電車に乗って毎朝通勤するなど、どんな苦行だ。もっと職場に近いところに住むとか、家に近い職場で働くとかすべきだろう。と、おそらくは誰しもが思っているのだろうが、なかなかそう上手くは行かない。社会全体で知恵を出し合うべきではないかなあ。

 それはともかく、アメリカは最近電車の事故が多すぎる気がする。乗客が少ないから被害者も少なく済んでいるものの、日本で起きたらとんでもない大惨事になるような事故がちょくちょく起きている。いいかげん鉄道に金をかけなければいかんのではないか。この事故を受けてトランプ大統領は公共インフラへの投資の必要性を訴えたそうだが、その点に関してはまったくその通りだと思う。国内のインフラ整備は国外で行われる戦争よりも優先されるべきである。アメリカがより安全な国になることを期待したい。


 そのトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都だと承認したがために混乱が生じているが、その撤回を求める決議案をエジプトが作成し、国連安全保障理事会に提出、採決が行われた。結果15カ国中14カ国が賛成したものの、残る1カ国、すなわちアメリカが拒否権を発動したことで廃案となった。賛成した14カ国の中には日本も入っている。日本がアメリカの反対側に回るというのは余程のことである。

「アメリカには大使館をどこに置くのかを決める主権がある。誰の指示も受けない」

 アメリカのヘイリー国連大使はそう述べたそうだが、そんなそもそも論が国際政治の場で通じると思っている訳でもあるまい。そもそも論を持ち出すのなら、いまイスラエルがある場所だって、3000年前にユダヤ人がやって来るより前から住んでいた誰かがいるだろう。

 いや、だいたい国を作る根拠が「旧約聖書に書いてあるから」というのはどうなのよ、ということにならないか。日米地位協定だってそもそも論から言えばおかしいところもあるだろう。都合が悪くなるとそもそも論を持ち出すというのは、非常に格好悪い。アメリカの方針によって現実に混乱が起きていることを重視すべきであろう。

 アメリカは超大国であり、日本の同盟国である。国際的に孤立されるのは、日本としては大変に都合が悪い。ことあるごとにアメリカと国際社会を天秤にかけなければならないのは非常に面倒臭いのだ。できればアメリカは常に国際社会の側にいて欲しい。でもトランプ大統領の間は無理かなあ。何とも頭の痛い話である。


 トヨタが2025年頃までに、エンジン車のみの車種をゼロにすると発表した。この報道が誤解を生んでいる。トヨタがエンジン車から撤退すると思い込んだ者がたくさんいるのだ。「エンジン車のみの車種をゼロにする」というのは、動力を、エンジン、ハイブリッド、モーターのどれかから選べる車種を増やし、「エンジンのみしか設定されていない車種」を整理するという意味である。つまり2025年以降も当分エンジン車は作り続けるということだ。

 ヨーロッパや中国では、今後EVシフトが進む。モーター動力の車が中心になって行くのだ。しかしアメリカや日本の市場で同じようにEVシフトが進むかどうかは未知数であり、エンジン動力の車をスパッとやめることが企業にとって果たして良いことなのかはまだ判断できない。今後どんな動きが出てきても対応できるよう、安全策を取ったのが今回のトヨタの決定であろう。個人的にはあんまり好きなメーカーではないが、日本を代表する企業である、頑張って欲しい。


 かつて明るい廃墟と呼ばれた滋賀県守山市の複合商業施設「ピエリ守山」であるが、今ではそこそこ人が来るようになっているという。その原動力というか、人を呼ぶ目玉施設となっているのが、「めっちゃさわれる動物園」である。しかしその動物園が退去を迫られているという。

 まあこの施設の問題点については「めっちゃさわれる動物園 批判」で検索して頂ければ出てくると思うので、あえてここでは取り上げない。ただ自分としては、この施設に限らず「さわれる動物園」というコンセプト自体に否定的である。

 人間に触られることを許容できるかどうかは、動物により種類差もあれば個体差もあり、一概にどちらか一方が正しいというものではない。しかしストレスを受ける可能性があるのであれば、それをしないことが動物のためであろう。本来なら「展示」も否定されるべきことである。

 しかし一般の動物園などは、動物と客の間に物理的な距離を置いたり、動物の側から人間を見えにくくするなどといった手段を講じる余地があり、一概に否定されるべきものでもないのかもしれない。しかし「さわれる動物園」というコンセプトの下では、そういった手段など講じる余地が一切ない。その時点で存在すべきでない施設だと言える。

 そもそも衛生的なことを考えれば、不特定多数が動物を触るような施設などあってよいはずがない。感染症の危険性がどれほどあるか、少し考えればわかる。苦情やクレームが入るのは当然であり、それに懲りて契約の更新を認めないピエリ守山側の対応も当たり前であろう。

 なお、退去を求めるピエリ守山に対し、「めっちゃさわれる動物園」を経営している堀井動物園は今後も営業を続ける姿勢を示した上でこう述べているという。

「現時点で退去しなければならなくなった場合、動物の移動先を探す必要もあり、場合によっては環境の変化などで死亡する動物が出てくる可能性もある」

 そんな繊細な動物を「めっちゃさわれる」環境に置いているというのは、どういう理屈だ。要は人質である。発想がヤクザかテロリストだな。関わり合いになってはいけない会社なのではないかと思う。

 ついでに一つ。今回の問題を報じた朝日新聞の記事の中に、次の一文がある。

“県知事許可の「第一種動物取扱業」の登録がある”

 これはどういうつもりで入れたのだろう。一応ちゃんとしたお店ですよ、とでも言いたかったのだろうか。だが第一種動物取扱業の登録など、書類さえ揃えれば誰でもできる。前科があるとか、余程とんでもない連中が役員でもやっていない限り、手数料を払うだけで即登録である。形式的な施設の確認もあるが、これまた余程とんでもない施設でもなければ問題は指摘されない。

 自分の小鳥の宿だって第一種動物取扱業で登録している。個人事業主でも登録できるものが、それなりの規模の会社になれば尚のこと簡単であるのは言うまでもなかろう。何らかの歯止めになったり、ある程度の質を担保するものではない。朝日新聞としては中立的な立場で書きたかったのかも知れないが、それでも余計な一文だったような気がする。


※ アメリカの鉄道の大規模な事故は、定期的に起きているような印象があります。国によって得手不得手があるという事でしょうか。
 めっちゃさわれる動物園は今年1月に閉鎖されましたが、運営している堀井動物園はまだ他の場所で移動動物園を行っています。

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