二年前の日記 10/31

2017/10/31

 ウェーイ! ハッピーハロウィーン! ヒューヒュー! パフパフ!

 別に気が狂った訳ではない。ハロウィンが10月31日だと今日初めて知ったので、自分の中のハロウィン的イメージを形にしてみただけだ。なんかいかにも上っ面な感じだな、と思われた方もおられるだろうが、日本におけるハロウィンが文化的背景もない上っ面なものなのだから仕方ない。

 クリスマスはまだわかる。日本でクリスマスが一般に広まったのは明治37年、銀座に進出した『明治屋』が大規模なクリスマスデコレーションをしたのが始まりらしいが、この当時の日本は西欧文化の情報に飢えていたのだろう。つまりクリスマスは日本人にとって最先端のイベントだったのだ。

 映画『この世界の片隅に』でもサンタクロースの映るシーンがあったが、クリスマスは言わば国民に望まれて広まっていったイベントなのである。対してハロウィンはどうかと言えば、そういう祭が海外(主にアメリカ)にあることは以前から日本人は知っていた。

 日本人留学生射殺事件(1992年)はハロウィンのイベントの最中に起きたし、それよりも前のアニメ『巨神ゴーグ』(1984年)、あるいは映画『E.T.』(1982年)にもハロウィンの祭の描写がある。つまり相当数の日本人は、以前からアメリカにはハロウィンという祭があることを知っていたのだ。にもかかわらず、それは広まらなかった。日本人が望まなかったからである。

 それがここ最近になってハロウィンハロウィンと毎年騒ぐようになって、経済規模はクリスマスを超えたらしい。それをもってハロウィンは日本に定着したとテレビ局は強調するが、果たしてそうなのか。別に楽しいイベントが増えることを否定したい訳ではない。だが何をもって流行っていると言い、何をもって定着したと言うのか。それをマスコミに一方的に決めつけられることに反感を持ってしまう。

 とはいえ、多くの商売人にとってはイベントは多いほど都合が良い。経済を回すためには必要なのだ、と言われたら返す言葉もない。だがそれでも、違和感はどこかに残ってしまう。気にしすぎなのかもしれないけれど。


 若い頃、スーパーやコンビニでも働いた経験があるのだが、前陳が面倒だったことは記憶している。前陳とは棚に並んでいる商品の最前列が売れたとき、奥の列の商品を引っ張り出して、さも商品が満タンに補充されているかの如く客に見せるためのテクニックの一つである。これを徹底することで売り上げが変わると言われていたのだが、本当に変わるのかどうかは知らない。しかしその前陳作業もいずれ人の手を離れるのかもしれない。

 ウォルマートといえばアメリカの小売り大手、日本でいえばイオンのようなスーパーマーケットのチェーンであるが、ここでは3年前から一部の店舗で陳列棚を管理するロボットを導入していた。これは店内の通路を行き来し、商品棚に品切れがあったり、ラベル表示や価格表示に誤りのある商品があった場合に、従業員に知らせるという仕事をする。ウォルマートではこのロボットを、来年1月末までにアメリカ国内50店舗にまで拡大するという。

 さすがにまだ前陳作業まではやってくれないようだ。しかしそれも時間の問題ではないか。CNNによると、ウォルマート広報は「この技術は従業員を助け、どうすれば一番お客様のためになるかを知らせる道具になる」と説明しているそうだが、本音を言えばいずれはロボットだけで店舗が回るようにしたいところだろう。

 この先ロボットの導入が進めば、人間の仕事はロボットにできない部分の穴埋め的な作業に特化されていくのだろうか。仕入れ予測や在庫管理はAIの得意分野であるし、品出しも前陳も技術的にそう難しいとは思えない。果たして人間に出来る仕事は何が残っているのだろう。クレーム対応くらいだろうか。いやあ、クレーム対応もそのうち機械化されるだろう。そして更にはクレームを入れてくるのも機械になったりするのだ。それはある意味平和な未来ではあるのだが。


 南アフリカ共和国において、イギリス出身の男性が、ヘリウムガスで膨らませた風船80個をキャンピングチェアに結びつけ、空を約24キロ、2時間かけて飛行したのだそうな。彼は風船を使ったエアレースという企画を考えていて、それが可能かどうか自ら実証実験をしたのだという。

 アイデアを行動に移すバイタリティーは素晴らしいが、ちょっと無謀ではなかったろうか。自分なりに斬新なアイデアと思えたのだろう。しかし本当に斬新な誰にも思いつかないようなアイデアというのは、滅多なことで浮かぶものではない。大抵はすでに誰かが思いついているはずだ。そしてそれが現在行われていないのであれば、それは行われないだけの理由があるのだ。

 日本では昔、風船おじさんと呼ばれた人物がいた。彼はゴンドラに多数の風船を結びつけて空を飛び、たびたび話題となったが、最終的にはアメリカに向かうと言って飛び立ち、そのまま行方不明になってしまった。いわゆる『ファンタジー号事件』である。風船によるエアレースは確かに面白そうなアイデアであるが、下手をすれば何人もの風船おじさんを生み出すことになるかもしれない。

 今回のことも一人で強行したわけではなく、バックアップする仲間がいたようではあるのだが、命に係わる行動である。慎重の上にも慎重を期していただきたいと願わずにはいられない。


※ この日記を読み返すまで、ハロウィンの事はまったく忘れていました。私の行動範囲の中には、ハロウィンのハの字もありません。まあ流行っている所では流行っているのでしょう。局所的に行われる祭礼と思えば問題はないと思います。盆踊りだってやらない自治体はありますしね。

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