二年前の日記

 酒を飲んで帰った翌朝、目が覚めると布団の中に不二家のペコちゃんが横たわっていた、などというのは昔はよくある話だった。しかし最近はとんと聞かない。実際にそういうことがなくなったのか、もしくはただ口に出さなくなっただけか。

 まあいかに酔っ払っていたとはいえ、やってることは窃盗である。犯罪行為に対して社会全体がシビアな目で見るようになったという証だろう。あと、酔っ払いに対しても。ましてや素面で行う犯罪になど、容赦ない罵倒が浴びせられる時代である。にもかかわらず、馬鹿な行為をする者はまだ居る。減ってはいるのだろう、だが消え去りはしない。浜の真砂は尽きるとも、と言うヤツであろうか。

 不動産屋の広告用バルーンを盗んだとして、大阪のタクシー運転手の男が逮捕された。テレビCMでもお馴染みの、「SUUMO」のキャラクターが描かれたバルーンである。男の部屋からはSUUMOのバルーンが14個、他に銀行や携帯電話会社のバルーンが6個見つかったそうである。調べに対し「触って癒やされるためだった」と供述しているらしい。変わった趣味はあるものである。

 この男の質の悪いのは、このバルーンを「酔っ払ってつい」盗んだとかいう訳ではなく、まったくの素面の状態で、しかも仕事中に自分のタクシーを使って犯行を繰り返していたところだ。興味の対象が人間でなくて良かったと思うのは自分だけだろうか。

 何にせよ、捕まって良かった。誰よりも、この男にとって良かっただろう。このまま性癖をエスカレートさせていれば、どこまで人の道を踏み外していたか知れたものではない。ここで踏みとどまれて良かったと感謝すべきである。これに懲りたら今後は欲しいものは金を出して買う、まっとうなコレクターになってもらいたい。まあコレクターそのものがまっとうかどうかは話が別であるが。


 先日ここで書いたノドサウルスの化石であるが、ナショナルジオグラフィックが写真を多数公開している。英語のサイトであるが写真を見るだけでも価値があるので、興味のある方は以下のアドレスより見ていただきたい。

http://www.nationalgeographic.com/magazine/2017/06/dinosaur-nodosaur-fossil-discovery/

 恐竜というのは良いものである。ロマンの塊だ。ただコロコロ姿形が変わるので、物語に登場させるには気を遣う生き物でもある。しかし鎧竜(曲竜類)はアンギラスのモデルになった頃からほとんど容姿が変わっていない。出すとしたらこれだな。


 日本のサザエには学名がなかったらしい。1848年、日本のサザエを調べたイギリスの貝類の専門家が中国産のナンカイサザエ(学名:トゥルボ・コーヌトス)と混同していたことが今になって判明し、それを解き明かした岡山大学の福田准教授が新種「トゥルボ・サザエ」と改めて学名をつけ、このたび専門誌に発表されたのだそうな。もちろん学名がついたからと言って、サザエの壺焼きが食えなくなる訳ではない。サザエさんのアニメに新展開があるわけでもない。まあ、それはそれで良いのではないだろうか。

 ただ一つ気になることがある。学者にも功名心と言うヤツはあるはずだ。この福田准教授、日本のサザエが新種であると確信したとき、学名に自分の名前を入れようとは思わなかったのだろうか。自分なら喜び勇んで自分の名前をつけるところなのだが。実際、発見した新種に自分の名前をつけた学者はごまんといるし、学名は100年先でも残り、世界中でその名が使われるのである。それを考えるとこの准教授、なんと欲のない人物なのだろう。それが学問の世界において良いことなのかどうかは知らないが、微笑ましいニュースではあるなと思った。

※ そう言えば、不二家のペコちゃんに限らず、人形看板と言うのか看板マスコットと言えばいいのか、そういうのって少なくなりましたよね。盗られるからなくなっていったのか、なくなったから盗る者が居なくなったのか。卵が先かニワトリが先か、みたいな話でしょうか。

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