三途の川の番人

おれ・・・・・・とりあえず太郎とでもいうか。
おれ、太郎は頼み事を断れない性格で、今でも三途の川の番人をやっている。
三途の川の番人とは、遭難したり、今にも死にそうな人が眠りについて、川が見えた時に川岸で手を振ったり(死んだ親戚や友達などの仮面を被る)、川で洗濯をするという仕事だ。
この仕事は嫌いではないが、やりすぎると魂が消えるリスクが遭ってなぁ。新しく遭難したり、今にも死にそうな人達に変わってもらうこと、引継ぎは出来るんだが、皆嫌がって、
「番人さん、もうちょっとだけ、もう少しだけ番人をやりませんか?」
と言ってお願いしてくるのだ。頼み事を断れないおれは三途の川の番人を始めて早三年。今日こそは。今日こそは、断るんだ!

私はれい。今一人で雪山に遭難している。なんか眠くなってきた。
(ダメだよ!寝ちゃダメ!)
ん?自分の中の自分がいた。ま、良いよね・・・・・・。

川・・・・・・。川がある・・・・・・。溺れてる。泳ぐかぁ。そういえば去年、ばあばがお葬式してたっけ。私も棺の中に入るのかな。記憶があんまりはっきりしない。あ、ばあばが手を振ってる。
「こっちだ~!」
私は思った。ばあばがいるってことは、死後の世界かも!私は反対の川岸に向かって泳いだ。あれ?あっちにもばあばがいる。私はそこまで泳いだ後、川岸に手をついた。

「いらっしゃい、死後の世界へ。」
と不気味に笑ってばあばの顔がぐにゃりと歪んだ。そして、知らない男の顔になった。そうだ、今さっきのばあばはお母さんの方のばあばだ。お母さんの方のばあばのお葬式をしたから、私は死後の世界に来ちゃったんだ。私は
「な、に?」
と怖かったが声を振り絞った。男は、
「死後の番人を代われ。」
といった。すると、今にも死にそうに(一度死んでるんだけどね)顔をくしゃくしゃにして、
「頼む、早く・・・・・・。いいな、代わって。」
といった。困ってる人を見過ごすのは私のプライドが許さないから、
「いいよ。」
と私は言った。
「Handover」
カッコイイ呪文だった。
「君は、次の人が来たら引き継いでいってね。」
そう言って、男はどっかに行ってしまった。


~感想~

人の死って怖いなって思いました
byハルカ

「Handover」引継ぎって意味かぁ。英語が呪文になっているの、面白い
byノンさん

死死死、死後のせせせ、世界なんて、無いよね!?
by天野 天華

れいちゃん、引継ぎを出来たらいいね
byみあん

end


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