二年前の日記 7/22

2017/07/22

 マンチェスター大学の研究によると、ティラノサウルス・レックスは走ることができなかったらしい。最高速度時速19キロで、歩くことがせいぜいだったということだ。と、ロイターが報道しているのだが、ティラノサウルスが走れないというのは、かなり昔から言われてきたことであり、目新しさはない。体が大きすぎ、体重が重すぎるというのがその主な理由である。しかしその一方で、ティラノサウルスは走れたと主張する人々もいる。今回のマンチェスター大学の研究結果に対しても、おそらく反論はすぐ出て来るだろう。

 そもそもティラノサウルスが走れなかったのなら、スーパーサウルスやアルゼンチノサウルスなど歩くこともできなかったのではないか。しかし現実的に考えて、水中の生物ならともかく、地上に暮らしながら歩けもしないレベルに巨大化する生き物などいない。そこに至るまでの間に食事で体を支えきれなくなり死亡するはずだ。ティラノサウルスも、あの大きさまで成長できたということは、そこまで餌を捕食し続けられたということである。

 白亜紀には巨大化したティラノサウルスが食うに困らない程度に恐竜の死体がそこら辺にゴロゴロ転がっていた、というのならまあわかるが、実際にそんな高い密度で大型の動物が共存できるものなのか。特に草食恐竜同士など、餌を奪い合いながら暮らしていたはずであろうし、自然と密度は低くなるのではないのか。捕食される側の草食恐竜の密度が低くなれば、そこで暮らせる肉食恐竜の数も限られてくる。ましてスカベンジャー(屍肉食い)があれほどまでに巨大化できるだけの餌を確保できるものだろうか。甚だ疑問である。

 今回の研究は数値データ的にはまっとうなものなのだろうが、総合的にはまだまだ決定版と言えるほどのものではないのではないか。まあ恐竜の研究は日進月歩である。10年も経てば常識も様変わりする。これからも徒花を幾つも咲かせては散らしていくのであろう。研究者は大変なのだろうが、それを傍観している自分は無責任に新発見の発表を待ちたいと思う。


 シュルレアリスムとはなんぞや、と問われても、自分には当然何も答えられない。全然わからない。だからサルバドール・ダリがシュルレアリスムの巨匠であると言われても、ああそうですかとしか言いようがない。ただ、有名人は大変だな、と今回思った。

 スペインのカタルーニャ出身の女性がダリの隠し子であったと主張し、そのDNA鑑定のためにダリの墓を掘り起こすことを裁判所が命じたのは先月末。そして20日、実際に墓は掘り起こされ、ダリの遺体は再び外気にさらされた。寡聞にして知らなかったのだが、ダリの遺体は防腐処理が施されていたのだそうで、有名なあのヒゲも「10時10分」を指していたとAFPは報じている。土葬の国ならではの話である。そして皮膚、爪、二本の骨からDNAのサンプルが採取されたのだそうな。

 さて、鑑定の結果はどう出るだろう。自分には親子関係を示すデータは出ないような気がしてならない。もちろん根拠はない。ないのだが、ただこの女性の職業が霊媒師というのが気に入らない。

 別に霊媒師を差別するつもりはない。だがそれでも、こう言っちゃなんだが、彼女は過去にダリの霊を降ろしたりしたことがあるんじゃないのかという気がするのだ。で、そのときにダリが自分の父親だという「啓示」でも受けちゃったのではないか。要するに思い込みである。人間は一度思い込んでしまえばスズメがカラスに見えることもある。それしかないと思い込めば、本当にそれ以外の答えが見えなくなるのである。今回の騒動も、そういう話ではないかと思えてならない。まああの世のダリには気の毒だが、有名税と思って諦めてもらうしかないだろう。


 神奈川県の平塚市で高二の男女が逮捕された。住宅街の一角にある丘に、赤ん坊の死体を埋めた容疑であり、調べに対し「自分たちの子供」と認めているのだそうな。

 自分は飼っている鳥が死ぬと、花壇に埋めることにしている。最近は火葬にするのが流行りらしいが、別に土葬でも良かろうと思うのだ。今回逮捕された二人も、死体遺棄などという大それたことをするつもりはなかったのではないか。

 まあ問題は子供の死因ではあるが。もし自分たちの子供を自分たちの手で絞め殺したとでもいうことになれば、さすがに擁護もできないが、仮に死産であったとするならば、周囲の大人にも相談などできないだろうし、黙って近所に埋めるくらいしか思いつかなかったとしても無理はない気もする。

 確かに馬鹿なことではある。ちょっとググれば自分たちのやろうとしていることがどういうことか、理解できたのかもしれない。だが人間、心底追い詰められればそんな余裕すらなくなってしまう。結果、原始人のような行動に出てしまったとしても、そんなに不思議なことではないのではないか。

 結局のところ、親も教師も、女子の妊娠に気づかなかった。そして二人とも、誰にも相談しなかった。周囲の大人がもう少し信用されていれば、ここまで大きな問題にはならなかったようにも思う。

 とはいえ、もし高校生の頃の自分が同じ立場に立たされたらどうしただろうか。誰かに相談しただろうか。いやあ、しなかっただろうなあ。自分も黙って埋めた口ではなかろうか。て言うか、もしかしたら日本中の空き地を掘り返したら、黙って埋められた赤ん坊の死体が山のように出て来るのではあるまいか。それはちょっとしたホラーだな、と思う次第。

※ ティラノサウルスについては、「走れない説」は現段階では主流ではないように思います。別に恐竜博士ではないので断言は出来ませんが、「スカベンジャー説」が主流になったとはあまり聞きません。実際のところはどうなんでしょう。
 ダリの隠し子疑惑は、DNA検査の結果、親子関係はないと明らかになりました。まあそりゃそうだろうな、という感想しかないですね。

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