なんとなくなカジュアル面談を無くしたい話
ソフトウェア開発界隈では、カジュアル面談を採用している会社が多くあります。しかし、観測範囲ではなんとなくカジュアル面談を採用しているところが多くあり、なかなかどういう効果につながっているのかわからないままだったりするところも少なくないのではないでしょう。
カジュアル面談をやっている会社で、改めてどういう課題があるのか真正面から書いてみると、次のような項目が上がってくるのではないでしょうか。
・面談ではなく面接をしてしまう
・結果がでない
・うまくどういう時間にすればいいのかわからない
今回はそういった結果にならないように、どういうカジュアル面談であれば良いのかをじっくり考えてみました。
カジュアル面談は応募者のステータスによってゴールが違う
まず、カジュアル面談は応募者のステータス(転職意欲や志望度)によって、その場のゴールが異なってきます。
応募時の対応は3パターン、そしてカジュアル面談を実施する場合は大きく2パターンの場になるのではと考えています。
フローチャートを書くと、それぞれ次のような対応になるのではないかと考えています。
「転職意欲が高く、志望度が高い」場合
この場合は、そもそもカジュアル面談ではなくて、そのまま面接へ案内した方がお互いにコストが軽くなります。事前に必ず聞いておきたいということがないのであれば、面接への応募を案内しましょう。
「転職意欲が高いが候補先に入れるか悩み中」or「転職するか悩んでいるが、志望度が高い」場合
この場合は、カジュアル面談応募者は「面接応募するかどうかを判断する場」として期待していることがほとんどです。それを前提とした場にすると良いでしょう。この場をカジュアル面談ではなく、この記事ではカジュアル面談の中でも応募判断面談と名付けます。(命名センスがないのはご愛嬌)
上記以外の場合
上記以外の場合は、カジュアル面談応募者はまだ会社の面接に応募するまでの期待はありません。案内をもらったから、一度話だけでも、、というようなモチベーションです。将来的に会社が就職先としてありえそうか?まだ転職するまではないけども、良い会社かどうか知りたいといったモチベーションでしょう。またこちらも、この場をこの記事では興味判断面談と名付けることにします。
効率的なカジュアル面談フロー
従来のカジュアル面談では、大抵の場合は転職意欲や志望度はカジュアル面談中に聞くことが多いです。結果として、会社側が面談にアサインした社員では応募者の知りたいことを聞けないといったことが往々にして発生します。
そのため、そういったことが発生しないためにも次のようなフローであることが必須であると考えています。
① 転職意欲や志望度、カジュアル面談で聞きたいことを応募時に事前に伺う(事前アンケートを行う)
② 事前アンケートによって、次のいずれかのアクションをとる
・面接へ応募
・応募判断面談を設定する
・興味判断面談を設定する
③ 応募判断面談もしくは興味判断面談を実施する
④ 面談実施後、応募者にはフィードバックをもらい、会社の面談者には申し送りを書いてもらう
⑥ フィードバックをもとにネクストアクションをとる( 面接へ案内する等 )
なにより、事前アンケートによって、どういうアクションをとるかを決めるようにすると良さそうです。面談を実施した場合は、かならずフィードバックと申し送りをもらうことが必要です。どういうものが必要かは後述します。
応募判断面談について
【この面談のゴール】
応募者が応募した会社に応募するかどうかを判断することがゴールになります。
会社側としては、応募者が良さそうな人であれば、是非応募してもらいたい場でもあります。ただ気をつけなければならないのは、会社側が応募者のスキルや経歴をチェックして合否を出すような場ではありません。このゴールが何か?については面談担当者には必ず理解した上で面談してもらうようにしましょう。
【準備】
応募できるかどうかの場であれば、聞きたいことの確度が高い場合があるります。そのため、事前アンケートでは次のことを聞いておきましょう。
・どういう話を聞きたいか
・どういう人と話したいか
【アジェンダ例】
応募を判断するための場とすると、次のようなアジェンダが良いと考えています。
・双方自己紹介する
・応募者の転職の軸を聞く
・その軸をもとに会社紹介をする
・事前アンケートでの「聞きたいこと」について答える
・現状募集している枠について説明する
・どういう人が採用されるかについても説明する
・スキル面、スタンス面
・応募した場合のスケジュール感や流れなどを・応募した場合のスケジュール感や流れなどを伝える
質疑応答を適宜間に入れてください。
【フィードバックで聞くこと】
応募者にはあとで振り返りができるように、フィードバックをもらうようにしましょう。面談の最後に知らせて答えてもらうか、面談後に人事等から案内を送ると良いでしょう。
応募判断する場として成立していたかを聞くと良いです。
フィードバックでは最低限次のような質問を用意しておきます。
○ 選考に応募する方向で進めるか?
・応募する
・応募しない
・まだ考えたい
○「応募しない」を選んだ場合、何が決定打になったか?
○「まだ考えたい」を選んだ場合、まだ悩んでいるポイントはどこか?
