二年前の日記 7/27

2017/07/27

 映画「13日の金曜日」のジェイソンはチェーンソーを使わない、というのはよく知られた豆知識であるが、実際のところチェーンソーというのは武器として使えるものなのか。答はYESであるようだ。

 24日、スイス北部の街シャフハウゼンにある保険会社のオフィスにチェンソーを持った男が現れ、従業員2人に怪我をさせて逃走、翌日逮捕された。この男、住所不定の51歳で、森の中に暮らしているという。そして驚いたことに、この男は被害に遭った保険会社と保険契約を結んでいたのだそうな。スイスでは住所不定でも保険に入れるのだな。

 普通に考えればその保険契約の内容か保険金の支払いを巡ってこの男と保険会社の間にトラブルがあったのだろうが、世捨て人のように森の中で暮らしているような人間を保険に加入させた方が悪いような気がするのは自分だけだろうか。

 もちろんいくら腹が立ったからといってチェーンソーを振り回すような行為は決して認められるものではないが、お互い近づかなければ双方幸せだったものを、垣根を乗り越えてくるからこんなことになるのだろう。まだ詳細は不明であるが、現段階ではこの容疑者の男に同情的にならざるを得ない。まあ自分が同情したところで、この男には何のメリットもないのではあるが。


 言わずと知れたSNSの雄、FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏と、高級電気スポーツカーで有名なテスラのCEO、イーロン・マスク氏がAIの将来について激論を交わし、非難合戦になっているという。ザッカーバーグ氏は元々AIの発展容認派であり、マスク氏は否定派である。

「AIが人を傷つけることはあるかもしれないが、だから発展を遅らせて良いことにはならない。人類が享受するメリットの方が大きい」

 とザッカーバーグ氏は言い、

「いずれAIは核爆弾以上の人類に対する脅威となるのだから、今のうちに規制するべきだ。ザッカーバーグ氏は考えが浅い」

 とマスク氏は言う。

 うん、どちらの言っていることもわかる。だがなぜ激論を戦わせるのか理由がわからない。なぜAIが将来人間の敵になるか味方になるかを今決める必要があるのかがわからない。道具なんだから使い方によるだろう。それこそチェーンソーと同じだ。敵か味方かどちらかにしかならない道具はない。そういう意味では自分はザッカーバーグ氏に近い考え方であるが、特に与するつもりはない。まあ自分が与したところで大勢に影響はないのだけれど。

 機械の知性はいずれ人間を超えるだろう。だがそれは人間と同じものではないはずだ。人類は強力な競争相手を自ら生み出そうとしているのかも知れない。しかし、果たして機械の世界に競争という概念はあるのだろうか。人類を敵と認識し、叩き潰そうとするのだろうか。もしかして、それは人間の一方的な思い込みではないのか。もちろん、それはそのときになってみないとわからない。

 古来人類の進歩は敵の存在とともにあった。「野蛮な原住民」を敵とすることで「新天地の開拓」を正当化したり、東西冷戦の際にはアメリカとソ連が互いを敵視することで技術開発競争を繰り広げた。だがAIの開発競争には敵らしい敵がいない。アメリカが開発した技術による恩恵はロシア人も中国人も受けることができる時代である。だからこそ、AIそのものを敵とする考えも生まれてくるのかもしれない。人類は敵を欲しているのだ。

 それを手にした者は「神にも悪魔にもなれる」と言われたのはマジンガーZであるが、人の作ったAIは人間にとって、新たな神となるのか悪魔となるのか、それともどちらでもない存在になるのだろうか。自分はあまり未来に期待はしないが、この分野に関しては、ちょっと楽しみである。


 ところで、厚生労働省がポスターなどにマジンガーZを起用して、麻疹予防の啓発活動を始めたらしい。「マジンガーZ」と「麻疹がゼロ」をかけているという。……えー。

 マジンガーZは近々新作映画が公開されるので、それもあっての起用であるとは思うのだが、駄洒落にしてもちょっと酷い。役人の考えるネタに面白さを期待する方が無理があるのだろうが、もう少し何とかならなかったものか。もしかして、酷すぎて話題になることを狙ったのだろうか。話題になるかなあ。炎上すらしないような気がするのだけれど。駄洒落路線で行くなら、しかもマジンガーZ使うなら、新しいマジンガーZよりも古いジャンボマシンダー使った方が話題になった気がする。麻疹だし。

 事ほど左様に、駄洒落は言った者勝ちではない。ツッコミがあってこその駄洒落なのだ。ツッコミやすさを考慮できないのであれば、駄洒落は使わない方がいい。ドン引きされるだけであるから。

※ 結局「麻疹がゼロ」はほとんど話題になることすらなく終わりましたね。マジンガーZの映画自体あまり話題にならなかったような気が。
 ザッカーバーグ氏とマスク氏の論争はどうなったんでしたっけ。覚えてないなあ。まあ、2人ともいまそれどころじゃないのでしょうけれど。

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