二年前の日記 4/27

2017/04/27

 自民党の二階幹事長が今村前復興相をめぐる報道を批判した。

「マスコミは余すところなく記録を取って、一行でも悪いところがあったらすぐ首を取れと。なんちゅうことか」

「人の頭をたたいて血を出したという話ではないのだから、いちいち首を取るまで張り切っていかなくてもいいのではないか」

 今村氏は二階派の一員ということもあり、擁護するような発言内容である。しかし当然の如く、これに野党が反発している。

 正直に言うと、二階俊博氏というのは自分の嫌いなタイプの政治家だ。いささか傲慢さが鼻につく。党内では実力者なのだろうが、時代錯誤感が甚だしい。格好良く言えば豪腕タイプ、悪く言えば……さすがにこれはやめておこう。

 しかしこの発言そのものがそんなに悪いものだとは自分には思えない。共産党の穀田恵二国対委員長は「本末転倒だ。報道の自由、メディアの存在意義を根本から否定しかねない発言だ」と言ったそうだが、メディアの存在意義って何だ。

 確かに報道の自由は守られねばならないものなのだろうが、それは公正さの裏付けがあってのことではないのか。今のメディアの有り様は公正なものと言えるだろうか。例えばアメリカのニュース番組の司会者のように、自分はどの党を支持しているかを表明した上で自分が正しいと思ったことを正しいと主張しているのなら、まだ話はわかる。しかし日本のメディアは不偏不党、自分たちは偏っておらず公正ですよ、という顔で偏った情報を流す。そんなメディアの存在意義とは何だ。嘘つきに嘘をつく場所を与えることが正義だとでもいうのか。メディアの存在意義を根本から否定しているのは、他ならぬメディア自身ではないのか。

 確かに物には言い様というものがある。見方によっては二階氏の言い方は非常に傲慢である。その点は非難されてしかるべきだろう。しかしメディアを批判することがタブーであるかの如き反応は、黙って見過ごせない。批判のない自由などない。政権批判がメディアの仕事だというのなら、そのメディアもまた批判批評をされてしかるべきである。政治家は批判をする側ではないという意見もあろうが、自分は政治家であっても批判をしても良いと思う。その批判が筋違いの妄言だったとするなら、それはまたメディアによって批判もされようし、選挙において有権者にも判断されよう。だから臆することなどないのだ。

 そもそも、政治家に批判されることを恐れるようなメディアに、政権批判などする資格はない。政治家の顔色をうかがうようなメディアに、存在意義など最初からないのである。存在意義は誰かに作っていただくものではなく、自らが勝ち取るもののはずだ。もしかしたら、以前は持っていたのかも知れない。だが今は失われて久しい。まずはそのことにメディアが気づかねばならないのではないか。


 昨年7月15日にトルコで起きたクーデター未遂事件を首謀した(とトルコ当局が嫌疑をかけている)のがアメリカに亡命中のフェトフッラー・ギュレン師であるが、26日、トルコ全土で大規模な強制捜査が行われ、彼の支持者1120人が拘束された。トルコ当局は3000人以上の拘束を目指しているという。これでクーデター未遂事件以降、47000人が拘束されているとのこと。AFPの記事には誰が指示を出したのかとは書いていないが、普通に考えてエルドアン大統領の指示であろう。大統領は典型的な独裁者への道をひた走っているようにしか見えないのだが、トルコの中の人はどう思っているのだろうか。

 翻って日本では安倍首相を独裁者と呼ぶ人々がいる。しかし、ホンモノの独裁者がどういうものであるかは、トルコを見れば明らかである。現在の安倍首相の何処がどう独裁者なのか。

「いまは違っても、このまま行けば将来的には独裁者になる可能性がある」「戦争法や共謀罪がその証拠である」などと言う人もいよう。しかし、それすべては可能性の話である。可能性だけで独裁者扱いして良いのなら、例えば警察官は銃を持っている。その銃が善良な市民に向けられる可能性がある。だから警察は殺人組織であり、警察組織を廃止しなければならない、と言っているようなものではなかろうか。

 だいたい放っておいても3期9年で退陣してくれる独裁者などいるものか。安倍首相の政治力で自民党の総裁任期が無期限になった、とかいう話ならまだわからんではないが、そんな政治力は安倍首相にはない。だいたい任期が伸びたのは、安倍首相の個人的希望というよりは、自民党側の都合である。要は後継者がいないのだ。人材が不足している。

 かつての自民党ならば、誰が総裁になってもおかしくないような人材が、常に3人くらいはいたものなのだが、いまは安倍首相なみに国民からの支持を受けられそうな総裁候補がまるで出てこない。だから安倍首相に時間を稼いでもらっているのが実情ではないか。安倍首相子飼いの稲田氏はあんな感じだし、岸田外相は相変わらず地味だし、頼みの綱の石破氏は内閣からフリーになって自分の勢力集めに奔走するのかと思えばのんびりしているし、その他の有力議員もこれといって国民にアピールなどしていないし。大宏池会構想で動いている麻生副総理が一番目立っているのではなかろうか。

 このままで行くと安倍首相の後任総裁はまた麻生氏にやってもらわなければならなくなるかも知れない。自民党はそんな状態である。それで安倍首相が独裁者とか。ヘソが茶を沸かしてしまう。

 とりあえず独裁者を攻撃したい人はトルコの国民を心配してあげると良いと思う。アフリカの新興国でもあるまいに、トルコほどの歴史のある国が、21世紀のいま強権的な独裁者を生み出している。それは何故なのか。そこを研究すれば独裁者誕生の詳細なメカニズムが判明するかもしれない。それはきっと、世界に利益をもたらす知恵となろう。


 ロイターの報道によると、日本で核シェルターの需要が急増しているそうである。そりゃまあそうだろう。これまで無関心だったことの方が異常なのである。本来なら政府が主導して、もっとシェルターを作っておくべきだった。公的なシェルターを公民館や体育館の地下に作っても良かったのに、それをしてこなかったのは政治の怠慢である。最大13人まで収容できるシェルターの価格は2500万、工期に4ヶ月ほどかかるらしい。今から注文しても間に合うかどうかといったところだが、土地と金のある方は検討してみてはどうか。


 漫画家の新谷かおる氏が休筆宣言をされたそうだ。『エリア88』『ふたり鷹』などなど名作を数々生み出したことでも有名であるが、松本零士氏の『宇宙海賊キャプテンハーロック』に出てくるヤッタラン副長のモデルとなったことでも知られている。休筆の期間は何をされるのだろうか。何にせよ、のんびりしていただきたいと思う。

※ 自民党の人材不足はますます深刻になっていますね。もしかしたら日本は首相制をやめなきゃいけない寸前まで来てるんじゃないでしょうか。もう何から何まで全部会議で決めますか。で、書記長が最高権力者になるというオチですよね。

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