二年前の日記 6/18

2017/06/18

 マグレ当たりということは何事においてもあるものだが、マグレ当たりに直面したとき、人は大きく分けて2通りの受け取り方をする。

 1つめは、運がよかったと思う者。まあこれが大半であろう。今回はこうなったが、今後同じ状況になっても同じ結果は二度と出ないだろう、と思うのだ。

 もう1つは、自分には運があると思う者。自分は天に愛されている、神の加護を受けている、天使に守られている、などと思い、今後同じ状況になってもきっと切り抜けられるだろう、と思う。これが厄介である。

 ナイアガラの滝の下流であるナイアガラ川で、最近男性の死体があがった。ナイアガラの滝から飛び降りたと思われる。しかしこの男性、この滝に飛び込むのは初めてではなかった。2003年にも飛び込んでおり、そのときは無事生還している。このときは普通の格好だったそうなのだが、今回飛び込む際は、塩化ビニールなどでできた透明のバルーンの中に入っていたという。滝の下では空のバルーンが発見されている。

 最初のときは何の準備もせずに飛び込んでも何とか助かった。ならば今回は「安全装備」を身につけて飛び込もう、きっと無事に生還できるだろう、そんなことを思っていたのかも知れない。しかし現実は残酷である。マグレは2回続かないのだ。だからこそのマグレであり、マグレは奇跡ではない。たまたまである。

 いろんな偶然が重なって、初回は助かった。それだけのことなのだ。なのにそのたまたまが、もう一度起こると思うなど、傲慢であると言われても仕方あるまい。神でもない者に奇跡は起こせない。マグレは一度で満足すべきだった。自分は特別だなどと思わなければ、もう少し長生きできたであろうに。なまんだぶなまんだぶ。


 オーストラリアはかつて銃社会であったが、現在はそこから脱却しようとしている途上だ。そのきっかけになったのが、1996年の「ポート・アーサーの虐殺」である。この事件では精神疾患をもった男がアサルトライフルを乱射、35人が殺害された。この事件の後、オーストラリアは国全体で銃規制を始めたが、現在でも違法な未登録の銃が26万丁存在しているという。

 オーストラリア政府はテロ対策の一環として、7月から3ヶ月間、違法な銃器所持についての恩赦期間を設けると発表した。この期間内に未登録の銃を当局に提出すれば、罪には問われないという。ちなみに通常違法銃器の所持が発覚すると、罰金28万豪ドル(約2350万円)、および最大で禁錮14年の刑が課せられる可能性がある。何としても市井に出回る銃器の数を減らしたいところなのだろう。

 ただポート・アーサーの虐殺以後、オーストラリア政府は自動小銃など100万丁に上る銃器を買い上げという形で回収したが、その後十数年でほぼ同程度の数の拳銃類が輸入されているという話もある。大規模な乱射事件こそ起きなくなったが、拳銃による犯罪や自殺は減少傾向にあるとは言え、未だに発生しているのだそうな。銃社会からの脱却には、まだまだ時間がかかりそうだ。


 16日、イスラエルのエルサレムにおいてパレスチナ人の男3人が、銃やナイフでテロを起こした。女性警官が1人死亡、通行人が数人怪我をしたという。犯人3名はその場で射殺された。

 この事件の発生後、イスラム過激派組織ISが犯行声明を出した。イスラエルの実効支配地域のテロでISが犯行を認めたのは初めてだという。しかし。

 そこに待ったをかけたのが、イスラエルのガザ地区を実効支配しているイスラム原理主義勢力ハマスと、パレスチナ自治政府を構成する組織の一つ、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)である。この2つの組織は、ともに犯人3名は自分たちの組織のメンバーであり、ISとは無関係だと主張している。さて厄介な。ハマスとPFLPは反イスラエルで共闘することもあるが、思想面がまったく違う。ハマスがイスラム原理主義であるのに対し、PFLPはいまどきマルクス・レーニン主義である。水と油と言って良いのではないか。

 部外者の自分からすれば、ISがやったと言うのならISのせいにしておけば良いのではないかと思うのだが、ハマスとしてもPFLPにしても、そういう訳には行かないのだろう。やはり面子というか、縄張り争い的なものがあるのかもしれない。

 ISとハマスとPFLP、こう並ぶと怪獣総進撃的な趣もないではないが、このうち2つの組織は嘘をついている可能性が高い。果たして正直者は誰なのだろうか。


 昨年の7月7日、アメリカのミネソタ州で警官が車の運転席の黒人を射殺する事件が起きた。その際、助手席にいた被害者の恋人が、その場の様子をスマホで撮影し、Facebookに投稿したことが話題になったので、覚えている方も多かろう。この事件をきっかけにして、警察と黒人との緊張関係が、アメリカ中で高まった。

 その警官に対する判決が16日に出た。結果は無罪。さて、これはどうだろう。自分はアメリカの法に関する知識など皆無であるから、判決の妥当性については特に何か言うことはできない。ただ、黒人社会は納得しないだろうと思う。するはずがない。これでは被害者は殺され損ではないか。またアメリカ国内の緊張感が高まることは容易に想像できる。トランプ大統領はどのような反応を示すだろう。しばし注視が必要ではないだろうか。


 ロンドンの高層住宅火災の死亡者数は、少なくとも58人となった。しかし普通に考えてまだ増えるだろう。

 そんな中、エリザベス女王は16日に被災者が身を寄せる公民館を訪問し、言葉を交わした。

 一方、テリーザ・メイ首相は15日に現場を訪れたものの、被災者とは言葉を交わさずに帰った。これがイギリス国内で批判を浴びているという。この間の総選挙といい、どうもこの人は国民の声を拾うことが苦手なようである。もしかしたら裏表のない人なのかもしれないが、政治家にはときとして腹芸も必要なのではあるまいか。まあそんなこともあってか、17日に改めて現地を訪れ被災者と会話したというが、典型的な「時既に遅し」である。批判は収まらない。

 選挙の失敗、そしてこれから連立政権を作らなければならないというタイミングで今回の火災。メイ首相はイロイロと持ってない人なのだろう。今後彼女に対する逆風は、強さを増すのではないかと思う。果たしていつまで首相の座にいられるのやら。

※ マグレ当たりに直面すると、私は運を消費した、と思ってしまいますね。こういう所がマイナス思考なのかも知れません。
 イギリスでは現在保守党党首選挙が行われている最中で、ボリス・ジョンソン氏が次期党首の最有力候補となっています。保守党党首は自動的に首相に就任しますから、メイ首相は任期半ばで首相職を辞さねばなりません。頑張ったとは思うのですが、やはりイロイロ持っていない方だったのでしょう。

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