二年前の日記 5/18

2017/05/18

 アメリカの下院本会議で17日、野党民主党の議員がトランプ大統領の弾劾を要求した。議会内で大統領の弾劾を求めているのはまだ彼一人らしいが、いずれ増えてくるかもしれない。その動きが表面化してきただけで大変なことである。そのきっかけになったのが、トランプ大統領がFBI長官だったコミー氏を解任したこと、および彼の在任中にフリン前大統領補佐官を巡る捜査を打ち切るよう事実上の圧力をかけていたことなどである。つまりトランプ大統領が司法妨害をおこなったのではないか、と言うことだ。

 現在上下両院は大統領との会話を記録したコミー氏のメモの提出と、コミー氏本人の証言を要求している。さらにトランプ大統領はコミー氏との会話を録音したテープの存在を匂わせており、上院はその提供もホワイトハウスに求めている。

 また司法省は去年の大統領選挙において、トランプ氏陣営がロシアと癒着していたのではないかという疑惑を捜査するために、元FBI長官のロバート・ミュラー氏を特別検察官として任命したと発表した。

 読んでいてややこしい、と思われるかもしれない。いや、実際ややこしい。そのややこしいのをザックリ簡単に言ってみれば、要はトランプ大統領に対する包囲網が、アメリカ国内で着々とできあがっているということである。映画監督のマイケル・ムーア氏は大統領選挙の際、「トランプは大統領になるだろう。しかし弾劾される」というような内容のことを言っていたが、その通りになるのかもしれない。トランプ大統領には北朝鮮のことやシリアのこと、ISのことなど、いろんなことをやってもらわねばならないのだが、もしかしたら全て中途半端に終わってしまうのだろうか。

 そういったことを懸念してか、ニューヨーク株式市場は17日、今年最大の下げ幅を記録したのだそうな。トランプ大統領が就任してまだ半年経っていないのだが、早くも末期感が漂っている。それが北朝鮮や中国に対する間違ったメッセージにならなければ良いのだが。

 

 自分がもっとも長く働いた仕事といえば、警備員である。地下街、空港、官庁ビル、病院、いろんなところで働いた。場所によって仕事の内容は違う。だがどこでも変わらず同じだったのは、「仮眠時間という名の待機時間」の存在であった。

 流通大手イオンの商業施設で警備を行う、グループ会社「イオンディライトセキュリティ」の社員が、「仮眠時間は実際には労働時間であり、その分の残業代と慰謝料を支払え」と訴えていた裁判で、千葉地方裁判所は訴えを認め、残業代などおよそ180万円の賠償を命じた。これは警備員にとっては画期的な判決である。同時に警備会社にとっては頭の痛い判決ではあるのだが。

 施設の常駐警備の場合、たいていは24時間警備であるから、勤務者も24時間勤務を行う。その場合、夜間に仮眠時間――だいたい4時間から8時間の間でイロイロである――が設定されていなければならない。ならないのだが、その仮眠時間をフルに睡眠時間として使えるかと言えば、そんなことはまずない。火災警報や侵入警報があれば出ていかねばならないし、電話が鳴れば出なければならない。「何もなければ眠っても構わない時間」ではあるが、たいがい何かあるものである。故に仮眠時間を労働時間と判断した今回の判決は、自分としては正しいと思う。

 ただ、これは警備会社にとっては大変だ。もし全ての警備会社で仮眠時間を残業時間と計算しなければならなくなれば、人件費が高騰する。イオンのグループ会社ならさほど問題はないかも知れないが、中小零細の警備会社は耐えきれないだろう。バタバタと倒れていく警備会社たちが目に浮かぶようである。まあこのくらいで潰れるような会社は、とっとと潰れてしまった方が社会のためになる、という考え方もあるにはあるのだろうが、警備を依頼する側も、受けてくれる警備会社がなくなってしまい、困ってしまう未来が予測される。だったら機械警備を入れれば良いじゃない、と思うかも知れないが、機械警備には導入コストがかかる。そのコストを捻出するのがなかなか難しい会社も多いのだ。

 自分がこの先警備会社に再びお世話になることはないかも知れないが、社会のピースの一つである。業界が衰退するようなことにならなければ良いなと、思う。


 山に登るのに許可が要るというのは聞いたことがある。金を払わねばならない場合もある、というのも聞いたことがある気がする。しかし登る許可を得るだけで123万円を支払わねばならないというのは、ちょっとビックリした。世界最高峰、エベレストの話である。

 そのエベレストに、無許可で、しかも単独で登ろうとした男が捕まった。男は南アフリカ出身で、入山許可料の倍額、日本円にして246万円の罰金を科せられたという。しかもこの男、ネパールの観光局の取り調べに対し悪態をつき、あまつさえ脅迫めいた言葉まで口にしたというから質が悪い。結果逮捕、拘留され、いずれ国外退去処分になるらしい。ネパールの司法は随分と優しい。これがイスラム原理主義の国なら、処刑されているところではないか。優しくすればつけあがる馬鹿はどこの国にもいるものなのであるな。 

※ ロバート・ミュラー氏の名前がありますが、この人物こそが『モラー』特別検察官です。BBCの日本語サイトはいまでも『ムラー』表記ですが。トランプ大統領の弾劾に関しては、民主党のペロシ下院議長が消極的な発言をしてからちょっと下火になった感があります。どうやら任期をまっとうするどころか、2期目も務めるような雰囲気ですね。

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