二年前の日記 6/19

2019/06/19

 17日、フランス南西部エールシュルラドゥールにおいて、闘牛祭が開かれていた。そこに颯爽と闘牛の本場スペインから闘牛士が現れ、牛に対峙したのだが、牛の角で肺を貫かれ、命を落としてしまった。AFPの記事によれば、自らのマントが脚に絡まったところを牛に突かれたとある。このマントというのが闘牛の序盤で使われるカポーテのことなのか、終盤に使われるムレータのことなのかで記事の印象が変わってしまうのだが、どちらなのだろうか。写真を見た感じだけで判断すると、たぶんムレータではないかと思う。闘牛の終盤で、追い詰められた牛に逆襲を食らってしまったのだろう。

 まあ闘牛士という危険な職業に、おそらくは自ら進んでなったのであろうから、闘牛によって死に至ったのは、ある意味本望なのではないか。本人的には誇り高い良い最期だったのだろう。自分的な価値観の中では、牛に殺されるなど正直御免だが。

 闘牛士氏のご遺族には、お悔やみ申し上げる。


 伊豆沖で衝突事故を起こしたアメリカ海軍のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」であるが、行方不明になっていた乗員7人全員の遺体が艦内で発見されたのだそうな。詳細はまず遺族に伝えてから、その後に発表されるという。結果としては最悪だが、ちゃんと見つかっただけ良かったのではないか、と思うのは日本人的な感覚なのかもしれない。

 アメリカでは災害の発生による行方不明者の捜索でも、これ以上は捜しても生存の可能性が極端に低いとなれば、さっさと打ち切ってしまう。いや、日本のように最後の1人の遺体まですべて捜し出す、という方が少ないのかも知れない。どちらが良い、正しい、というものではない。文化が違い歴史が違えば、こういう所にも違いが現れるというだけのことである。いまはとりあえず、お悔やみを申し上げる。


 セブン・シスターズ・ロードという場所を調べてみたのだが、ロンドンの北部にあることくらいしかわからなかった。Google先生もまだまだである。

 とにかくそのフィンズベリ-パーク周辺のセブン・シスターズ・ロードで車が暴走し、複数の負傷者が出ているらしい。2人死亡という報道もあるらしいが、まだ不明としているメディアが現時点では多い。この件で1人が拘束されているそうな。またロンドンでテロなのか、という気がするが今回はモスクから出て来たイスラム教徒を狙って車を突っ込ませたらしいので、イスラム過激派によるテロではない可能性がある。移民排斥主義者の仕業かもしれない。何にしても昨今のロンドンは物騒である。自分は国外になど出る予定はないが、予定のある方は注意されたい。


 イランには革命防衛隊という軍事組織がある。国軍ではない。イラン国軍はちゃんとあるのだが、それとは別に革命防衛隊が存在しているのだ。ナチスの親衛隊みたいなもの、と言ったら怒られるだろうか。その革命防衛隊が18日、シリア北東部のデリゾール県に向けて、中距離ミサイルを撃ち込んだ。今月7日に首都テヘランで起きたテロ事件に対する報復であるという。テロ事件はISが犯行声明を出しているから、つまりはシリア国内のIS勢力に対する攻撃であるということだ。

 しかし、当たり前のようにミサイルを撃ち込んだ、などと書いてしまったが、これは結構大変なことである。何せ、イランとシリアは国境を接していない。イランとシリアの間には、イラクという国がある。すなわち今回の攻撃は、イラクの頭を飛び越えてシリアを攻撃したということであり、イラクとしては少なくとも気分の良いことではない。またシリア政府はイランから援助を受けているのだが、それでもその頭越し(心情的にも物理的にも)にミサイルを撃ち込まれるというのは、ちょっと笑えないだろう。今回攻撃を受けたデリゾール県の周辺に政府軍やロシア軍が展開していないとも限らない。ちょっとは空気を読め、とシリアも言いたいのではないか。

 なお、イランの国外へのミサイル攻撃は、イラン・イラク戦争以来約30年ぶりだという。イラクにとっては余計にカチンとくる情報である。

 テロの標的となったことで、イランが腹を立てているのはわかる。自尊心が傷つけられたのであろうことも理解できる。しかしだからといって、今回の攻撃は拙速ではなかったか。この攻撃のせいで、イラクはもちろん、アメリカも態度を硬化させるだろう。シリアやロシアとの間にも隙間風が吹くかも知れない。イラン国民はこのミサイル攻撃を、おそらくは支持するだろうが、国境の内側だけを見ていれば良い立場ではないことを、いい加減理解するべきだ。何故一旦国際社会に向けて、テロとの戦いを宣言しなかったのだろう。攻撃はその反応を見てからでも遅くはなかったのではないか。何かいろんな面でもったいないことをしている気がしてならないのだが。

※ イランの革命防衛隊については先般のタンカー襲撃事件でクローズアップされたので、その存在を知った方も多いのではないでしょうか。精鋭部隊と言われる事も多い彼らですが、イラン国軍とはまったく別系統の軍事組織です。中東情勢ではちょくちょく顔を出します。
 この日の日記にはイランと周辺国の間に隙間風が吹くかのように書いていますが、実際のところはわかりません。いま現在はどうなっているのでしょう。イラクもシリアもイランの民兵組織を受け入れていますが、アメリカとの関係に違いがあります。非常にややこしいです。

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