二年前の日記 9/22

2017/09/22

 早稲田実業高校野球部の清宮幸太郎選手がプロ志望届を出した。自分的には歓迎である。ドラフトが面白くなる。ただ報道の取り上げ方がちょっと行き過ぎではないかという気がしないでもない。確かに現代の高校生としては頭一つ抜けたバッティング技術を持つ天性のホームランバッターであり、高校野球界のスター選手ではあるが、そうは言っても高校生が進路を決めただけである。まだどの球団に入るか決まってはいないし、活躍が約束されている訳でもない。この時点で騒ぐのは、ちょっと早過ぎはしないか。

 プロというのは目立ってナンボ、話題になってナンボではあるが、プロに入る前にあまり騒いでしまうと、いろんなハードルが無闇に上がってしまうのではないかと心配になる。もちろんその上がったハードルを軽々と飛び越えていく大谷翔平選手のような規格外のプレイヤーもいることは間違いない。だが誰もが大谷選手のようになれる訳ではない。いや、なれない選手の方が圧倒的多数なのだ。

 別に清宮選手を見くびっているのではない。ただプロ野球の世界というのは、人並み外れた天才中の天才たちがしのぎを削るモンスターワールドである。高校球界では向かう所敵なしの天才バッターであっても、生半可なことでは辿り着けない境地に達した怪物たちがゴロゴロいるのだ。だからせめてスタートくらいは平穏に始めさせてあげてほしいと願う。プロ入りしてから大きく高い壁にぶつかるのは間違いないのだから。


 アメリカのトランプ大統領が国連で行った、いわゆる「完全破壊」演説に対し、北朝鮮の金正恩委員長が声明を発表した。曰く、「史上最高の超強硬な対応措置の断行を慎重に検討する」だそうだ。ここまで来ると何を言いたいのかもうサッパリわからない。断行する、ならわかる。断行を慎重に検討するって何だ。何もしないかもしれないよ、ってことか。そりゃ何もしないでいてくれたら助かるのだが、それにしてもわかりにくいことこの上ない。今に始まったことではないとはいえ、いい加減通訳が欲しいところである。

 と思っていたら、ちょうど良い通訳が現れた。北朝鮮のリ・ヨンホ外相だ。彼によると、「史上最高の超強硬な対応措置」とは太平洋上における水爆実験だという。なるほど、確かに強硬だ。これが断行されたらさすがにアメリカは黙っていないかも知れない。だがこれ、北朝鮮政府の公式見解なのだろうか。それならばそれでいいのだが、もしそうじゃなかったら。このリ・ヨンホ外相が個人的願望をつい口に出してしまったりしたのであれば、今後ややこしいことになるだろう。まあ北朝鮮に限ってそういうイレギュラーはないと思うのだけれど。


 厚顔無恥は社会人の基礎教養。面の皮の厚くない人は社会人には向いていない。

 さて、いま総会が開かれている国連には様々な委員会が設置されているが、その中に「子どもの権利委員会」がある。この委員会は「子どもの権利条約」に批准した国がそれを履行しているかどうか審査するのが仕事である訳だが、20日、何とまあこのタイミングで北朝鮮の審査が行われたのだそうな。北朝鮮が子どもの権利条約に批准していたことが驚きなのだが、その審査の冒頭、北朝鮮の大使が演説でこう述べたという。

「執拗で悪意のある制裁が、子どもの権利の保護を妨害しているだけでなく、生きる権利を脅かしている」

 アメリカをはじめとする国際社会が課している経済制裁によって北朝鮮の子どもが危機に瀕していると言うのだ。さらに委員から、「子どもへの虐待や児童労働に関する統計はないのか」と問われると、こう答えた。

「そのような問題はないので統計は存在しない」

 厚い。何と厚い面の皮であろう。そこら辺の靴底よりも厚いのではないか。その厚さの十分の一でも自分にあれば、こんな人生は送ってこなかったかも知れない。羨ましい限りである。もちろん、この面の皮の厚さは北朝鮮で生まれ育ったことと無関係ではあるまい。つまりこれだけの厚顔無恥さを手に入れるためには、北朝鮮国民という最悪レベルのハードモードを生きなければならないということであり、そう考えるとあんまり羨ましくはない気もする。何とも現金なものである。

 

 現金と言えば、スイスで約10万ユーロ(およそ1340万円)の金を銀行やレストランの水洗トイレに流した2人の女を当局が捜査しているという。ああ、もったいない。おそらくは犯罪絡みの金であり、証拠隠滅のためにそんな行動に出たのであろうとはCNNも報じてはいるが、それを承知の上でもったいないと思ってしまう。水洗トイレに流すくらいなら、くれればいいのに。何も言わず黙って使ってあげるのだけれど。

 その気になれば1000万や2000万くらいの金、すぐに使い切れる。自分は金の使い方を知らない訳ではない。純粋に金がないから使えないだけである。まあ平たく一般的な言葉であえて言うなら、貧乏なだけなのだが。


※ 清宮選手はこの後ドラフトで北海道日本ハムファイターズに1位指名され、プロ入りしました。高卒2年目としてはかなり優秀な選手だと思いますが、同期の中で一番目立っている訳ではありません。この世代の中でいま一番目立ってるのは、やはりヤクルトの村上選手でしょうか。
 北朝鮮はいまのところ太平洋での水爆実験を行っていません。それが可能であるのかどうかも、現時点では不明です。でも可能であると考えておいた方が良いのでしょう。何とも嫌な話ですが。ちなみにリ・ヨンホ氏はいまだに北朝鮮の外相を務めています。

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