二年前の日記 5/19

2017/05/19

 厚生労働省が世界各国の自殺率を比較したところ、日本はワースト6位だったという。毎年見かけるニュースであるが、いまひとつよくわからない。世界各国とはいっても、シリアやイラクのように内戦で国内が無茶苦茶になっていて、自殺の統計など取れない国も中東やアフリカにはたくさんあろうかと思うのだが、調べうる中での6位というのは、果たしてどの程度の意味があるのか。参考記録くらいのものではないのか。

 意図はわからなくもない。「日本の自殺はこんなに多いんですよ、世界的に見ても多い方なんですよ、ほら大変でしょ」と言いたいのだろう。実際、日本の自殺は減少傾向にあるとは言っても、まだ余裕で年間2万人は超えるし、それはとんでもない数である。しかし「率」や「6位」という数字で見せられても、あまり大変さが伝わってこないのが実情ではあるまいか。

 不謹慎を承知であえて野球に例えるなら、同じ3割バッターでも、最下位の4番で3割打ってるのと、首位チームの7番で3割打ってるのとでは、まるで意味が違ってくる。打率は客観的判断に必要な指標ではあるが、それだけではそのバッターの怖さは判断できないのだ。自殺率やワースト6位という数字も、事態の深刻さを示す指標にはなり得ないのではないか。

 もちろん、この数字だけで日本の自殺対策が終わるわけではなく、あくまでも現状を見えやすくしただけのものなのだろう。多くの指標の一つに過ぎないのかも知れない。だがそれでも、インパクト不足である。高度成長期でもあるまいに、いい加減「世界何位」では人目を引かない。ここはやはり、自殺者が出ることによって発生する「経済的損失」その総額と、国民一人当たり幾らの損害を被っているかを一番最初に明らかにするべきだろう。

 経済的損失については、今年3月に厚生労働省が「自殺した人が生きていれば得られていたはずの生涯所得」という形で算出している。4594億円だそうだ。だがこれでは、自殺が社会にどれだけの影響を与えているのかがわからない。他の国民にどれだけの損失を与えているのかが不明である。必要なのは、自殺が個人の問題ではなく、社会全体で取り組むべきものであるという共通認識を得るためのデータなのだ。

 とまあ簡単そうに書いているのだが、実際にそれを調べようとすれば、その項目は多岐に渡り、とても年に1回発表できるような情報量では済まないのかもしれない。だが、それを調べて発表しない限り、そしてそれをマスコミが大々的に取り上げない限り、自殺は個人の問題と思っている多くの国民の意識を変えることはできまい。自殺者が一人出るたびに、おまえはこれだけ損をしているのだ、という事実を叩きつけねば、全国民的な議論など期待できないし、その議論なしに自殺者を激減させることは無理だろう。

 自殺防止対策は大切である。対処療法も必要であるとは思う。しかしそろそろその根っこの部分を何とかする時期に来ているのではないか。厚生労働省には頑張っていただきたい。


 フェチかマニアか知らないが、自分の趣味を他人に押しつける者は最低である。いかに変態であったとしても、許されるものではない。

 福岡県に住む48歳の男が、高校に脅迫電話をかけたとして、威力業務妨害の容疑で逮捕された。脅迫電話の内容は、こうである。

「くるぶしまでの靴下をはいている女子生徒を見つけたら殺すぞ」

 男は調べに対し、「ハイソックスが好きで、くるぶしソックスは嫌いだった」と供述しているのだそうな。あれ、くるぶしソックスって言うのか? 調べたらスニーカーソックスとかショートソックスとか出てきたが。

 ハイソックスが好きだという気持ちはわからないでもない。オーソドックスが安心するというのはありがちな嗜好である。しかしだからといって、くるぶしを敵視することはあるまい。くるぶしが好きだという者だって、世の中には必ず居るのだ。いい歳をした大人が、他人の趣味を否定するものではない。

 ちなみにこの男、以前は「女子生徒が黒タイツを履くのをやめさせろ」という電話を高校にかけていたそうである。女子高生はおまえの楽しみのために通学しているのではない。確かに生足は良いものである。だが自分の意思で他人の行動を左右できると思っているような馬鹿の言葉に従わねばならぬ理由は、彼女らには毛の先ほどもない。いまそこにあるものを、あるがまま受け入れられないようでは、変態とすら言えないのだ。ただの気持ち悪い無能である。こういうヤツは一度刑務所に入って、オッサンの毛むくじゃらの脚に囲まれて生活してみればいい。自分がどれだけ恵まれていたのか理解できるだろう。幸せは自分のすぐそばにあるというのが定番なのであるから。


 自分は笑わない。昔から一人で部屋に閉じこもっていることが多かったので、感情を表す癖が身に染みついていない。ずっと無表情で生きてきたのだ。これからもそうやって生きていくのだろう。

 昔から「笑う門には福来たる」と言うが、笑いには健康的なイメージがある。では実際、笑うと病気が治ったりするのだろうか。

 大阪国際がんセンターは、吉本興業、松竹芸能、米朝事務所と協力して、笑いががん治療に影響を与えるかを検証する研究を開始した。方法としては、がんの治療中の患者を2つのグループに分け、今後隔週で8回行われる漫才・落語などの舞台を、片方のグループは全部、もう片方のグループは半分の4回だけ見ることで、この2つのグループの間に体の免疫機能などで有意な差が出るかどうかを調べる。

 面白い研究だと思う。身内にがん患者がいるだけに、どんな結果が出るか楽しみだ。ただ、もし本当に有意な差が出たら、不満が出ないだろうか。半分しか見られなかったグループは、舞台は半分の回数しか見られないわ、がんの治療は進まないわで、踏んだり蹴ったりだと感じないだろうか。それだけがちょっと心配である。

 しかし笑いががんに効くのなら、自分はがんになったらアウトである。なにせ笑えないのだから。遺伝的に考えれば、自分はがんになる確率が結構高い。長生きがしたいのなら、今から笑う訓練をしておいた方が良いのかも知れない。できるかな。

※ 自殺者数はいまのところ9年連続で減少し、昨年は2万598人だったそうです。今年は2万人切るかもしれませんね。それでも凄い数ですが。
 笑いがガンに効くかどうかについては、一応効果があるという結論が出た模様。もちろん、一回笑っただけでガンが消えるとか、そんな魔法みたいな事ではないのですが、免疫力が向上するのは間違いないようです。

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