二年前の日記 12/23

2017/12/23

 昨日は冬至だったが――完っ璧に忘れていた――もうすぐクリスマスが今年もやってくる。クリスマスはイエス・キリストの誕生日ではなく、生誕を祝う祭であり、そもそもはケルトの冬至の祭である。キリスト教がヨーロッパに広まる過程で土着の文化を取り入れたのだ。つまりはヨーロッパのローカルで限定的な祭だったのだが、時代とともに世界中に拡散した。いまではキリスト教を代表するイベントであり、宗教の垣根を飛び越えたお祭りとなっている。だから意外なところでクリスマスを見ることが出来る。

 AFPの報道によれば、シリア第三の都市ホムスでいま、クリスマスツリーが飾られているという。と言っても本物の樹ではなく、鉄骨にメタリックグリーンの布を張り付けた、いわばなんちゃってツリーである。だが瓦礫だらけで死の町の雰囲気さえ漂う中にポツンと立つそのなんちゃってツリーは、周りに集まる人々の命の輝きに照らされて、生き生きとして見える。

 また同じくシリアのダマスカスでは、コーヒーショップにクリスマスツリーが飾られている。こちらのツリーも本物ではないようだが、とりあえず樹の姿はしている。ツリーには電飾こそあるものの、派手なオーナメントなどはつけられていない。代わりに店を訪れた人々が、七夕の短冊のようにメモを結びつけている。そのメモには人々の祈りが書き込まれているという。内戦で34万人が死亡し、500万人が国外に避難したシリアである。その祈りに込められた悲しみは如何ばかりか。

 シリアはイスラム国家であり、アサド大統領は冷酷な独裁者である。だが人口の10%ほどを占めるキリスト教を弾圧したりはしなかった。だから内戦以前からクリスマスはこの季節のシリアではありふれた光景だった。それがいま戻って来つつある。果たしてそれをどう受け止めれば良いのだろうか。難しい問題である。


 クリスマスといえばサンタクロース。着ている服は赤だったり青だったり黒だったりと国によってイロイロあるようだが、セント・ニコラスの化身であることは間違いない。いたいけな子供を物で釣ってキリスト教徒にしようと企む白ヒゲ即物爺さんである。

 さてそんな子供に大人気のサンタクロースであるが、果たして子供は何歳くらいまでサンタクロースの存在を信じているものなのだろうか。

 1978年にアメリカで行われた聞き取り調査によれば、4歳児で85%、6歳児で65%、8歳児で25%がサンタの存在を信じていたとCNNは報じている。

 同じくCNNには、1999年に子供を持つイギリス人161人を対象にした調査で、子供が8歳までサンタを信じていたという回答が92.5%であったとあり、また2011年にテキサス大学オースティン校の研究チームが行った発表によれば、5歳児の83%がサンタはいると信じていたともある。

 まあこれは国でも時代でも違いはあるだろうし、一概に何割の子供が信じているとは言えないはずだ。だが8歳以下の子供は、かなりの割合がサンタの存在を信じている可能性が高いと、大人としては思っておいた方が良いのだろう。せっかく子供が持っている夢を、わざわざ壊すこともあるまい。面倒かも知れないが、ほんの一時期のことである。付き合ってあげれば良いと思う。


 クリスマスといえば毎年恒例なのがNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)のサンタクロース追跡である。もう60年以上やっているという。自分もインターネットに触れたばかりの頃は喜んで見ていたのだが、最近はすっかりご無沙汰だ。もう心が汚れてしまったのだろうか。なるほど小雪の降りかかる季節ではある。

 しかしサンタクロースが大好きなのは、どうやらNORADだけではないらしい。アメリカ農務省は22日、そりを引くトナカイが24日午後7時から25日午前7時まで、自由に何度でも「入国」することを特別に認める、と発表した。普通動物を外国から入国させるには動物検疫を受けなければならないのだが、これに関しては、「鼻は真っ赤だが、健康状態に問題はない」だそうだ。上手いことを言う。

 農務長官は「動物を国内に持ち込む際に必要な手数料も免除する」「プレゼントとしてアメリカに持ち込む食べ物の一覧表を事前に提出してもらい、安全性を確認した」と述べているそうな。遊び心があるのは大変に結構なことである。日本の役人にも多少は遊び心があった方が良いのではないだろうか。とはいえアメリカはちょっと遊び心ありすぎな気もしないではないが。


※ そんな訳でクリスマスは今年もやって来ます。もちろん何のイベントもないのですが。ケーキすら食べませんから。うちにとってはただの平日です。

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