二年前の日記 12/16

2017/12/16

 旅客機製造業界への日本の復帰を宣言し、鳴り物入りで開発がスタートしたMRJであるが、当初2013年に設定されていた納期は5度に渡って延期され、現在は2020年の納入を目指すとされている。開発費用も当初1800億円と言われていたのが、いまでは5000億円にまで膨らんでいるという。MRJの開発は三菱航空機が行っているが、その親会社の三菱重工からドバドバ予算が注ぎ込まれている。このまま開発を続行すれば三菱重工が傾きかねない勢いである。

 さてそんなMRJの受注に、初めてキャンセルが出そうな状況らしい。アメリカのイースタン航空に40機が納入予定だったのだが、イースタン航空は同じくアメリカのスウィフト航空に事業譲渡されることが決まっている。その余波を受けて、というのが三菱側の判断のようだ。

 しかし、本当のところはどうなのだろうか。納入の遅れは関係ないと三菱重工の社長は言っているが、当初の予定通り納入できていればこのキャンセルも発生しなかったのではないか。何せ7年の遅れである。いくつもの航空会社の事業計画に影響を与えていることは間違いないのだ。これから何やかやと理由をつけてキャンセルが続発する可能性もなくはない。そうなったときに、果たして三菱はどんな判断を下すのだろうか。

 MRJの成否は、もはや三菱重工一社だけの問題ではなくなっている。日本の面子がかかっていると言っても良い。引くに引けないところまで来てしまっているのではあるまいか。天下の三菱重工が人身御供にならないことを祈る。


 10月に行われたオーストリアの国民議会選挙の結果を受けて、第一党となった中道右派の国民党は、極右で第三党の自由党と連立協議で合意に達したと発表した。これにより国民党の31歳の党首、セバスティアン・クルツ氏がオーストリアの首相に就任する見通しである。ちなみに副首相になると見られる自由党の党首ハインツクリスティアン・シュトラッヘ氏もまだ48歳と若い。

 正直、若いリーダーは羨ましい。もちろん、若ければ良いというものではないが、それは老人ならば良いというものではないというのと同じ意味である。そして能力が同じレベルなら、老人よりも若い方が断然良い。人間は失敗する生き物である。失敗を繰り返して成長する。ならばもう伸びしろのない老人よりも、失敗をしても挽回できるだけの体力とバイタリティと時間のある若者の方が、リーダーとしては相応しいのだ。老人は後進に道を譲るべきである。

 こういう変化が日本の政界でも起こってくれると良いのだけれど、なかなかそうも行かない。まあそれでも30年前40年前よりはマシになって来ているのだが。


※ オーストリアのクルツ氏は今年内閣不信任決議案が可決され、失職しましたが、先般フィンランドでは、34歳のサンナ・マリン首相が誕生しました。国政を変える若い力が存在するのは素直に羨ましいです。
MRJはいま「三菱スペースジェット」になりましたが、まだ就航していません。いつになったら完成するんでしょう。はてさて。

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