他にも会社の印象がどう変わったか?であったり、面談担当者の印象などを聞いてもよいでしょう。
【申し送りで書いてもらうこと】
面談担当者には必ず次の面接担当者向けの申し送りを書いてもらいましょう。最低限、次のような項目があると良いです。
○ (もしわかれば)応募者が入社した場合の活躍イメージ
・活躍しそう
・わからない(こちら側が合否をだす場ではないので、わからないも全然可)
・応募いただいても厳しそう
○ 応募者が選考に進んでくれそうか
・選考に進んでくれるとのことだった(言っていた)
・選考に進んでくれそうだった
・選考に進まないとのことだった(言っていた)
・選考に進まなそうだった
・まだ考えるとのことだった
・わからない
○ 「選考に進まないとのことだった」or「選考に進まなそうだった」場合、何が決定打になったと考えますか?
○ 「まだ考えるとのことだった」場合、どこで悩んでいそうでしたか?
○ アジェンダに基づいた面談中のメモ
応募者からフィードバックをもらえないこともあるため、「応募者が選考に進んでくれそうか」については必ず聞きましょう。それによって、応募の案内をするかどうかと対応が変わってきます。
興味判断面談について
【この面談のゴール】
応募者が応募した会社に興味をもってもらえるかどうか判断することがゴールです。言うなれば、会社を知ってもらう場です。
会社側としては、応募者が良さそうな人であれば、是非応募してもらいたい気持ちもあるのでしょうが、ここでそこまで話すのは得策ではないです。むしろ印象がわるくなることもありえるので、やめておきましょう。当たり前ですが、この場も会社側が応募者のスキルや経歴をチェックして合否を出すような場ではありません。このゴールが何か?については面談担当者には必ず理解した上で面談してもらうようにしましょう。
【準備】
応募者が会社について聞きたいことがほとんどない場合も多いです。ただ、ある場合に備えて、事前アンケートでは次のことを聞いておきましょう。
・どういう話を聞きたいか
・どういう人と話したいか
【アジェンダ例】
応募者が興味をもったもらうための場とすると、次のようなアジェンダが良いと考えています。
・双方自己紹介する
・応募者がどういうキャリアを歩んでいるか、これから歩みたいか?を聞いてみる
・(キャリア軸がある場合)そのキャリアが会社で実現できるかを軸にして、会社説明する
・(キャリア軸がない場合) 会社でのアピールできるポイントを軸にして、全体的に会社説明する
・事前アンケートでの「聞きたいこと」について答える
質疑応答を適宜間に入れてください。
【フィードバックで聞くこと】
応募者にフィードバックをもらうようにしましょう。面談の最後に知らせて答えてもらうか、面談後に人事等から案内を送ると良いでしょう。
会社について興味を持ってもらえたか?を聞いていきます。
フィードバックでは最低限次のような質問を用意しておきます。
○ 将来もし転職するとして、選択肢の候補になりえそうか?
・将来的にぜひ働きたいと思った
・将来働く場所の選択肢の一つとしてありえそう
・まだわからない
○ 会社のイメージ(複数チェック)
・技術力が高いイメージ
・(↑ など、会社としてもちたいイメージ)
こちらのタイプの面談についても面談担当者の印象などを聞いてもよいでしょう。
【申し送りで書いてもらうこと】
面談担当者には必ず次の面接担当者向けの申し送りを書いてもらいましょう。最低限、次のような項目があると良いです。
○ (もしわかれば)応募者が入社した場合の活躍イメージ
・活躍しそう
・わからない(こちら側が合否をだす場ではないので、わからないも全然可)
・応募いただいても厳しそう
○ ネクストアクション
・選考の案内を送る
・何もしなくて良い
・その他(フリーテキスト)
○ アジェンダに基づいた面談中のメモ
応募者からフィードバックをもらえないこともあるため、「応募者が選考に進んでくれそうか」については必ず聞きましょう。それによって、応募の案内をするかどうかと対応が変わってきます。
定期的に結果を振り返ろう
それぞれの面談はゴールが明確です。よって、どれだけゴールを達成しているかの振り返りを数値的に判断できます。
例えば応募判断面談では、申し送りで「良い」という判断した人が「応募」にどれだけ進めているかを確認しましょう。
とある面談者だけやたらと「応募されない」みたいなことがあるとテコ入れが必要そうです。
また応募者からのフィードバックに「まだ考えたい」が多い場合も問題です。応募判断をする場がうまく機能していない可能性が高いです。
興味判断面談では、面談前とくらべて面談後の会社の印象がどれだけ良くなっているか確認しましょう。
面談後に会社の印象が「良い」となっていれば、会社としてはこの面談が良い場としてワークしています。
逆に、面談後に会社の印象が「悪く」なっている場合は、なにかしらの問題がある可能性が大いにあります。面談者に依存するのか、それとも全体的にそうなのかを見てみましょう。
また、それぞれにおいて「特定の面談者だけやたら数字が良い」というケースも注目してみましょう。そこには、ほかの面談者にも横展開できる何かがあるかもしれません。
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